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レンタル彼女、一生分レンタルすることになりました。

第14話 - 第14話『動き出す闇』

2025年03月31日

#創作

#恋愛

#レンタル彼女

#長編

ぴーぴぴまる。

柊綾人

結衣と遊園地に行ってから数週間が経った

柊綾人

あの遊園地デートでは本当に様々なことが起こったが、結果としては楽しかったしおそらく結衣も楽しんでくれただろう

柊綾人

あれからの日々はいつもと特に変わらず、俺は相変わらず一人で黙々と仕事に取り組んでいた

柊綾人

今もまたパソコンをカタカタと打ち続けているのだが…

コンコン

柊綾人

扉の外からノック音が聞こえたので

柊綾人

「入っていいぞ」

柊綾人

そう返事をすると同時に

如月結衣

「ごめんねー急に。今大丈夫だった？」

柊綾人

同居人である結衣が俺の部屋に入ってきた

柊綾人

「おう、全然大丈夫だぞ。それでどうした？なんかあったか？」

如月結衣

「えっとね、少しわからないことがあるから教えてほしくてさ」

柊綾人

「あーそういうことか。わかった、少し見せてくれ」

如月結衣

「はーい」

柊綾人

結衣はそう返事をすると同時に俺の座っている椅子の横に来て

如月結衣

「ここなんだけどさ、ここからどういう風に進めればいいかわからなくてさ…」

柊綾人

このような日々が気づいたら当たり前になっていた

柊綾人

1ヶ月ほど前からだが結衣は俺の仕事を手伝うようになっていた

柊綾人

結衣に俺の仕事をやらせようとは思ってなかったが、結衣が自分から手伝わせてほしいと言ってきたので、少しずつ俺の仕事を分けている

柊綾人

俺の家に住んでから最初の方はレンタル彼女の方の事務作業があったようだが、今は客が俺だけの状態になっているから事務作業とかもやることがなくなったらしい

柊綾人

それにただでこの家に住んでいるからなにかしら手伝いたいという気持ちもあったらしい

柊綾人

俺が原因でこの家に結衣が住むことになったのにこんな謙虚(けんきょ)に色々と気を遣ってくれている

柊綾人

もしかして結衣は天使なんじゃないか？

柊綾人

などとも正直思った

如月結衣

「それであとはここを押せばいい感じなの？」

柊綾人

「え？あぁ…」

如月結衣

「ん？どうしたの？」

柊綾人

「いや…別になんでもない…」

如月結衣

「ふーん」

柊綾人

あまりにも近すぎる

柊綾人

あの遊園地デートのあとからだろうか、ここ最近ずっと結衣の距離が近いような気がする…

柊綾人

これはわざとなのだろうか…それとも無意識なのだろうか…

柊綾人

結衣の反応的には多分無意識なんだろうけど…それにしてはあまりに無防備すぎる…

柊綾人

前からこんな感じではなかったはず…これは信用してくれてる…ってとらえればいいんだよね…？

如月結衣

「ていうかあやと君さ」

柊綾人

「えあ？うん、なんだ？」

如月結衣

「なにその反応、どうしたの？」

柊綾人

「いや、いきなり声かけてきたから」

如月結衣

「んまぁいいや」

如月結衣

「それよりもさ、なんで私もこの部屋で作業するのだめなの？」

柊綾人

「いや、ここ一応社長室って扱いだからね？そこで仕事するのってあまり聞かなくない？」

如月結衣

「なーんかそういう堅苦しいのやだなー」

柊綾人

「やだって言われても…それにわざわざここで作業する理由もなくないか？」

如月結衣

「わかんないことあったらすぐ聞けるじゃん？」

柊綾人

「電話でもいいだろ」

如月結衣

「でも仕事中あなた電話でないじゃん」

柊綾人

「そんなことないぞ。電話なったらすぐ出るぞ」

如月結衣

「今すぐスマホ確認してみな」

柊綾人

「えっ…」

柊綾人

結衣がそういうのでスマホを取り出し画面を見ると…

柊綾人

「着信履歴…16件…」

如月結衣

「電話がなんだって？」

柊綾人

「すみませんでした」

如月結衣

「っていうわけだからここで作業するね！」

柊綾人

「いや、だめだ！」

如月結衣

「なんでよ」

柊綾人

「俺がここでいかがわしい動画とか見てるって可能性を結衣は考えなかったのか？」

如月結衣

「え、仕事中にそういうの見るの？やば」

柊綾人

「ちょっと待ってドン引きは話が違う」

柊綾人

「んまぁ正直に言うと一人の方が集中できるのよ」

如月結衣

「なら最初からそういえばいいじゃん」

柊綾人

「いやなんか面白いかなって」

如月結衣

「めんどくさい人だな〜」

柊綾人

などと俺たちは雑談をしながらもそれぞれ作業に取り掛かるのだった

柊綾人

「どうもこんにち…」

天音未央

「へいらっしゃい！！！」

天音未央

「きのこ大好きメロン探偵事務所の名探偵天音未央だぜ！」

柊綾人

なんかいろいろ増えてね？

柊綾人

「あの…その挨拶マジでやめた方がいいっすよ…」

天音未央

「なんでだよ！元気があって良いじゃないか！」

柊綾人

「その挨拶聞いた客全員びびって逃げ出しますよ」

天音未央

「ふむ、なるほど…やっぱりきのこはなくても良いのか…」

柊綾人

「絶対そこじゃないです」

柊綾人

「なんかもう疲れたんで帰っていいすか？」

天音未央

「おいおいちょっと待てよ！！」

天音未央

「まだ私の挨拶が決まってないじゃないか！」

柊綾人

「帰りますわおつかれした〜」

天音未央

「冗談だから！アメリカンジョークならぬアマネメンジョークだから！！」

柊綾人

「意味が分からないです」

天音未央

「まぁまぁとりあえずそこ座ってくれ」

天音未央

「色々話すことがあるからな」

柊綾人

「はい…」

柊綾人

やっぱりこの人のこのテンションを相手すると疲れるし頭おかしくなりそうだ…

柊綾人

と俺は思った

天音未央

「さてさて、色々とわかったこととかあるから順番に話していくな」

天音未央

「まずは遊園地でお前が見たっていう結衣のところの事務所の社長についてだな」

柊綾人

「はい、あの男はただものじゃないというか、自分の事務所に所属している人たちを道具みたいに見ているような気がしたんです」

天音未央

「まぁお前がそう思うのも無理はないな」

柊綾人

「というと…？」

天音未央

「私もその男が気になって色々調べたんだが、この男の過去は普通じゃなかったんだ」

天音未央

「この男には前科がある」

柊綾人

「前科！？」

天音未央

「あぁ、10年ほど前になるがこの男は今はもう壊滅したとある暴力団グループとの闇取引の常習犯だ」

柊綾人

「暴力団との闇取引…具体的にはどんなものを取引してたんですか？」

天音未央

「まぁそうだな。拳銃だったり薬物、あとはこいつがハッキングして盗み取ったいろんな人の個人情報だ」

柊綾人

「個人情報…？」

天音未央

「あぁ、奴は元エンジニアでその手の物には詳しかったらしい」

天音未央

「ある日会社をリストラされ職がなくなってからこういう犯罪の道に進んだらしい」

柊綾人

「そうだったんですか」

柊綾人

「あの男はもしかして今も…」

天音未央

「正直そこはなんともいえない…なにしろ奴が出所する前にその暴力団は壊滅したし、出所後に奴が同じようなことをしているという目撃も証拠もない」

天音未央

「ただまぁ、レンタル彼女の事務所を経営してるが奴は恐らく…」

柊綾人

「金目的…ですよね…」

天音未央

「あぁ多分な」

天音未央

「だがそれはそういう経営方針であって、法に触れてないこっちから何か動くこともできないな」

柊綾人

「まぁそうですよね」

天音未央

「現時点で奴は特に大きな行動もしてない。とりあえずこっちがなにか動く必要もないな」

天音未央

「それで次だ。お前がずっと気になっていたあの件だ」

柊綾人

「はい…」

柊綾人

俺はずっと結衣のとある行動に疑問を感じていた

柊綾人

結衣はなぜか毎週月曜日と木曜日に出かけている。結衣にどこに行くのか聞いたが事務所に行くと答えていた

柊綾人

だが結衣はレンタル彼女での仕事はほとんどないと言っていたが週2回も、しかもわざわざ毎週同じ曜日に出かけているので俺は不審に思っていた

天音未央

「それで結衣の行き先を調べた結果、毎回同じ場所に行っていた」

天音未央

「そこは事務所ではなく、病院だ」

柊綾人

「病院…？結衣が病気を患っている(わずらっている)だなんて聞いたことがないな…」

天音未央

「彼女が病院に行っているのは別の理由だ」

柊綾人

「別の理由？」

天音未央

「あぁ、結衣は円のお見舞いに行っていたんだ」

柊綾人

「…！！」

天音未央

「どうやら円はあの事故からずっと昏睡状態らしい」

柊綾人

「そうだったんですね…」

天音未央

「細かい状態とかはさすがにわからなかったがとりあえず今そういう状態ではあるとだけは伝えとくぜ」

柊綾人

「わかりました。ありがとうございます」

柊綾人

今回知れた情報で結衣の周りの事情はなんとなく把握することができた

柊綾人

「結衣についてここから先のことについてはもう調べなくて大丈夫です」

天音未央

「ん？なんでだ？なんか納得いく結論でも出たのか？」

柊綾人

「いや、そういうわけじゃないんですが…」

天音未央

「それじゃあどうして…？」

柊綾人

「あとは結衣の口から直接聞きたいんですよ」

柊綾人

「ここまで調べてもらっておいて今更なんだって思うかもしれないんですけど、それでも全部こっちで調べてっていうのはなんかモヤモヤするんですよ…」

柊綾人

「今僕たちが知ったことはあくまで一部。結衣が根本から抱えてる問題自体は結衣が直接話してくれることを持った方がいいんじゃないかと思いましてね」

柊綾人

「僕が結衣を信じているように結衣が僕のことを信じてすべてを打ち明けるまでは結衣との関係をより築いていった方がいいかなって」

天音未央

「そっか」

天音未央

「わかった、あやとがそういうなら私もお前の言うとうりにするよ」

柊綾人

「すみません、こんなわがままで生意気なことを…」

天音未央

「いいさ、気にするな」

天音未央

「にしてもお前は本当に結衣のことよく考えてんだな」

柊綾人

「まぁそうかもしれないですね」

天音未央

「なんか弱みでも握られてるのか？」

柊綾人

「そんなんじゃないですよ」

柊綾人

「ただ僕は…」

柊綾人

「・・・・・・・・・」

天音未央

「そういうことか、納得したぜ」

柊綾人

「本当にすみませんねこんなわがままで」

天音未央

「別に良いってことよ！」

柊綾人

こうして俺は結衣が抱えている問題へまた一歩進んだのだった

？？？

「あぁ。前送った通りに頼む」

？？？

「大丈夫だ。その約束は守るよ」

？？？

「わかってる、表には出ないようにする」

？？？

「よし、それじゃあよろしく頼むよ」

レンタル彼女、一生分レンタルすることになりました。

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