金子由美
金子由美
金子由美
それだけ伝えると、由美は電話を切った。
金子由美
金子由美
矢島典明
矢島典明
金子由美
矢島典明
矢島と由美は同じサークルに所属する大学生である。
今日は、同じくサークル仲間の小林雪子の誕生日会に向かう2人だが、
予想外の渋滞に巻き込まれてしまっていた。
金子由美
由美は忌々しそうに言いながら目の前で行列を作る車両を見た。
遅れるとは伝えたものの、このままではいつまで経っても進むことが出来ない。
矢島典明
金子由美
矢島典明
矢島はどうにか他の道を探そうと薄暗くなり始めた周囲を見回した。
矢島典明
矢島典明
少し進んだ左側に先へ進める道を見付けた。
金子由美
金子由美
矢島典明
矢島典明
確かに、ナビには雪子の自宅へ続くルートが示されてある。
由美は早いところ渋滞から抜け出したい気持ちもあったので、矢島に任せることにした。
ノロノロと前の車が進み、ようやく矢島の車は例の道へ入ることが出来た。
約2メートルの高さの石塀が左右にそびえる小道で、
車一台が通れるだけの幅しかない至って走行が難しい道だった。
矢島典明
矢島は普段、安全運転を心掛けているほど運転には慎重派だった。
故に、スピードは遅い。
金子由美
矢島典明
金子由美
矢島典明
矢島典明
矢島典明
矢島は安全運転のまま、気にするように左右の塀との間隔に注意した。
由美は一体いつ着くのやら…と溜め息を吐き、頬杖をついて窓の外を見た。
夕陽も沈み、本格的な夜の世界へと入ろうとしている。
小道は想像よりも長く、渋滞を抜けてから既に30分は経過している。
まだまだ遅くなりそうと、由美がスマホに手を伸ばしたそのとき、
急に車内が明るくなった。
金子由美
矢島典明
矢島典明
金子由美
金子由美
矢島典明
矢島典明
矢島典明
金子由美
矢島典明
金子由美
金子由美
由美に急かされ矢島は少しずつ速度を早めたが…。
矢島典明
突然、後続車がエンジン音を唸らせて矢島の車との車間距離を詰め始めた。
金子由美
金子由美
矢島典明
矢島典明
金子由美
矢島典明
金子由美
矢島典明
矢島典明
金子由美
金子由美
矢島にも確信は無かった。
だが、唐突に背後に一台の車が現れたことにはやはり不気味さを感じてしまう。
そもそも、後続車が門から出てきたところを目撃したわけではない。
不安な気持ちを拭うつもりでそう思い込んだだけのことだった。
矢島は急に恐ろしくなり、思い切ってアクセルを踏み込んだ。
どんどん後続車との距離が開き、小道を抜けたときには、
既に後続車のライトは見えなくなっていた。
雪子の誕生日会は盛大に開かれた。
矢島と由美は遅れた理由を弁解すると同時に、
小道で起きた奇妙な出来事をまるで怪談でも聞かせるような調子で語った。
主に発言したのは助手席に乗っていた由美で、矢島は相槌だけ打った。
誕生日会が後半に差し掛かった時には矢島もすっかり場の雰囲気に飲み込み、
午後11時には矢島と由美も上機嫌になりながら誕生日会は終了した。
金子由美
矢島典明
矢島典明
金子由美
矢島典明
渋滞で混雑していた道路を来たときと逆に進んでいると、例の小道へ続く入口が見えた。
この時間、道路もがらがらな為、余裕で右折することが出来た。
見覚えのある道が延々と続く。
矢島が見たという門に辿り着いた。
矢島は車を停め、じっと門の奥に視線を投げた。
矢島典明
矢島典明
金子由美
矢島典明
金子由美
矢島典明
そのとき、背後から強い明かりが照り付けた。
ドキッと2人が振り返ると、逆光の影響ですぐには分からなかったが、
さっきの後続車がいた。
金子由美
矢島典明
後続車は唸らせていたエンジンを止め、ライトの光も消した。
唯一の明かりは矢島の車から発せられるハザードランプのみの暗闇。
チカ、チカ、チカ、チカ
機械的な音と、テンポよく灯るライト。
ライトに照らされた後続車の運転席には誰も乗っていない。
由美の顔色がみるみる青くなる。
矢島はドアを開け外へ出た。
後続車の運転席を覗いた彼は仰天した。
運転席には男が乗っていた。
…いや。
切り離された「それ」は助手席にいた。
道理で無人の車に見えたわけである。
首無し人間がハンドルを握り、助手席に生首が転がっているのだから。
2019.09.15 作
コメント
1件
実際体験したら…😱