コメント
1件
黒side
初兎
?
玄関で靴も脱がずに家の中をキョロキョロと見回しているピンク髪の子は、 小さい声でボソボソとそう言った。
俺はそんな二人の背中をポンと押して そっと耳打ちする。
悠佑
ピンク髪の子が不安そうな顔でこちらを振り返る。
俺はニカっと笑って頷くと、 彼らは「た、ただいま」と今まで以上の声を出して言った。
初兎が二人を振り返って微笑む。
その瞬間、 リビングと続く扉が開いて二人の弟が出てきた。
そのうちの一人、 水色髪は初兎にギュッと抱きつく。
ほとけ
初兎
この見てるだけで癒される絡みをしているのが、 初兎の双子の弟ほとけ。
本名はほとけで、 本人はイムと呼んで欲しいようだが、それを言い始めたのが中学三年の途中だったので、 初兎以外誰も呼んでくれない始末を受けている、 ちょっとアホな弟である。
いふ
兄弟のことを興味深そうに見ているのが、 次男のいふまろ。
普段大学生で家にいられる時間が少ない俺の代わりに、 兄弟の世話や家事をこなしてくれているしっかり者である。
・・・・・・まぁ時々変な声出したりして、大丈夫かなコイツ、 って思う時もあるけど。
悠佑
いふ
俺がいふまろに送ったのは、 『ちょっと二人男拾ったから、連れて帰るわ』というもの。
うん、 驚くべきは文面というより中身やな。
初兎に急かされてたから、 詳しい話を全て省いたものを送ってしまっていた。
まぁ、あとで話せばええんやけど。
__と、 勝手に話がこちらで進んでいたが、 兄弟の二人は状況が飲み込めないのか ぼーっとその場に突っ立っている。
とりあえず俺は「お前ら落ち着け」と 弟全員を部屋の真ん中に置いてある机の周りに座らせた。
俺はみんなが座ったことを確認すると兄弟二人にこう言った。
悠佑
悠佑
?
悠佑
悠佑
いふ
いふまろがそう言うと、 ほとけは「偉いでしょ」と腰に手を当てる。
初兎は「偉いねー、イムくん」と彼の頭を撫でていた。
悠佑
悠佑
?
悠佑
深々とお辞儀をして部屋から出て行った兄弟二人を見送りつつ、 初兎には「俺らはまず、手洗うぞ」と言ってほとけを引き剥がさせた。
いふ
いふ
悠佑
いふ
いふ
ほとけ
襟元を掴んでほとけを連れて行ったいふまろを確認して、 俺と初兎は手洗い場に向かう。
初兎
悠佑
初兎
たしかに、 俺はずっとあの兄弟のことをピンク髪の子、赤髪の子と呼んでいた。
なんだか色々起きすぎて、 彼ら名前を聞くのを忘れていた。
悠佑
初兎
お腹も空いてるし、頭が働かない。
手を洗ったので、 そのまま初兎にも手伝ってもらいながら、 夕飯のハンバーグを作り始めた。
ほとけ
初兎
いふ
悠佑
楽しみ、なんて言いながら鼻歌を歌ってしまうほどご機嫌になったいふまろを見て、 今まで料理をしてきて良かったなぁと改めて感じる。
と、その途中で風呂から上がってきた兄弟がこちらを不思議そうに見ていた
二人とも服が少し大きいのか、 袖が長くて全体的にブカブカしているのが可愛らしい。
綺麗になると、 思っていた以上に兄弟はどちらも顔が整っていて、 一瞬どこぞのアイドルかと思ってしまった。
?
悠佑
?
赤髪の子が初めて一人で声を発した。
だがすぐ照れてしまって、 ピンク髪の子の背後に隠れてしまう。
その様子もなんだかとても微笑ましかった。
悠佑
いふ
元々あった二つの少し大きめの茶碗に兄弟の分を入れて、 机に置く。
いただきます、 とみんなで手を合わせて、 六人で食卓を囲みながら各々飯に手をつけた。