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兄弟、拾いました

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兄弟、拾いました

2 - 買い出しの帰り道で (後編)

♥

822

2022年02月16日

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黒side

初兎と共に少し警戒しながらも、 ゆっくり彼らに近づいていく。

悠佑

・・・・・・お前ら、
こんなとこで何しとるん?

俺は彼らの目の前に来た時、 そう話しかけた。

彼らは一瞬ビクッと肩を震わせると、不思議そうに俺らを見上げた。

赤髪の子は思わず、 と言ったような感じでピンク髪の子の後ろに隠れる。

ピンク髪の子は何も答えず、 ただ俺たちを見つめているだけだった

悠佑

家族は?家はどこかわかるか?

彼らには俺たちを警戒する力さえ、 残っていないのだろうか。

ピンク髪の子は何も感情のこもっていなさそうな瞳を、 俺たちの方に向けたまま、 口をつぐむ。

彼らは結局俺の質問に答えようとはせず、 ただ俺たちの間に重い沈黙が流れた。

どうやって吐かせようか、 俺が方法を練っていると、 突如初兎が動いた。

二人に視線を合わせるようにして目の前で屈み、 優しい笑顔を浮かべて見せる。

初兎

初めまして、僕は初兎って言います

初兎

こっちは僕のお兄ちゃん、
アニキって呼んどるんやけど

そう言って初兎は自分と俺を指す。

初兎

二人はこんな時間にここで何をされていたんでしょうか

初兎

もし困っていることがあるなら、
僕たちが力になります

初兎

僕たちはあなたたちを助けたいんです

初兎

お願いです、
質問に答えてくれませんか?

彼の特徴である優しい声で初兎は言う

・・・・・・と、 少し時間が経つとピンク髪の子がやっと震えた声で口を開いた。

ない、です

初兎

・・・・・・ない?

初兎が聞き返すと、 ピンク髪の子は頷いた。

家族も、住むところも、無いです

「俺たちは・・・・・・」 そこまで言ったところで、 彼は口をつぐんだ。

だが初兎が「そのまま」と優しい笑顔を浮かべながら言うと、 再び話し出した。

だがその内容に、 俺たちは酷く驚愕した。

__俺たちは、父の虐待から、逃げて、きたんです

『虐待』

その言葉が俺の心の中を抉るように、胸の中へ入ってくる。

だが確かにそれなら、 ボロボロの体も、 精神まで疲れ切っている様子も合点がいく。

でもまさかこんな形で、 虐待の被害者に会う日が来るとは・・・・・・。

初兎もさすがに驚いたようで、 もうすでに泣きそうな顔をしていた。

母は、俺たちの小さい頃には、亡くなっていて、いない、んです

だから、泊まる場所も、帰る場所も、家族も、親戚も・・・・・・なくて

赤髪の子もピンク髪の子の言葉に頷きながら、 目に涙を溜めている。

__多分彼らは、 必死な気持ちで逃げてきたんだと思う

母親はいなくて、父親には虐待されて・・・・・・ どこでもいいから遠くへ行きたい、 きっとそんな一心でここまで来たのだ

それなら、俺たちがやれることは__

悠佑

・・・・・・なぁ、二人とも

二人はびくりと肩を震わせて、 おずおずと俺を見る。

俺もなるべく初兎のように、 警戒心を解くような優しい笑顔を心がけて、 言った。

悠佑

行くあて、ないんやろ?

ピンク髪の子は「は、はい」と消え入りそうな声で言う。

悠佑

じゃあ・・・・・・俺たちの家、来るか?

・・・・・・え?

俺がそう言った途端、 二人は驚いたように同時に顔を上げた

初兎

あ、それええやん

初兎も同意する。

初兎

こんなところでいたら、
餓死してまうし・・・・・・

初兎

行くとこ無いんやったら、
僕たちと一緒に暮らしませんか?

いいん、ですか・・・・・・?

悠佑

もちろん

彼らは互いの顔を見合わせると、 一つ頷いて二人で頭を下げた。

あの、じゃあ、これから、よろしく、お願い、します・・・・・・!

悠佑

あぁ、任せとき!

早速初兎が二人の手を握って、 二人を立ち上がらせる。

兄弟はおずおずとその手を握り返した

初兎

さっ、じゃあ僕たちの家いこ!

初兎

ちょっと騒がしい兄弟がもう二人いるんだけど・・・・・・
多分すぐ慣れると思うで!

「こっちこっち!」と手を掴んだまま 一直線に駆けて行ってしまった三人を後ろで眺めながら、 俺は次男にメッセージを送った。

初兎

なにしとんの、アニキー

初兎

アニキが鍵持っとるんやから、
一緒に行かんと入られへんねん

初兎

早くきてやー

悠佑

おぉ、今行く!

黒木悠佑、黒木家四人兄弟の長男。

__今日から新しく、 兄弟が二人増えました。

うらら

一応プロローグのつもりで書いたお話は終わりです

うらら

ここまでのタップ、お疲れ様でした!

うらら

そして、前回のお話にコメントやハートを付けてくれた皆さん、本当にありがとうございます・・・・・・!

うらら

思ってた以上に見てくださってた方がいて、驚きました(笑)

うらら

次回はあの二人も出てきます!

うらら

お楽しみにっ!

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コメント

1

ユーザー

ないくんのエピソード悲しい……泣けてきましたw こんな語彙力あったらいいな………

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