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心は、いつもよりずっと早く教室に着いた。もしかしたら、昨日の「退学」なんて話は先生の聞き間違いで、渚がひょっこり座っているんじゃないか。そんな淡い期待を抱いて
心
しかし、渚の席には何もなかった。教科書も、いつもぶら下がっていたキーホルダー付きのバッグもない。ただ、冷たい机の天板が朝日に照らされているだけだ
冗談だろ、渚。 お前、俺がいないとダメな奴だったじゃん。 「心、これ明日までだよ」「心、忘れ物ない?」って、 俺の世話を焼くのがお前の日常だったはずだろ。 ……それなのに、なんで。
心は、渚と仲が良かった女子生徒、雫を呼び止める
心
雫
心
雫
心
指先が冷たくなる。 あいつは、ただ距離を置こうとしたんじゃない。 俺との接点を、文字通り「物理的」に破壊して消えたんだ。
心は走った。何度も通ったはずの、渚の家。しかし、そこには『売却物件』の看板が立ち、カーテンの一枚すら残っていない
心
近所の人が不審そうにこちらを見ているが、お構いなしにドアを叩く。しかし、返ってくるのは虚しい金属音だけだった
心はベッドの中で、暗い画面を見つめている。渚とのチャット履歴を遡る
渚
それに対する自分の返信は、どれも「別に」「なんでもいい」「忙しい」……。冷たい言葉の羅列だ。それなのに渚は、一度も怒らずにハートのスタンプを送ってくれていた
心
最新のメッセージ。自分が送った『明日の朝、駅前で待ってろ。ノート貸せ』の横には、未だに【既読】がつかない。いや、もう一生つくことはない
心
心は、渚がよく「いい匂いがする」と言って抱きついてきた自分のパーカーに顔を埋めた。でも、そこからはもう渚の香りはしなかった。あるのは、自分が吐き出した、後悔の混じった震える吐息だけだ
心
心は暗闇の中で、何度も何度も、もう存在しない渚の番号に電話をかけ続けた