黒side
初兎と共に少し警戒しながらも、 ゆっくり彼らに近づいていく。
悠佑
俺は彼らの目の前に来た時、 そう話しかけた。
彼らは一瞬ビクッと肩を震わせると、不思議そうに俺らを見上げた。
赤髪の子は思わず、 と言ったような感じでピンク髪の子の後ろに隠れる。
ピンク髪の子は何も答えず、 ただ俺たちを見つめているだけだった
悠佑
彼らには俺たちを警戒する力さえ、 残っていないのだろうか。
ピンク髪の子は何も感情のこもっていなさそうな瞳を、 俺たちの方に向けたまま、 口をつぐむ。
彼らは結局俺の質問に答えようとはせず、 ただ俺たちの間に重い沈黙が流れた。
どうやって吐かせようか、 俺が方法を練っていると、 突如初兎が動いた。
二人に視線を合わせるようにして目の前で屈み、 優しい笑顔を浮かべて見せる。
初兎
初兎
そう言って初兎は自分と俺を指す。
初兎
初兎
初兎
初兎
彼の特徴である優しい声で初兎は言う
・・・・・・と、 少し時間が経つとピンク髪の子がやっと震えた声で口を開いた。
?
初兎
初兎が聞き返すと、 ピンク髪の子は頷いた。
?
「俺たちは・・・・・・」 そこまで言ったところで、 彼は口をつぐんだ。
だが初兎が「そのまま」と優しい笑顔を浮かべながら言うと、 再び話し出した。
だがその内容に、 俺たちは酷く驚愕した。
?
『虐待』
その言葉が俺の心の中を抉るように、胸の中へ入ってくる。
だが確かにそれなら、 ボロボロの体も、 精神まで疲れ切っている様子も合点がいく。
でもまさかこんな形で、 虐待の被害者に会う日が来るとは・・・・・・。
初兎もさすがに驚いたようで、 もうすでに泣きそうな顔をしていた。
?
?
赤髪の子もピンク髪の子の言葉に頷きながら、 目に涙を溜めている。
__多分彼らは、 必死な気持ちで逃げてきたんだと思う
母親はいなくて、父親には虐待されて・・・・・・ どこでもいいから遠くへ行きたい、 きっとそんな一心でここまで来たのだ
それなら、俺たちがやれることは__
悠佑
二人はびくりと肩を震わせて、 おずおずと俺を見る。
俺もなるべく初兎のように、 警戒心を解くような優しい笑顔を心がけて、 言った。
悠佑
ピンク髪の子は「は、はい」と消え入りそうな声で言う。
悠佑
?
俺がそう言った途端、 二人は驚いたように同時に顔を上げた
初兎
初兎も同意する。
初兎
初兎
?
悠佑
彼らは互いの顔を見合わせると、 一つ頷いて二人で頭を下げた。
?
悠佑
早速初兎が二人の手を握って、 二人を立ち上がらせる。
兄弟はおずおずとその手を握り返した
初兎
初兎
「こっちこっち!」と手を掴んだまま 一直線に駆けて行ってしまった三人を後ろで眺めながら、 俺は次男にメッセージを送った。
初兎
初兎
初兎
悠佑
黒木悠佑、黒木家四人兄弟の長男。
__今日から新しく、 兄弟が二人増えました。
うらら
うらら
うらら
うらら
うらら
うらら
コメント
1件
ないくんのエピソード悲しい……泣けてきましたw こんな語彙力あったらいいな………