アミキティア魔法学校の闇

連続あいこジャンケンをした場所からしばらく歩くと、今度は広い場所に出た。

天井も高く、正面にバスケットボール、床にもハーフコートのラインが引いてある。

何の変哲もないミニバスのコートが２つ並んでいる。https://lh3.googleusercontent.com/3xy-16FyNI4jXcTeo5IGgLPSyHk2LE4uwJFJHY3m66fhla2hR49RSM1zY611PyW9Z_qEK0ojs2wGgyOlZtWNJg

ゲームのダンジョンみたいな通路から出たら、現代的なスポーツ施設があるのは、変哲がないとは言わないな。

ガイド妖精が発した光を壁に当て、文章を表示する。

【バスケットボール・フリースロー】 ・フリースローラインからボールを投げて、ゴールネットに入れる。 ・ボールを持ってから５秒以内に投げなければ未クリアとする。 【Ａ】10回中１回ゴール 【Ｂ】１回中１回ゴール

普通のバスケのフリースローだ。

さっきのジャンケンもそうだったけど、魔法と関係ない。

リバ戦が退学リーチになった生徒の救済処置だと言っても、簡単すぎやしないだろうか。

バスケなら体育の授業でもやったことあるし、休み時間に友達と遊んだこともある。

フリースロー１回でゴールを決めるのは難しいけど、10回もチャンスがあれば１回くらいなら入れられるはずだ。

ぼくは迷わずにＡを選んだ。

投票の結果に、メイカが不満の声を上げた。

ショウリがなだめるけど、メイカの不満は止まらない。

メイカの気持ちもわかるけど、ユトリはウソを言っていないと思う。

見た目や性格はインドア派なのに、実はアウトドア好きで素潜りで魚捕りするくらいにアクティブな女の子なんだ。

２面並んだミニバスコートの間に、ボールが山盛りに積んだボールカゴが置いてある。

ここからボールを取って使えばいいんだな。

ぼくがボールを取りに行こうとしたら、先にショウリがボールカゴまで走っていって、ひとつボールを投げてくれた。

ユトリもホマレにボールを取ろうとしたが、横からメイカがさっと入り込んだ。

今日は、いつにもましてあたりが強い。

ユトリは小さく

と返事をしながら、コートの外に出ていった。

１投目は２人とも外れ。

バックボードには当たったけど、ゴールの枠に弾かれてしまった。

ショウリのアドバイスを受けて、２投目は右足を前に出したフォームで投げてみた。

なれないフォームでうまく力が加えられず、ボールがゴールまで届かなかった。

今度はメイカからもアドバイスをもらった。

３投目は高めを意識して、ボールを投げてみた。

ボールはバックボードの上ギリギリに当たった後、バウンドして戻ってきて、メイカに当たりそうになった。

バスケットボールって結構大きいから、投げる時の力加減が難しいんだよな。

後ろで見ていたユトリからも声をかけられた。

ユトリからのアドバイスを参考に、４投目は回転をかけるようにボールを投げてみた。

ボールはゴールの枠にぶつかって弾かれた。

さっき力を入れすぎたからって、今度は力を抜きすぎた。

となりのコートで、ホマレが歓声を上げた。

ホマレがゴールを決めたみたいだ。

失敗続きのぼくとしては、成功者のホマレからもアドバイスをもらいたい。

３人からのアドバイスを完璧に活用した結果だった。

ぼくもボールがゴールまでは届いているんだし、あと一歩のところまでは出来ているはずだ。

それに、まだ４投目で、投げられるチャンスは残り６回と半分以上ある。

４人の声援（じゃないのもあるけど）を受けて、心のエンジンをオンにする。

５投目、６投目、７投目、８投目、９投目、10投目……全部外した。

ガイド妖精からの最後のジャッジ。

ただフリースローを決めるだけで２ポイント。

こんなおいしい競技で外してしまった。

頭をかかえて、ひざから崩れ落ちた。