悠佑
俺は昼の出来事を思い返して、 後悔をしていた。
悠佑
悠佑
精神が崩壊しかけてたとはいえ、 りうらに抱きつくだなんてありえない と思いながらベッドの上を転がる
悠佑
悠佑
一時的にだが、俺の精神を安定させて もらった。ヒトの温もりは大切だと 思い出させてくれたことは恩だからだ
悠佑
真実を知った彼がどのような反応を するかはわからないけれど。
悠佑
その未来を不安に思わない自分は いない。
悠佑
きっと、死んでしまうんやろうな
悠佑
わかりきった答えを、頭の中で 並べて、結局言える覚悟なんて きまりっこなかったのだと分かる
悠佑
そう言ってベッドから飛び、 床にたった。
悠佑
ガッツポーズをして夕飯を作るために キッチンルームへと向かった
悠佑
結局食べたいものさえ決まって いなかったためか作りすぎてしまった
悠佑
食欲がめちゃくちゃある、という 状況でないのにも関わらず、 大量にある料理にため息をついた
悠佑
ボソッと己の口から出た
悠佑
その事実に驚いた。 人との関わりを避けに避けてここに 住んでいるというのに。
悠佑
脳裏に浮かんだのは赤毛の少年
悠佑
脳みそを溶かされて、染められそうに なっている事実を、知らないわけでは なかったのだが、ここまでとは 思っていなかった。
悠佑
悠佑
ビール缶を開けてグイッと半分ほどを 一気に飲みこみ、夕飯を食い始めた
悠佑
たいして美味いわけでもないのだが これは定番の声掛けみたいなもので 久しぶりに言ってみた
悠佑
リモコンを手に取り、慣れていない 手つきで操作をして、一つの バラエティー番組を選択した。
悠佑
悠佑
机いっぱいに並べられた料理に 目移りしながら まずはシーザーサラダを口に運んだ。
悠佑
悠佑
自画自賛をしてしまうほどには、 しなしなしていたレタスだったのだ。 料理師免許を持ってるから、 当然かもしれないが。
悠佑
悠佑
きっと俺には計り知れない努力が、 そこにつまっているのだろう。 この番組を見ながらおもったのは、 それだけだった。
悠佑
一人で自然に笑える日は、 元に戻れる日は、 一体いつになるのだろうか。
悠佑
悠佑
まだまだ余りに余っている料理に 目をやり、苦しくなりそうな未来を 振り払って食べ始めた。
悠佑
自嘲気味に笑った俺の目線の先には 三分のニほど余った料理があった。
悠佑
そのことについて、 考えていた時だった
コンコンコン
悠佑
窓を叩く音がした。
悠佑
おそるおそるカーテンが閉まっている 大きな窓の方へと近づいて行く。
悠佑
思い切ってカーテンを開けてみた。
りうら
窓越しだと言うのに声が聞こえる程、 でかい声で俺の名前を呼んだのは 赤毛の少年ーーりうらだった。
悠佑
気張っていた心が一気に解放される。 もしやとも思っていたが、それでも、 怖かったのだ。
悠佑
りうら
どうやらこちらからの声は 聞こえていないらしい。 俺の声ってそんな小さいか?
悠佑
ガラガラと音を立てながら窓を開けた 同時に、元気よくりうらが 俺の腕の中に飛び込んできた
りうら
悠佑
俺はそれを受け止めて、 "危ない"なんて言いながら、 彼の暖かさに歓喜していた。
りうら
悠佑
りうら
あからさまに残念そうに頭と腕を 下げた。 なんというんだったか、こういう、 あからさまな行動を……
りうら
今度は上目遣いをしながら、 "急いで"の部分を強調させて話した。 ああ、そうだ、思い出した。
悠佑
りうら
まずい、声に出てしまっていた。 幸いりうらは意味を知らないようで 助かった。
悠佑
なんとか誤魔化して、話題を すり替えることに専念するものとした
悠佑
りうら
こんなにも目を輝かせてくれるなら、 あざとくてもなぜだか許せた。 多分これは、りうら限定なのだろう。
悠佑
悠佑
りうら
悠佑
勢いの良い返事をした後、 手を料理に突っ込もうとしていた。 思わず声を上げて手を掴んだ。
りうら
少し驚いたようで、料理に目線が いきながらも、こちらを見た。
悠佑
悠佑
りうら
全て知らないといった様子で、 はてなマークを頭に浮かべている。 それを見て思い出した。
悠佑
りうらは人魚で俺は人間なことを。
悠佑
りうら
俺は、結局は醜い人間なんだ。
りうら
矢継ぎ早に飛んでくる質問に、 俺の思考は戻ってくる。
悠佑
りうらに普通はこうするのだと、 使い方を教えてやった。
りうら
悠佑
悠佑
りうら
元気の良い声を聞いてから、 俺はキッチンへと向かった。
りうら
りうら
りうら
りうら
なにやらスプーンを見つめてるようだ なにを言ってるかはよく分からない 何をしているかも、わからなかった ので、近づくことにした。
悠佑
りうら
俺が近づいていくと、慌てた様子を 見せた。変な声も出ていたので、 そんなにやましいことだったのかとか 色々考えてしまったが置いておく
りうら
悠佑
いただきますと元気よく言うと りうらはがっつくように俺が作った飯を食べ始めた。
りうら
悠佑
りうら
何歳児なのだろうかこの子供は。 と、思うほどの食べっぷりに俺は 呆れと満足感を感じていた。
悠佑
りうら
りうら
自分の問いとも言えないような問いに 嬉しい解を即答してくれる。 こんな奴が友達なのを、今更ながら 嬉しく思った。
悠佑
りうら
悠佑
頬袋いっぱいに俺の料理を頬張って 口元には食べかすをたくさんつけてる その顔がまあなんとも、マヌケで、 愛おしかった。
りうら
りうら
どうやらさっきまで溜め込んでた物を 飲み込んでもう一度同じことを 言ったらしい。
悠佑
りうら
俺が言わなかったら気づかなかった のだろうか、舌で舐めとったり、 指で掴んで食べカスを食べたりして ようやくもう一度話し始めた
りうら
悠佑
りうら
悠佑
呆れながら、それでも可愛いと、 やはり感じてしまったせいか、 俺はつい手を伸ばしてりうらの頭を 撫で回していた
りうら
悠佑
りうら
先ほどまでの威勢はどこえやら、 頬を赤に染めて小声でそう言ったのが 聞こえた。
悠佑
冗談半分で言った言葉だったが、 かなり本心に近い言葉だった。
りうら
悠佑
りうら
まだ赤らんでいる頬を見て、 彼にそんな勇気はないのだと思った
悠佑
悠佑
俺は掛け声と共にりうらの髪を わしゃわしゃとこねくりまわした。
りうら
悠佑
りうら
りうらはそう言うと手櫛で 髪を整え始めた。 せっかくボサボサにしてやったのに。
りうら
悠佑
りうら
ちょっとむっとして答えていたので、 多分ぐしゃぐしゃにしたのは 許していないんだろうと察した。
りうら
りうら
悠佑
反射的に厳つい声を出してしまったが 仕方のないことだと思う。
悠佑
りうら
悠佑
りうらがあんなふうに苦しむ姿は もう見たくないのに、りうらは、 今、笑っている。
りうら
悠佑
薬と聞くと病に対するものと、 ヤバい方の"クスリ"を想起させるが、 多分どちらにも該当しないのだろう
りうら
悠佑
それを聞き、 俺はそっと胸を撫で下ろした だが同時に不安にも思った
悠佑
りうら
悠佑
現在の時刻は午後8時を回っている 誤差はあるだろうが、薬を飲む間隔は 三時間おきくらいだろう。 そうすると、というわけだ。
りうら
悠佑
俺がそう反論すると、りうらは 少し怖いと感じる笑みを浮かべた。
りうら
りうら
悠佑
深刻そうな表情をしたりうらに、 俺は何も言わずにりうらの言葉を じっと待った。
りうら
悠佑
少しの間があってから、りうらは 口を開け、話し始めた。
りうら
りうら
事の重大さがこちらにも伝わるほど、 りうらの瞳は真剣だった。
悠佑
俺は少し、その瞳が怖かった
コメント
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うわっ好き...りうちゃん健気だなぁ...もうはよう付き合っt((