竜胆と春千夜がパートナーになる前──…
『第二の性』であるダイナミクスのパートナーは『恋愛』としてもパートナーになることが少なくないため、兄弟同士がプレイすることは忌避されている。
竜胆と蘭は思春期を迎えてから、人目を忍んで兄弟でプレイしていた。
竜胆
竜胆が呼ぶと、蘭は嬉しそうに表情をほころばせながら竜胆の元に来た。
蘭
竜胆
蘭
蘭はぺたんと床に膝をついて座り、竜胆を見上げた。自然となる上目遣いは兄弟の欲目なしでも可愛い。
竜胆は蘭を抱き締めると、優しい声で褒めながら頭を撫でた。
竜胆
蘭
抱擁から解放すると、蘭は物欲しそうに竜胆の唇を見た。
竜胆
蘭
竜胆
蘭
蘭は悪戯な表情をしながら竜胆を床に押し倒して、腰にまたがった。控えめな笑顔で甘えた声を出す。
蘭
竜胆
蘭
近づいてくる蘭の顔を引き寄せて、宝物に触れるようにそっと口付けをした。大事に大事に髪を撫でて愛でて、2人で幸福感に浸る──…。
状況が変わったのは、梵天御用達の医師に竜胆が呼び出されてからだ。
情報が漏れないようにと指定された病院に出向いたが、そこで伝えられた内容に驚愕した。
竜胆
医師
竜胆
パートナーがいないSubは精神が不安になってうつ状態になる。たしかに最近の三途は沈みがちになっていた。任務で疲れているのかと思っていたが、どうやらそうではなかったらしい。
竜胆
医師
竜胆
医師
竜胆
パートナーとなるには、公的機関への申請が必要だ。兄弟でパートナーになることは法律で禁止されているため、竜胆と蘭はシングルということになっている。
嫌な予感がする。
医師
竜胆
医師
竜胆
医師
竜胆
医師
竜胆
医師
竜胆
医師
頭が真っ白になった。2人の関係が周囲にバレてしまうと軽蔑の対象になる。場合によっては梵天も追い出されてしまうかもしれない。
竜胆
医師
竜胆
医師
竜胆
医師
竜胆
首を縦に振るしかなかった。自分はどうなっても構わないが、兄がおかしなレッテルをはられてしまうのは耐えられない。
この時はまだ、三途とパートナーになる実感がまったく湧いていなかった。
その日、蘭だけに事情を話して春千夜とパートナーになることを明かした。
蘭は懸命に理解しようとした。しかし2人は公的機関に申請していないだけで、実質のパートナーだ。蘭はショックが大きすぎたせいで、Subが極めて精神的に不安になった時に陥る『サブドロップ』の状態になり、気を失ってしまった。
サブドロップは最悪の場合、命を落とすこともある。慌てて病院に連れ込み、点滴で薬を与えて一命を取り留めた。蘭はそのまま長期間入院することになった。
蘭の精神を落ち着けさせるために、竜胆は蘭との面会をしばらく禁止された。そのことによって竜胆も段々と精神が不安定になっていった。
三途とプレイするように急かされたが、蘭が回復するまで先延ばしにするよう頼み込んで回避していた。蘭のことが心配で、他のSubのことを考える余裕なんてあるわけがなかった。
──蘭が倒れてからしばらくして、蘭と鶴蝶がパートナーになったと知らせを受けた。
蘭の病室に見舞いに行った鶴蝶が、すっかりと弱った蘭を見て本能的にコマンドを使ったらしい。2人は偶然にも相性が良かったようで、蘭は竜胆のプレイの時とはまた違う幸福感を知った。
それからはみるみる内に元気になっていった。竜胆も知らなかったことだが、鶴蝶の家で自宅療養していたらしい。サブドロップに陥ったSubにとって最高の薬はコマンドだ。
毎日プレイして、2人は距離を縮めていった。
蘭
蘭
竜胆は目の前が真っ暗になった。かけがえのないパートナーとの関係が、自分の意思とは全く無関係に終わらされてしまった。
悲しみと同時に、春千夜への憎しみの感情が生まれた。
竜胆
春千夜との初めてのプレイは、春千夜の家で行った。
春千夜
竜胆
春千夜
竜胆
春千夜
竜胆
春千夜
竜胆
春千夜
三途にとってはただの煽り文句だったのだろうが、竜胆の琴線に触れる言葉だった。
竜胆
竜胆は怒りの念を込めて、春千夜を睨み付けながら叱りつけた。『グレア』だ。
DomがSubを威圧する時に使う方法で、Subが恐怖のあまりサブドロップしてしまうリスクもあるため滅多に使われない。竜胆自身も初めて使った。
春千夜は先ほどまでの余裕を失い、恐怖でガタガタと震えながら膝から倒れ込んだ。声も出せずに、信じられないといった表情をしている。
通常グレアは信頼関係が出来上がっていないと使わない。ましてや生まれて初めてのプレイで放たれれば、ダメージも大きいはずだ。
竜胆
竜胆
春千夜は怯えながらも大人しく従った。竜胆の目を見上げる視線がか弱くなっている。
その瞬間、竜胆の胸に言葉では表しきれないほどの充足感が広がった。蘭を失ってから空虚になっていた心が一気に満たされるような感覚で、あまりの快感に今度は竜胆が震えた。
竜胆
褒めてみると、春千夜は身体を跳ねさせた。唇を噛んで、眉毛をハの字に垂らしている。目には涙が滲んで、頬が急激に真っ赤に染まっていった。
恐らく竜胆と同じように快感が押し寄せて動揺しているのだろう。
竜胆
頭ではそう思っても、身体は欲望に抗えない。そこから竜胆は理性を無くし、コマンドを使って春千夜を従順にさせて抱いた。
こうして2人の深い関係は始まった。
ニーズがあれば続けます。 Next……♡1,000
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