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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

20時

レストランA

魔叉琉は入り口の横で 壁に背を預けながら

マサト       聖人を待っていた

10分前には 既に着いていたが

それを相手に期待しても 仕方がない

上着のポケットに 片手を入れて

往来する人々を 目で追う

魔叉琉

(来ないな…)

無意識にスマホを出す

溜まった通知の中に 紗羅からのLIMEを見つけ

魔叉琉

(……紗羅)

開きたくなる衝動を 堪えて

また仕舞った

小鳥遊聖人

あれ、早いね

聞こえた声に顔を上げれば

魔叉琉

……聖人

小鳥遊聖人

久し振り、マサ

忘れもしない かつての親友が

片手を挙げて 近付いてきていた

小鳥遊聖人

ああ、僕が遅れたのか

小鳥遊聖人

ソッチ
日本だと5分前には
もう揃ってるもんね

小鳥遊聖人

そんなんだと
こっちは気疲れするよ

魔叉琉

余計なお世話だ

小鳥遊聖人

つれないな

魔叉琉

どうやって
“普通”に接しろと?

小鳥遊聖人

…そうだね

小鳥遊聖人

ごめん

魔叉琉

え…

小鳥遊聖人

そろそろ行こうか

魔叉琉

……ああ

魔叉琉

(一瞬、一瞬だけ)

魔叉琉

(悲しそうな
表情になったのは)

魔叉琉

(俺の、
ただの気の所為…か?)

そんなことを考えながら

それでも相手は 犯罪者なのだからと

気を引き締めて 聖人に続き店に入った

小鳥遊聖人

Red wine.
(赤ワインを)

小鳥遊聖人

And... could you get him some of the same, please?
(それから…彼にも同じものを)

Yes, sir.
(かしこまりました)

魔叉琉

おい、聖人

小鳥遊聖人

ん?

魔叉琉

俺は

小鳥遊聖人

飲めるでしょ

魔叉琉

飲めるけどな…

小鳥遊聖人

今日は警戒せずに
付き合ってよ

魔叉琉

……

魔叉琉

悪ぃけど

魔叉琉

俺はお前のこと
捕まえに来た

小鳥遊聖人

…へえ

小鳥遊聖人

やってみればいいよ

魔叉琉

そのつもりだ

魔叉琉

お前の犯罪の証拠を
掴んでからな

小鳥遊聖人

その前に僕が

小鳥遊聖人

マサのこと、
殺しちゃうかもよ?

魔叉琉

簡単に殺されるつもりはない

魔叉琉

それに

魔叉琉

俺はあの事件のこと

小鳥遊聖人

あの事件?

魔叉琉

……

魔叉琉

翔星中学惨殺事件

魔叉琉

忘れたとは言わせねーぞ

小鳥遊聖人

…ああ

小鳥遊聖人

マサだけが生き残っちゃったアレか

魔叉琉

ああ

小鳥遊聖人

あれがどうしたの

小鳥遊聖人

もう終わったこと

小鳥遊聖人

被疑者逃亡で未解決…

魔叉琉

あれ、本当にお前単独でやったことか?

小鳥遊聖人

……え?

一方その頃

日本 稔探偵事務所

紗羅は1人

魔叉琉が纏めた 翔星中学惨殺事件のファイルを

丁寧に見返していた

紗羅

(被害者は)

紗羅

(魔叉琉がいたクラスの)

紗羅

(魔叉琉と小鳥遊聖人を除いた
28人…)

紗羅

(遺体には睡眠薬…?)

紗羅

(発見したのは担任、か…)

紗羅

…あ、これ……

新聞の切り抜きが貼られ

その周りに 書き込みがされている

その魔叉琉の字に

じんわりとした温かさが 込み上げてきた

紗羅

(小鳥遊聖人が犯人じゃ
なかったとしたら…?)

紗羅

魔叉琉、そんな方向からも…

引かれたマーカーの跡は

新しいものも古いものもあり

魔叉琉がずっとこの事件を 追っていたことがわかる

その中に1つ 雑に掻き消された文

紗羅

逃げるより

紗羅

堂々と
捕まりにいくような奴…

紗羅

いつも自分の持ってる印象
とか除いて考えるのに

だからこそ

上から消したのだろう

紗羅

……よし

紗羅は1人 電話をかけるために

スマホを出した

魔叉琉

だから

魔叉琉

あの事件は

魔叉琉

お前単独犯じゃねーだろ

小鳥遊聖人

……

小鳥遊聖人

ふっ…

小鳥遊聖人

…っははは!

小鳥遊聖人

あっはははは!

魔叉琉

小鳥遊聖人

突拍子もないこと言いすぎだよマサ

小鳥遊聖人

僕のことからかってるの?

魔叉琉

……いや

魔叉琉

お前なら

魔叉琉

堂々と
捕まりにいくだろうなって

魔叉琉

そう思ってただけだ

小鳥遊聖人

安直だね

小鳥遊聖人

自分の想像通りだと思って
行動するのは愚かだよ

魔叉琉

…かもな

視線を落とし

悠々とワインを口に運ぶ 聖人を盗み見る

底の無い闇のような瞳は 今何を映しているのか

魔叉琉

(…わっかんねーな)

ため息をついて

スマホに手を伸ばそうと した、その時だった

突然、何かが倒れるような 鈍い音が響いた

魔叉琉

…ッ?!

そちらを見れば

椅子から転げ落ちたらしい 小太りな男性を

慌てたように揺する女性

小鳥遊聖人

…椅子から落ちたみたいだね

しかしそれに応える前に

女性

Somebody help!
(誰か助けて!)

女性

He doesn't answer...!
(返事をしないの…!)

その声に、慌てたように 店員の青年が近付いていく

そして

店員

It's dead ......!!!!
(し、死んでる…!!)

その言葉に、店内がざわつく

魔叉琉

(発砲音はしなかった)

魔叉琉

(アレルギーの類か、それとも)

そのざわつきは大きくなり

店を出ようとする者も 出始めた

魔叉琉

ッDon't move!
(ッ動くな!)

途端、その場が静まる

魔叉琉は静かに 遺体の傍まで行き

魔叉琉

Possible homicide.
(殺人事件の可能性もあります)

魔叉琉

Don't move now.
(今は動かないで)

続く

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お久しぶりです! テスト期間中ですが、そろそろ更新したくて! めちゃくちゃ間空いちゃってすみません🙇‍♀️💦 次回もよろしくお願いします!

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