テラーノベル
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夜。 家は静かで、時計の音だけが聞こえる。
私はリビングのソファ、 兄はその隣。
距離は、拳ひとつ分。
近い。 でも、遠い。
テレビを見てるはずなのに、 内容は全然入ってこない。
肩が、ほんの少し触れてるだけで心臓がうるさい。
のあ
そう思って、 指先を動かしかけて。
止めた。
だって、ここは家で、 この人は、義理とはいえ⸺兄だから。
ゆあん
兄が気づいて、聞いてくる。
のあ
嘘。
本当は寒いんじゃなくて、 触れたいだけ。
ブランケットを取ろうとして立ち上がると、 兄が先に動いた。
ゆあん
肩に、そっと掛けてくれる。
それだけ。
それ以上、近づかない。
優しいのに、 線を越えない距離。
のあ
小さく呼ぶ。
ゆあん
のあ
言いかけて、言葉が詰まる。
"恋人みたい" "すき" どれも、ここでは言えない。
のあ
そう言うと、 兄は少しだけ困った顔をした。
ゆあん
名前を呼ばれる。
それだけで、胸がきゅっとなる。
ゆあん
低い声。
私は黙って頷く。
ゆあん
そう付け足して、 兄は視線を落とした。
ゆあん
その言葉が、 胸に静かに刺さる。
分かってる。 全部、分かってる。
だから私は、 そっと距離を戻す。
拳ひとつ分。
それ以上、近づかない。
ゆあん
兄が、ぽつりと言う。
ゆあん
私は顔を上げる。
兄はこっちを見てない。 でも、声は優しい。
ゆあん
少し間を置いて、
ゆあん
その言葉で、 胸がいっぱいになる。
触れられない。 抱きしめられない。 キスなんて、論外。
でも。
できないことがあるから、 この気持ちは ちゃんと本物なんだって思えた。
のあ
小さく呼ぶと、 兄は一瞬だけ、こっちを見た。
目が合う。
それだけ。
それだけで、十分だった。
コメント
2件
はぁぁぁぁぁ🤦🏻♀️🤦🏻♀️🤦🏻♀️ 尊い…最高すぎ!!!!!! もう本当に最高だよ~… 本当にRinaの作品大好き🫵🏻💞