僕のコロシアイ日記

夢だと思いたかった

ここで起きている事の全てが作り物で この悪夢から目覚めたら 皆が笑って待っている現実に …元の世界に戻れるのだと

…振り返ると 皆が笑っている世界は無かった

それぞれが俯き、唖然としている

消えてしまったんだ …この世界から 篠崎楓と飯島尚也という存在は

ドサッ

力なく折れてしまった 両膝がイタイ

立ち上がろうにも力が入らない

目から涙が溢れる

思い思いの悔しさを口に出す

…海斗

海斗がキッと俺を睨む

急に殴られ頭の中が混乱する

「最期は笑って送って欲しい」

恵がいつになく大きな声を出す

今度は、優しい声で

皆が次々と裁判場から出て行く

俺と、海斗を除いて

それだけを言い残して海斗は出て行った

俺は、扉の前に立っていた

此処に来たかった訳じゃ無い 本当は、存在すらもう知りたく無かった

「篠崎楓の研究教室」

ゆっくりと、扉を開ける

沢山の花が出迎えてくれた

「わ、花が沢山…‼︎」

ネームプレートのある植木鉢の近くに 白い紙が置いてあるのが見えた

口ではこう言うが 大体の予想はついていた

手紙だ

この手紙を読んでるって事は 無事学級裁判で私が処刑されたんだね …良かった。

悠希には悪い事しちゃったね。 もし叶うなら、納得して欲しい。 首謀者を殺すのは…悠希じゃ駄目だから

悠希は生き延びなきゃいけない存在だった だって…スノードロップ《希望》だから あのネームプレートと植木鉢の意味、 その人の花言葉…メッセージを 意味すると思うんだよね。

この言葉は悠希にとって 足枷になっちゃうかもだけど… 言わせて欲しい。

後は、お願い。 悠希が…皆を救って！

じゃあこれで、堅苦しいの終わり！

書いてる時恥ずかしくなっちゃった。 やっぱこうゆうのは私らしくないよね。

私はね、私が好きな服装で、 私が好きな言葉遣いで、 私が好きな夢とか趣味を作りたいんだ。

だって、私が1番大好きなのは "私自身"でいたいからね。

自己中心的？ナルシスト？ そんな言葉じゃ表せないよ。

…自分自身が嫌いになった時に 自分が自分の好きな所を知らないと 自分を救ってあげられないでしょ？

…全人類が敵になっても 私自身は1番の味方になってくれる。

…何か、これも小っ恥ずかしいな。

悠希ってさ、私の妹に似てるんだもん

自分を1番にしてあげられない人

どんなに頑張っても上がいる、 もっと努力してる人がいる。

とか、考えてない？

そうやって上を目指すのは凄い事だし 褒められるべき事だと私も思うよ

でもさ

それで自分の事大好きでいられるのかな？

説教みたいになっちゃったかな …私が言いたいのはね

皆、悠希の事信じてるから… 悠希も自分自身の事信じてあげてね。

私の"1番大好きな人"へ、楓より

溢さないようにしていた涙が 止めどなく溢れる

大好きな人が遺してくれた手紙にも 大粒の涙の跡が残ってしまう

「初めまして！私は篠崎楓」

「私は悠希を信じてるから！」

「それじゃあ、バイバイ‼︎」

研究教室には暫くの間 思い出を噛み締める男の泣き声が響いた

ピピピ

モノクロウが新聞を受け取る

新聞の見出しには…

【高校生17名行方不明事件】

の文字があった

〜 1章 〜

【交わした約束に絶望を】

END

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