コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
史記
いつもは見ているだけ。 でも、何故か今日は足が動いた。
動いたからといって、俺がアイツに何かしてやれる事は無い。
所詮俺は陰キャ。 クラスで浮いた存在だ。
友達なんていないし、いらない。
人と関わる時間なんて、無駄でしかない。
そんな事を考えながら自販機へ向かうと、呑気にどのジュースを買うか悩んでいるアイツがいた。
急いでいる様子もない。
愁斗
俺が後ろにいるのに気づいて、やっと慌て出す。
制限時間があるのに、呑気な奴だ。
愁斗
突然の問いに、瞬時に答えが浮かばなかった。
.....俺の名前知ってたんだ。
史記
そう言うと一瞬困った顔をして、
愁斗
また、ヘラヘラと笑うんだ。
史記
愁斗
あー、それは君の癖なんだね。
何かを誤魔化す時に出ちゃうんだ。
その笑顔は。
何も面白くない。 笑うなよ。 ヘラヘラしてんじゃねーよ。 なんで、俺はこんなにイライラしてしまうのだろうか。
その答えは分かっている。
同じなんだ.....
過去の自分と。
史記
愁斗
自販機から最後の1本を取り出して、5本のジュースを抱えて
愁斗
また笑う君の目は悲しげだった。
史記
途端に引き止めてしまった。 驚いた様子で振り返る君から1本のペットボトルが地面へ落ち、俺の足元へ転がってきた。
史記
愁斗
地面に落ちたジュースを拾い、渡す。
史記
愁斗
愁斗
そう言って、既に炭酸でパンパンになったペットボトルを上下に振りかざす。
愁斗
イタズラに笑って去っていく後ろ姿を見ながら、不覚にも口角が上がってしまった。