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ガイド妖精

第1ブロックに到着だ

長い通路の途中でガイド妖精に止められた。

ただの通路のど真ん中。

他の道より広かったり、天井が高かったり、台や器具などの不審な物が置いてあったりもしない。

だけど、入学試験のときは、 壁にすり抜ける隠し通路があったり、 突然地面がやわらかくなったりということもあったから、 ただの通路でも油断はできない。

ガイド妖精

第1ブロックの競技と難易度2択はこれだ

ガイド妖精が発した光を壁に当てると、プロジェクターのように文章が表示された。

【連続あいこジャンケン】 ・1対1のジャンケンでn回続けてあいこになる。 ・2回続けて同じ手を出してはいけない。 【A】3回連続あいこ 【B】10回連続あいこ

ガイド妖精

ABのどちらかを頭の中で念じれば投票になる。

ガイド妖精

投票中の発言は禁止だ

投票中に何かを言えば、直接的な内容でなくても2択を選ぶヒントになるからだろう。

ジャンケンは多人数だとなかなか決着がつかないけど、1対1の場合は連続どころか1回目もあいこにならないこともある。

それを10回も連続でというのは、まず無理だろう。

やるなら簡単そうな3回連続あいこ。

ぼくは頭の中でAを選んだ。

ガイド妖精

投票が終了した。

Aがユウゴ、ユトリ、ホマレの3票。
Bがショウゴ、メイカの2票。

よって、第1ブロックは、難易度Bでショウゴとメイカが行う

ユウゴ

Bって10回連続あいこ?

ユウゴ

そんなの無理だよ

ショウリ

そう思ったから、Bを選んだんだけどね

ショウリが肩をすくめる。

ショウリ

難易度2択は少数派の難易度が選ばれるから、難しい方を多くが選べば、簡単な難易度で出来るだろ?

ユウゴ

そ、そうか

ぼくは自分がやる場合のことしか考えていなかった。

ホマレ

ですけど、全員がそう考えて片方に票が集まり5:0になったら、そこでリバ戦が終わってしまいますわ

ホマレもショウリに反論する。

メイカ

よく言うわ。

メイカ

やるなら簡単な方がいいと思ってAにしたんでしょ

メイカに図星をつかれて、ぼくは閉口した。

ユトリがメイカから視線をそらしているので、彼女がAを選んだのも、ぼくと同じ理由だろう。

ショウリ

なんにせよ、ぼくとメイカが第1ブロックの競技をすることは決まったんだ。

ショウリ

誰とジャンケンをすればいいんだい?

ガイド妖精

チームの者であれば、誰とでもいい

メイカ

じゃー、ショウリとするー

メイカが元気よく手をあげる。

ホマレ

別々の人とジャンケンしたほうがよろしいんじゃありませんの?

ホマレ

ショウリさまとメイカさまでジャンケンをすると、あいこを外した時点でお2人とも未クリアになってしまいますわ

メイカ

ショウリが他の人とおそろい(あいこ)になるのを見たくない

どういう理屈だろう。

ショウリ

まあいいんじゃない?

ショウリ

 時短になるしパーッと始めちゃおうか。
負けたくないし

ショウリも特に異論はないみたいだ。

メイカ

うん

ショウリとメイカが向き合って、右手を上げる。

連続あいこジャンケンで、1番難しいのは1回目だ。

一般的にジャンケンの1回目はグーが1番多く出されるから、パーを出せば勝ちやすいと聞いたことがある。

ただし、これは勝ちを狙う場合のテクニックだから、あいこを狙うのであれば出やすいグーがベターか?

ガイド妖精

はじめろ

ショウリ

じゃーんけーん……

メイカ

ぽん

ガイド妖精の号令で、ショウリとメイカが右手を出す。

出したのは、2人ともパー。

ホマレ

あいこですわ

ユトリ

まずは1回ですね

難所の1回目を超えた。

2回同じ手を出してはいけないルールだから、次に出せるのはグーかチョキ。

確率は1/2だ。

ガイド妖精

2回目

ショウリ

あいこで……

メイカ

しょ

出したのは、2人ともチョキ。

ショウリ

……しょ

その次に出したのは、2人ともグー。

難易度Aだったら、ここでクリアになっていたのに、10連続あいこのルールだから、あと7回も残っている。

メイカ

……しょ

問題の4回目も、2人ともパーを出してあいこ。

その後、5回目、6回目、7回目……とあいこが続き、最後の10回目まで来た。

ショウリ

あいこで……

メイカ

しょ

出したのは、2人ともパー。

10回連続あいこ達成だ。

ガイド妖精

10回連続あいこ確認。
ショウリ、メイカのクリアを認めて、1ポイントを付与する

メイカ

やったー。
10回連続ショウリとおそろい(あいこ)!

メイカはクリアしたことよりも、ショウリとそろったことを喜んでいる。

ユトリ

メイカさんはこれで10ポイントなのに、全然気にしていないですね

ユトリが力無くつぶやく。

メイカは自力で9ポイントまで稼げる実力があるから、クリアできるのは当たり前という感覚なんだろうか。

ホマレ

ショウリさまも秘めた実力はかなりのものですわ

ユウゴ

まあ、ショウリはいつも余裕あるよね

ホマレ

それもありますけど、今の競技はショウリさまが完全にコントロールされていました

ホマレがガイド妖精に聞かれたら不正で失格になるかもしれないと前置きし、ぼくとユトリに耳打ちで説明する。

ポイントはショウリが競技を始める前に言った、『パーッと始めちゃおうか。負けたくないし』というセリフ。

この短いセリフの中で、『パーッと始めちゃおう』はパーから始める、『負けたくない』は次に勝てる手を出すという意味を隠していたと言う。

それを踏まえて今の競技を思い返してみると、 1回目はパーであいこ、 2回目はパーに勝てるチョキ、 3回目はチョキに勝てるグー、 その後はパー、チョキ、グー、パー、チョキ、グーと続いて、 最後の10回目ではパーに戻っていた。

ユウゴ

たしかに

ユトリ

全然気づきませんでした

おどろきの声を上げるぼくとユトリに、ホマレが人差し指を立てて、ガイド妖精に気づかれないよう声を小さくするようにうながす。

競技のルールを聞いてすぐにこの通しを思いついたショウリと、 聞いてすぐに意味を理解したメイカ。

味方としてはとても頼もしい2人だ。

ホマレ

ですけど、リバ戦のルール的にはあまり頼りにも出来ませんわね

ユウゴ

え、なんで?

ホマレ

競技に参加できるのは、最高で2人までだからですわ

ユウゴ

あ、そうか

競技に参加するのがショウリとメイカの時にしか、2人の頼もしさは発揮されない。

裏を返せば、2人が活躍するってことは、ぼく達は競技に参加せず、ポイントも貰えないということだ。

リバ戦はチーム戦ではあるけど、本来は自分の実力不足ゆえにはじめたこと。

誰かに頼って勝ち残ろうなんて気は、捨てていかないといけないな。

アミキティア魔法学校の闇

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