20時
レストランA
魔叉琉は入り口の横で 壁に背を預けながら
マサト 聖人を待っていた
10分前には 既に着いていたが
それを相手に期待しても 仕方がない
上着のポケットに 片手を入れて
往来する人々を 目で追う
魔叉琉
無意識にスマホを出す
溜まった通知の中に 紗羅からのLIMEを見つけ
魔叉琉
開きたくなる衝動を 堪えて
また仕舞った
小鳥遊聖人
聞こえた声に顔を上げれば
魔叉琉
小鳥遊聖人
忘れもしない かつての親友が
片手を挙げて 近付いてきていた
小鳥遊聖人
小鳥遊聖人
日本だと5分前には
もう揃ってるもんね
小鳥遊聖人
こっちは気疲れするよ
魔叉琉
小鳥遊聖人
魔叉琉
“普通”に接しろと?
小鳥遊聖人
小鳥遊聖人
魔叉琉
小鳥遊聖人
魔叉琉
魔叉琉
魔叉琉
表情になったのは)
魔叉琉
ただの気の所為…か?)
そんなことを考えながら
それでも相手は 犯罪者なのだからと
気を引き締めて 聖人に続き店に入った
小鳥遊聖人
(赤ワインを)
小鳥遊聖人
(それから…彼にも同じものを)
(かしこまりました)
魔叉琉
小鳥遊聖人
魔叉琉
小鳥遊聖人
魔叉琉
小鳥遊聖人
付き合ってよ
魔叉琉
魔叉琉
魔叉琉
捕まえに来た
小鳥遊聖人
小鳥遊聖人
魔叉琉
魔叉琉
掴んでからな
小鳥遊聖人
小鳥遊聖人
殺しちゃうかもよ?
魔叉琉
魔叉琉
魔叉琉
小鳥遊聖人
魔叉琉
魔叉琉
魔叉琉
小鳥遊聖人
小鳥遊聖人
魔叉琉
小鳥遊聖人
小鳥遊聖人
小鳥遊聖人
魔叉琉
小鳥遊聖人
一方その頃
日本 稔探偵事務所
紗羅は1人
魔叉琉が纏めた 翔星中学惨殺事件のファイルを
丁寧に見返していた
紗羅
紗羅
紗羅
28人…)
紗羅
紗羅
紗羅
新聞の切り抜きが貼られ
その周りに 書き込みがされている
その魔叉琉の字に
じんわりとした温かさが 込み上げてきた
紗羅
なかったとしたら…?)
紗羅
引かれたマーカーの跡は
新しいものも古いものもあり
魔叉琉がずっとこの事件を 追っていたことがわかる
その中に1つ 雑に掻き消された文
紗羅
紗羅
捕まりにいくような奴…
紗羅
とか除いて考えるのに
だからこそ
上から消したのだろう
紗羅
紗羅は1人 電話をかけるために
スマホを出した
魔叉琉
魔叉琉
魔叉琉
小鳥遊聖人
小鳥遊聖人
小鳥遊聖人
小鳥遊聖人
魔叉琉
小鳥遊聖人
小鳥遊聖人
魔叉琉
魔叉琉
魔叉琉
捕まりにいくだろうなって
魔叉琉
小鳥遊聖人
小鳥遊聖人
行動するのは愚かだよ
魔叉琉
視線を落とし
悠々とワインを口に運ぶ 聖人を盗み見る
底の無い闇のような瞳は 今何を映しているのか
魔叉琉
ため息をついて
スマホに手を伸ばそうと した、その時だった
突然、何かが倒れるような 鈍い音が響いた
魔叉琉
そちらを見れば
椅子から転げ落ちたらしい 小太りな男性を
慌てたように揺する女性
小鳥遊聖人
しかしそれに応える前に
女性
(誰か助けて!)
女性
(返事をしないの…!)
その声に、慌てたように 店員の青年が近付いていく
そして
店員
(し、死んでる…!!)
その言葉に、店内がざわつく
魔叉琉
魔叉琉
そのざわつきは大きくなり
店を出ようとする者も 出始めた
魔叉琉
(ッ動くな!)
途端、その場が静まる
魔叉琉は静かに 遺体の傍まで行き
魔叉琉
(殺人事件の可能性もあります)
魔叉琉
(今は動かないで)
続く