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自分が中2の頃の話です。
じぶん
9月、来月の体育大会に向けて個人の種目決めが行われました。
自分は運動部のくせに運動が嫌いで、どの種目にも出たくありませんでした。
走るのが嫌だったので高跳びにしようかと思ったけど、跳ぶのも嫌だったので 余ったので良いやと思い、1番希望していた人が少なかった一般リレーの欄に名前を書きました。
一般リレーとは選抜リレーとは別で、リレーメンバーに選ばれた足が速い人以外が走るリレーでした。
メンバーは男子3人女子3人の男女混合6人だったのですが、 男子の枠に当時片想いしていた人が入ってきて、自分は辞めたくてたまらなくなりました。
走っているところなんて絶対変な顔なので、好きな人どころか友達にも見られたくありませんでした。
体育の授業の時間を使って、3時間分くらい体育大会の種目の練習をすることが出来たので、 自分もメンバーとリレーの練習をすることになりました。
メンバーの中でも足が速い男女が1人ずついて、その人たちが話し合ってリレーの走順を決めてくれました。 好きな人は3番目、自分は4番目です。
じぶん
竜
じぶん
実央
体育大会まで、体育の時間で3番目の竜(リュウ)、5番目の実央(ミオ)とひたすらバトンパスの練習をして本番を迎えました。
場面転換
じぶん
実央
じぶん
まだコロナ禍がおさまってきたばかりの頃でマスク慣れしていたので、 一部の人も自分も、毎日学校でマスクを付けていました。
自分は実央と相談してマスクを付けたまま走ることにしました。
モブ先生
監督の先生の指示で自分は待機場所まで行きました。
竜
まだ心の準備が出来ていないうちにリレーが始まり、 気づいたら竜が走っていていて、自分は慌ててバトンを受け取りました。
竜
走り出したとき、竜が応援してくれる声が聞こえました。
先頭の方にいたはずが後ろから人が来てびゅんびゅん抜かされ、自分は泣きそうになりながら走りました。
夢中で走って実央に投げるようにしてバトンを渡し、走り終えた人の待機場所で座り込みました。
体育座りで膝に顔を埋めてゲホゲホ咳き込むしかなくて、リレーの続きもまともに見られませんでした。
竜
じぶん
竜がこっちに近寄って声をかけてくれました。
竜
走っていたところも、今くたくたに疲れているところも 好きな人に見られているのが恥ずかしくて、自分は泣いてしまいました。
竜
リレーを見て盛り上がっていた凛(リン)が、竜の声でこっちに来てくれました。
凛
竜
凛
マスク姿で全力疾走したせいなのか運動不足のせいか、 走った後に咳が出て、息も乱れて過呼吸気味になっていました。
去年だったら絶対喘息の発作が出ていましたが、軽い呼吸困難だけで済みました。 ゼエゼエ息をしながら自分でも身体が強くなったことに驚いていました。
2人で一生懸命声をかけてくれているうちに呼吸が落ち着いて、咳も軽くなってきました。
好きな人の前でこんな酷い姿を見せるのと、マスクを外して変な顔で走っているところを見られるのは 果たしてどっちがマシだったんでしょうか。
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