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轟が千夏の過去を知る瞬間
放課後、訓練場βにて
実技訓練が終わったあと、千夏はひとりで残っていた。 水の制御が上手くいかず、悔しさを隠すように笑っていたが、 本当は手が震えていた。 轟は帰ろうとしたとき、 どこか不自然な水音に気づく。 訓練場の隅── 千夏の周囲だけ、床が濡れていた。 彼女の個性が無意識に滲み出ている証だった。
轟焦凍
話しかけようとしたとき、 教師の相澤が入ってくる。
相澤先生
その言葉で、轟は足を止めた。 “事件”という言葉に、千夏が小さく肩を震わせる。
夏野千夏
相澤は首を振り、淡々と言う。
相澤先生
千夏は答えられず、目を伏せた。 そのまま相澤と一緒に訓練場を出ていった。 扉が閉まる直前、 千夏の「ごめんなさい」という小さな声だけが残った。
扉の向こうで聞いていた轟
轟は動かなかった。 千夏がいつも笑う裏で、 そこまで深い傷を抱えていたことを、 彼は知らなかった。 思い出すのは、訓練中に千夏が見せる “自分より周りを優先する行動”。 そして個性を使う時の、 ほんの一瞬の迷い。
轟焦凍
自分が長年抱えていた感覚と よく似ていた。 力が暴れてしまうかもしれない恐れ。 誰かを傷つけてしまうかもしれない不安。 それを押し殺すように、千夏は笑っていたのだ。
轟焦凍
水たまりに映った自分の影が揺れる。 千夏の震えた声が頭から離れなかった。
次の日からの変化
轟は何も言わなかったが、 千夏の様子をよく見るようになった。 危険な訓練の前は必ず千夏の近くに立ち、 無茶をしそうになると、さりげなく止める。 千夏は気づいていない。 ただ、轟の視線が増えたことだけが気になっていた。
主