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今回も素敵な作品ありがとうございました✨ あんなに可愛かった桜くんがこんな男前に育っていてびっくりです🤭 盲目になってしまった蘇枋くんが指輪のサイズをぴったりにできたのはやはり、たくさん繋いだ彼の手を指を確りと覚えていたからでしょうか😌 そして沢山の意味が込められた題名も、改めて素晴らしいと思いました。 新連載も楽しみにしてます😖💕 これからも頑張ってください❤🔥
素敵な作品ありがとうございました!! 泣かせるために色々してた桜くんがとても可愛らしく、それでいて、男前なかっこいいセリフはくので、罪な男ですよね、 目が見えなくなるのはとても辛い事だと思いますが、今は幸せそうなので何よりです!! 蘇枋さんは何でもそつなくこなすイメージがあるので、掃除の時小指ぶつけたって聞いて、蘇枋さんが悶絶?してる顔みたい!ってなりました笑 お疲れ様でした!!

無事に「星降る涙を掬いたい。」完結致しました✨️皆様の応援のおかげで、最後までしっかり書きあげることが出来ました。本当に応援いただきありがとうございました🙇🏻♀️💦 このお話は「救いたい」と「掬いたい」というのをテーマに作りました。 作品投票をしてもらった時にはこんなに長く作る予定はなかったのですが、全然9話という意外と長い話数になってしまいました笑 次の新連載、ただいま連載中の他のお話もお楽しみに💕︎
ゆらゆらとロッキングチェアに揺られ、 蘇枋はペラりと本のページを1枚捲った。
ガチャリと俺まで聞こえる様にドアの扉が開かれ、そこから足音が聞こえてきた。
桜
蘇枋
蘇枋は開いていた点字の本をパタリと閉ざすと、桜がいるであろう方向へ体ごと顔を向けた。
桜
蘇枋
蘇枋
桜
カサりとビニールのこすれる音が聞こえる。 桜は机の方へ移動した。 キッチンが近くにあるダイニングテーブルにビニール袋を置き、両腕を腰あたりに添えて、怪訝な顔で蘇枋を見る。
蘇枋
蘇枋
桜
あれから数十年が経った。 今では桜と2人で仲良く慎ましい生活を送っている。 家は一軒家を購入した。蘇枋は、2人だしマンションにでも住もうか、と提案したのだが、桜が、目が見えない人でも住みやすい家がいいと、物件探しの時に提案し、今の住宅を購入した。
立地もよく、駅も歩いてすぐ近くにあるし、コンビニやスーパー等も近く、結構便利な場所だった。
本当にいいのかと桜に問えば、高校を卒業して直ぐに就職したんだ。これでも金はある。と、言われ、渋々と言った感じで蘇枋が折れた。桜は1度決めたことは曲げない。それは蘇枋が1番よく知っている。 同棲だって、最初に考案したのは桜からだった。蘇枋はずっと、桜に迷惑をかけることばかり考えていたから、同棲しよう。なんて中々言い出せなかった。
あの時は本当に渋々と言った感じだったが、今となれば本当に幸せだ。
同棲を始めたのは、蘇枋が大学を卒業してからで、お前寂しがりだから俺がいてやるよ。なんて、かっこいいセリフを告げられた。あの時には、もうこの両目は機能していなくて、彼の表情が見られなかったのは残念だが、きっと顔を真っ赤に染めていたに違いない。
今でもあの時のことを思い出すと、自然と口角が上がってしまう。ふふっ、と小さく笑うと、桜が訝しげな目でなんだ?と言わんばかりにこちらを見つめた。
桜
蘇枋
桜
桜が言葉を発さず、途中で口を閉じた。 蘇枋は桜野いいたかったことを察して、 構わず口を開いた。
蘇枋
蘇枋
蘇枋
桜
蘇枋
務めて優しく、優しく笑いかける。自分がどんな表情をしてるだとか、彼がどんな表情をしてるだとか分からないけれど、今まで見てきた彼の表情を思い浮かべながら想像をしてみた。
きっと少し照れて、頬を赤らめているだろう。俺の知っている彼なら、記憶している彼ならそうしている。
でも少し残念だ。彼の表情を、成長を、何も見れなくなってしまったんだから。彼の変わったところも、何も分からないのだから。
桜
蘇枋
桜
蘇枋
桜
俺の頬を両手でユニッと抑え込むと、ほっぺをいじられ遊ばれる。俺がいつも彼の表情を、成長を、見られないから、感じるためにする行為と全く同じことをされた。
蘇枋
話を戻そうと、無理やり蘇枋は口を動かした。
桜
蘇枋
桜
蘇枋
夕飯の担当は桜だ。 包丁や、刃物、火を使うとなれば流石に盲目の蘇枋では危ないと、担当は桜になった。 同棲を始めたえの頃は、焦げて苦い料理だったが、今では上達してか、味はとても美味しかった。
前の焦げだらけで、商材の分量を間違えた料理も、彼の優しさだとか、温かさだとかがあって、なんだか嬉しかった。 今でもそれは変わらなくて1番大好きなご飯だ。
学生時代は、食事をただの生きるための必要事項。なにかの作業かの様にしていたのにな。なんて、今日はよく昔のことを思い出してしまう。
蘇枋
桜
洗濯物は蘇枋担当。 あとは部屋の掃除だろうか。細かい掃除は桜に任せてしまうが、掃除機をかけるくらいなら蘇枋にでもできるから。 初めの頃は家具に小指をぶつけたりして痛みを堪える様によく蹲っていたな。 桜は仕事に出かけて居たからこの光景を1度も見られていないのは救いだった。 彼が家にいない間は、家の感覚、家具の場所の把握をしていた。 家具の位置や物の位置は、変えない様桜が気をつけてくれているので、場所や感覚さえ覚えていれば何とかなると、あの時は良く家を歩き回っていた。
それでも体を壁や机にぶつけまくっていたけれど。
角という角にクッション性の物がつけてありぶつけても大丈夫な様になっていたが、強くぶつけた所は少し青くなっていたかもしれない。
今でもクッション性の物は机の角や家具の角に付いている様で、外さないのかと聞いてみれば、お前がもし怪我したら危ないから。と、またもや男前なことを言われてしまった。
蘇枋
桜
桜
あんなに失敗していたオムライスも、今となればスムーズに完成させることが出来ていた。 そんなに時間がかからない間に、オムライスが完成され、蘇枋が座る席の前へと差し出された。かおってくる香りはとてもいい匂いで、空腹をくすぐってくる。
蘇枋
桜
1口分スプーンでオムライスをすくい上げ、 思いっきり口に頬張る。熱々のケチャップライス、ふわふわに焼かれた卵、全てが上手く出来上がっている。
蘇枋
蘇枋
ニッコリと微笑み桜に顔を向けた。 やっぱり表情は分からないけれど、何も返ってこないことから照れているということだけはわかった。 蘇枋はこの反応になれたようにオムライスを食べ進める。そのうち桜が座るであろう場所から、かちゃかちゃとスプーンとお皿がぶつかり合う音が聞こえてきた。どうやら桜もオムライスを食べ始めたようだ。
彼が大好物のオムライスを口いっぱいに頬張って、美味しそうに、自分も食欲が湧いてくるほど豪快に食べているのを思い出す。 今もあんなに美味しそうに食べているのだろうか。それとも、ぶっ超ズラで、少し赤くなった頬のまま食べているのだろうか。
桜
蘇枋
桜
蘇枋
いつもどうり、楽しげな会話をしながら、スプーンを進めた。
蘇枋
お腹も脹れ、桜が皿洗いを済ませたところで、蘇枋が声をかけた。 桜ももうこんな時間かと、 黒い上着をはおり、蘇枋の手を引いた。
蘇枋
桜
桜
蘇枋
蘇枋
家と違い外は、蘇枋の生活を中心に作られているものではない。だから工事をされればどこかしら変化は起きるものだし、毎日全く同じ場所に意思があると言われればそうでは無い。
毎日何かが変化を起こしている。 人間が1歩ずつ歩みを進める様に。
桜
蘇枋
盲目である蘇枋を、人が沢山いる場所に連れていけば、人とぶつかってしまうのを避けられない。もしトラブルがあればそれこそ大変だ。だからここに来た。 原っぱに腰かけ2人空を見上げた。
桜は散歩が好きで、ここにもよく来ている。ここからでもきっと流星群が見えるし、人も少ないと踏んでここまで来たが大当たりだったようだ。
蘇枋
桜
蘇枋
桜
蘇枋
蘇枋
蘇枋の暖かい手が、桜の手に触れている。二人で仲良く隣で座り、お互いの体温を分け合う。
桜
桜
自分の表情を聞かれたところで、どう答えればいいのか分からなくなってしまう。 桜はこの広い星空を見上げながらうんと考えた。
蘇枋
そんなに時間が経たないうちに、また蘇枋に名前を呼ばれた。どうかしたか。そう蘇枋の方へ顔を向け、口を開けるところで、 なにか柔らかいもので唇を塞がれる。
この瞬間は、時間が止まってしまっているかと錯覚するほど、時間の流れが遅くなっていた。黒いふたつ分のシルエットの唇どうしが、重なり合っている。
桜
蘇枋
淡々と見えないはずの星空を見上げながら、蘇枋は話を続ける。
きゅっと、握っている手が、強く握られ、 一瞬体がビクリと跳ねた。
蘇枋
蘇枋
桜
蘇枋
蘇枋
桜
桜
蘇枋の言いたい事は、いまいちよく分かっていないが、桜は必死に自分もと蘇枋に思いを返す。ふわりと柔らかく、見えていないはずの赤い隻眼がこちらを見つめて笑った。
桜の握られていた右手の薬指に、少し冷たい鉄製の物が嵌められた。冷たさにいっしゅんびっくりしたが、直ぐに桜の体温を吸い取って、指に慣れたようにハマった。
桜
蘇枋
蘇枋
蘇枋
蘇枋が仕事を始めたのは、桜に養って生きていくのは嫌だという話からだった。 この目で会社まで無事にたどり着くのは難しいから、パソコンから参加できるリモートワークを通じて仕事をしていた。
蘇枋は元から頭が良かったから、中々いい場所に着けたみたいで、パソコンの操作も、元からキーボードを見ずとも打てるおかげで、そこまで苦労はないよだ。点字だって着いているし、打ち間違いも少ないそう。
いや、今はこんなことを考えている場合では無いな。 ただ今は、蘇枋の言葉を聞こう。
蘇枋
蘇枋
蘇枋
蘇枋
蘇枋
ずっと恋人どまりだった関係。 その先を、蘇枋が望んでくれた。 ずっとこの関係が怖くて言い出せなかったことを、蘇枋は言ってくれた。 いいのだろうか。本当に、自分で。
これだけ一緒にいたのに、やっぱり不安になるのはそんな些細なこと。結婚をすれば、今とは違う生活になってしまうのだろうか。恋人になる時ですら、少し怖かったのだ。今までの関係が変わることが。
結婚なんて、もっと怖い。 それでも、蘇枋が望んでくれたんだ。 あの時、全部を諦めようとした蘇枋が、 俺を望んでくれたんだ。
蘇枋
蘇枋
蘇枋
蘇枋
蘇枋
全部君のおかげなんだ。 そう言われれば、もうダメだった。 桜の蜂蜜の様に綺麗な琥珀色の瞳と、ターコイズブルーの様に青みがかった黒曜石の様に黒い瞳から、溢れんばかりに涙が溢れ出た。
桜の変しがないことを心配してか、蘇枋が桜の頬を両手で暖かく包んでくれる。 そこで、涙が蘇枋の手に落ちて、泣いていることすらバレてしまった。
蘇枋
桜
拭っても拭っても涙が溢れ出てしまう。壊れたダムが決壊したかの様に止まらない。 拙く、震える声で、何とか桜は言葉を絞り出す。
2人とも、ずっと臆病だったのだ。 蘇枋と同棲しようと言ったのも、きっと1人だけじゃ生活が大変だろうから。 そうおもったから、思い切って1歩を踏み出せた。もし断られたらとか、一緒にいることで喧嘩が、仲が悪くなったらと考えたこともあった。けれど、そんなこと考えられないくらい幸せだった。
桜
桜
桜
蘇枋
桜
あぁ、やっと言えた。恥ずかしくて、ずっと口に出せなかったことを。 勇気を出してやっと言えた。
桜
蘇枋
泣きそうだったけれど、信じていたんだ。きっと何かあるって、 蘇枋はそんな酷いこと言わないって。 今だから言える昔の話を、桜は話した。
蘇枋は優しく桜を抱きしめる。 蘇枋の体温が少し冷えた桜に温かさを与えてくれた。
桜
蘇枋
蘇枋
桜
いつの間にか桜につられてか、蘇枋まで泣きそうになっていた。 こいつも結構涙もろくなったな。 あの時はこんなふうになるとは少しも思っていなかった。ただ、何かを我慢ばかりして辛そうな顔をする蘇枋に、泣いて、少しでも気を晴らして欲しいという気持ちで必死だったんだ。
付き合うって、何をすればいいのか正直何も分からなかったから。
桜
今度は桜が聞く番だった。 ここはまこち町から少し離れているし、 桜の姿への批判も激しい。 それでも隣にいてくれるか。 自分が弱いと知っても居てくれるか。 蘇枋に聞いてみた。
蘇枋
蘇枋は大きく頷いて、桜を一段と強く抱きしめる。少し痛かったけれど、その痛みが、蘇枋が隣にいてくれるという存在証明にもなって、ずっとこうしていたいなとも思った。
桜の頬をキラキラと月明かりと星に照らされた涙が光る。 流れていく星の様に。 月がないている様に。黄色く綺麗な瞳から。夜空を思い浮かばせる様な瞳から。
蘇枋
あの時、一緒に居ると、 また付き合ってくれると、頷き自分の涙を掬ってくれた様に、
蘇枋は桜の目元に手を伸ばした。
あの時俺を救ってくれた様に、今度は君の心も、俺が救いたいな。 そう願いを星空に込めてから。
「星降る涙を掬いたい。」