この学校の3年は受験のためにイベント事が少ない
と言っても転入するとか思ってたよりよっぽど緩いから
生徒が皆自主性を持って勉学に取り組むんだろう
空
(…そして、だから今年2年の俺らは修学旅行がある)
空
(今の班での行動が主になるらしいが、うちの班は───。)
京介
…
菜乃
…
桜笑
…〜♪
空
(どうしよう)
空
(とてつもなく居心地が悪い)
空
(…んだよな)
そんな考え事をしていると
ドンッと音がして何かにぶつかる
空
──あ、すみません
瑠々
あ、気にしないで!
プリントの束を拾う彼女に驚く
空
…そんな量のプリント、どこから
瑠々
え?
瑠々
ああ、私学級委員なんだ
そう、彼女はうちのクラスの──
うちのクラスの…
空
空
(…)
…学級委員だった
空
(名前なんだっけ)
班員さえも名前を知らない俺は当然彼女の名を知るわけもなく
けれどもそのプリント類を拾い上げたあと俺は無意識にこう言った
空
…手伝う
申し訳なさそうな彼女の表情をチラッと見ながら淡々と作業をこなす
お互い何も言わず、ホッチキスの音だけが響く
空
…いつも
空
こんなのを1人でやってるのか?
瑠々
…あー、えっと
瑠々
……違うよ
空
やってるんだな
嘘をつけないらしい彼女は、えへへと苦笑した
空
しかし学級委員は大変だな
空
どうしてなろうと思ったんだ
瑠々
誰もやる人いないし
瑠々
別に、嫌いじゃないから
空
──そうか
瑠々
空くんは、学校には慣れた?
空
(…空くん)
転入生だと持ち上げられたのも束の間
冷たく見える俺に関わってくる人間はもうほとんどいない
空
(珍しいな)
そう思いつつ、質問に答える
空
ああ、ただ班活動が厳しいな
瑠々
あはは、みんな仲良いもんね
瑠々
3人集まっててうるさそうだし、空くん入りにくいとかー?笑
空
…え?
瑠々
あれ?違った?
満面の笑みで言う彼女を見つめる
瑠々
あ、待ってうるさいって悪い意味じゃないからね!?
瑠々
私3人とも大好きなんだー
空
そうか
空
(悪い意味だと思って驚いたわけじゃないが…)
空
(それもこれも全部、彼女がいい人だから、なんだろうな)
そう思った
1限目、班活動
ガタリと机を動かし出した班員はいつものものとは違った
桜笑
あー、疲れた!何でホームルームってこんな疲れるんだろーね
京介
お前が聞いてねーからだろ
菜乃
聞いてるから疲れるんじゃないの?
菜乃
つーか1番聞いてなさそうなの宮代ね
京介
はあ?
桜笑
もー2人とも落ち着いて、ねえ、1限目って何すんの?
菜乃
知らない、また過去問じゃないの?
京介
げー、中間も終わったのにか?期末は修学旅行のおかげで無えだろ
空
…
空
空
(…)
え?
何だこれ
あんなにも重かった空気は今はどこにもない
本当に、学級委員が言った通り…いい意味でうるさい
空
(なんだ、全員生まれ変わって来たのか?)
桜笑
あっはははは!!!
桜笑
そんなこと思ってたの、七瀬くん笑
空
…
京介
っはは、勘違いさせて悪かったな
仲直りしたあたしたちの態度に驚いていたであろう七瀬くんは
挙動不審にあたしたちを見ていた
桜笑
(だから事情を聞いてみたけど…)
桜笑
(そっか、七瀬くんはあたしたちが友達なの、知らなかったんだっけ)
桜笑
まあ、気を取り直して1限目頑張ろうね♪
空
ああ…
鈴
おはようございます
鈴
1限の特別活動は修学旅行に向けての説明をします
鈴
説明用紙を配りますので各自読んでおいてください
菜乃
…だって
桜笑
修学旅行…!!
桜笑
ついに来たんだね、この1大イベントが!!







