主
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第70話『静かな午後』
六月の光は、午後にもまだ柔らかかった。
窓辺に差し込む日差しに埃が銀の粒のように舞い、部屋の空気は静かに揺れている。
こさめはソファの背にもたれ、手にしたティーカップを両手で包んでいた。
湯気の匂いがふわりと顔に届き、らんは無意識にその香りを深く吸い込んだ。
こさめ
こさめの声はいつもより穏やかで、それがらんの肩から変な力を抜いた。
らんは膝を折って、こさめの隣に腰を落とす。
らん
こさめ
こさめ
こさめが小さく笑う。
その笑顔を見ていると、らんの胸の中で、どこか曖昧だったものがちらりと震える。
ゆっくりと、こさめが話し始める。
誕生日のこと、どう飾りたいか、どんな音楽を流そうか――そんな他愛ない相談だ。
だが、会話の端々に、らんの心に触れる言葉が混じってくる。
こさめ
こさめ
らん
こさめ
こさめ
らんは咄嗟に顔を背けた。
照れではない。
言葉の奥にある温度が、胸の奥を暖めるからだ。
だがすぐに、らんは尋ねてしまう。
らん
こさめは少し考えるように目を伏せた。
湯気が淡く光を揺らし、こさめの顔に柔らかな陰を落とす。
こさめ
こさめ
こさめ
そうして、こさめがひとつひとつ紡ぐ記憶は、どれも日常の断片だった。
らんはその一つに、ふっと胸を締め付けられる。
こさめ
こさめ
こさめ
らん
らんは短く頷いて、視線を窓の外の街路樹に向ける。
葉の隙間に光が踊り、遠くで自転車のベルが鳴る。
何気ない景色の中で、らんは自分の中の欠けた輪郭を探した。
会話は自然に音楽の話題へ移る。
こさめがにやりと笑って、最近ハマってる曲のフレーズを口ずさむたびに、らんの胸に小さな震えが走る。
覚えのあるメロディー、覚えのある振り付け、覚えのある声――輪郭の一端が、風に揺れるように戻ってくる。
こさめ
こさめ
こさめの問いは柔らかかった。
らんはしばらく黙って考えた。
単純な問いなのに、どこか大きな重みを帯びている。
らん
らん
らんの言葉に、こさめは本気で嬉しそうに目を細める。
こさめ
こさめ
こさめ
その笑顔にらんは返す言葉を失った。
胸の中で、影がざわつくのがわかる。
けれどこさめは、それを知らないままに空いたカップをすっと差し出した。
こさめ
こさめ
らん
こさめ
こさめ
らんは微かに笑う。
こさめの言葉はどれも優しく、どれも温度を持ってらんの中に落ちる。
記憶の輪郭はまだ曖昧だが、確かに何かが滑り込んでくる。
しばらく沈黙が続いたあと、こさめがぽつりと呟く。
こさめ
問いは唐突で、らんは一瞬ぎょっとする。
らんの頭の中に、波のように過去の頭痛や影の気配がよみがえる。
だが、らんは肩をすくめて笑った。
らん
こさめ
こさめ
こさめ
らん
こさめ
こさめ
こさめはからかうように言うが、その目は真剣だ。
窓の外の風がカーテンを掠め、二人の間を季節がゆっくり通り過ぎる。
夕暮れが近づくと、こさめは立ち上がり、らんの肩をぽんと叩いた。
こさめ
こさめ
らん
らんは不器用に笑って、こさめに続くように立ち上がる。
部屋を出る前に、らんはふと手を止めた。
らん
こさめの顔を見返す。
こさめの笑い皺、笑い声の余韻、その全てが少しだけ輪郭を取り戻している。
らんは胸の奥で、まだ見えない何かに対して、静かな期待を抱いた。
小さな日常の断片が積み重なって、やがて大きな何かになる――そんな確信を、らんはまだ言葉にできないけれど、確かに感じていた。
第70話・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡300
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コメント
2件
最終回近いのかな? 記憶取り戻したらんくんへのメンバーの反応楽しみ✨
最終回が楽しみ