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レンタル彼女、一生分レンタルすることになりました。

第15話 - 第15話『繰り返す悲劇』

2025年04月03日

#創作

#恋愛

#レンタル彼女

#長編

ぴーぴぴまる。

如月結衣

「ねぇねぇ、あやと君！」

柊綾人

「うん？どうした？」

柊綾人

二人で朝食を食べているとき、突然結衣が声をかけてきた

如月結衣

「今日ってさ、これからなにか用事あったりする？」

柊綾人

「今日か？午前中はちょっと仕事で終わらせなくちゃいけないものがあるから少し忙しいけど…」

柊綾人

「まぁでも午後は比較的時間あるな。どうした？なんかやってほしいことでもあるのか？」

如月結衣

「うん、ちょっとね…」

柊綾人

そういいながら結衣は一枚のチラシを俺に出してきた

柊綾人

「ん？これってたしか…」

如月結衣

「そう、近所のスーパーのチラシだね！」

如月結衣

「ここのスーパーでいつも買い物してるんだよね。ここのスーパー結構安いし」

柊綾人

「そうなんだ。それでこのスーパーがどうしたんだ？」

如月結衣

「実はね、今日このスーパーでセールやってるの」

如月結衣

「今家に食材だったり洗剤だったりが全然ないから今日で一気に買い込もうかなって思っててさ。それでね…」

柊綾人

「それで…？」

如月結衣

「…」

柊綾人

「結衣…？」

如月結衣

「なに、ここまで言ってまだ何が言いたいかわからないの？」

如月結衣

「それくらいいちいち言わせないでよ？」

柊綾人

「あぁ、そういうことか！」

如月結衣

「お、わかってくれた？」

柊綾人

「おう！」

柊綾人

「お金足りないからほしいってことだろ？そんなわざわざお願いすることでもないからな！」

如月結衣

「…はぁ」

如月結衣

「あなたって人は本当に…」

柊綾人

「…え？」

如月結衣

「もういいよ。察してほしいって思ってた私がバカだった」

如月結衣

「スーパーでセールやっててまとめ買いしたいから一緒についてきてってことだよ！」

柊綾人

「あーそっちか！」

柊綾人

「まぁ今日の午後で良ければ全然付き合うけど午後でもいいか？」

如月結衣

「うん、いいよ！」

如月結衣

「それじゃ荷物持ちお願いね！」

柊綾人

「はいよ」

柊綾人

そうして俺は結衣の買い物に付き合うことになった

柊綾人

今思えば結衣とこうやって生活するようになってからかなりの年月が経ったな

柊綾人

もうあと数ヶ月で一年か…

柊綾人

今思うと出会った当時の関係は最悪だったけど今となってはなんだかんだでうまくいってて個人的には少し安心している

柊綾人

この先もずっとこのままの生活が続くのかどうかはわからないけど、結衣はこの生活をどう思っているのだろうか

柊綾人

ここ最近はなにかこの生活に対して文句だったり愚痴を漏らしたりすることはないけど不満がないってことなんだろうか。それともただただ我慢しているだけなのだろうか

柊綾人

個人的に結衣がどう思っているのか気になるがまぁ、直接確認することは難しいだろうなぁ…

柊綾人

と俺は心の中でそんなことを考えながら朝食を食べ進めるのだった

柊綾人

あれから時間が経ち今は夕方。4時くらいだろうか

柊綾人

俺は結衣の買い物に付き合っている

柊綾人

「そういえばこのスーパーに来るのも結構久しぶりだな」

如月結衣

「まぁ、私が全部買い物してるからね」

柊綾人

「いやマジ本当にありがとうございます超助かってます」

柊綾人

「ま、まぁ今回はいっぱい荷物持つからさ…」

如月結衣

「ちゃんと持ってよ？今日いっぱい買い込むからさ」

柊綾人

「まかせろ。力には自信あるからな！」

如月結衣

「あなた力あるイメージないんだけど」

柊綾人

「何を言ってる。怪力だぞ俺は」

如月結衣

「でもあなた筋肉とか全然なくない？それに運動すらしてないようにも見えるけど」

柊綾人

「今の時代は細マッチョが良いんだぞ！」

如月結衣

「それで最後に運動したのは？」

柊綾人

「うーん一年以上前かな？」

如月結衣

「うん絶対あなた非力だよね」

柊綾人

「そんなことないぞ。それに運動しなくても普段から歩いてるし」

如月結衣

「でも全然外出てないじゃん」

柊綾人

「バカ言うな。俺はこれでもアウトドアなんだぞ！」

如月結衣

「じゃあ最後に外出したのいつ？」

柊綾人

「一周間ぐらい前」

如月結衣

「ヒキニート」

柊綾人

「仕事してるんだが！？」

柊綾人

などとこうやって会話したながら俺たちはスーパーの中を歩いていた

柊綾人

なんやかんやでこんな日常が幸せなんだなぁと感じるようになってきた

柊綾人

結衣と出会う前までは人との絡みなんて全くと言っていいほどなかったし、女の子と話すことなんて数年なかった

柊綾人

当時から見たら今の俺は考えられないんだろうな

柊綾人

隣に女の子が歩いているどころか一緒に住んでるんだし

如月結衣

「どしたの急に黙っちゃって。それになんか難しい顔してたけどなんか考え事？」

柊綾人

「んまぁちょっとな」

如月結衣

「それならこの結衣ちゃんが聞いてあげよう！」

柊綾人

そういいながらドンっと胸を張る結衣。張れるほどの胸はなさ…

如月結衣

「今何考えた？」

柊綾人

「いやほんと何も考えてないっすマジで」

如月結衣

「そっか」

柊綾人

いやマジでなんで心読めるんだ怖すぎだろ

如月結衣

「まぁそれはいいとしてどんな考え事してたの？」

柊綾人

「いや別にいうようなことじゃないって」

如月結衣

「一人で悩むよりも二人で悩んだ方がいいでしょ？」

如月結衣

「それにあなた前言ってくれたじゃん？俺は結衣の味方だって。私も同じだよ」

柊綾人

「そう言われたら言わないって選択肢なくなるじゃねぇか…」

柊綾人

「まぁそのなんていうか。昔の俺じゃこうやって女の子とか絡むことなんてなかったなとか」

如月結衣

「とか？」

柊綾人

「んまぁ今というか最近よく考えることなんだけどな」

柊綾人

「こうやって一緒に生活することになってからもう一年近く経つじゃん？」

柊綾人

「最初の方は結衣いろいろ不満というかまぁそんな感じのこと言ってたけど最近言わなくなったからもしかして我慢してるのかなぁなんて」

如月結衣

「！！」

如月結衣

「もう、そんなことでわざわざ考え込まなくたっていいよ！」

柊綾人

「いやでも…」

如月結衣

「そんなネガティブに考えないでよ。不満なんてないよ」

如月結衣

「まぁもちろん最初の方はさすがに色々と不満はあったけどね」

如月結衣

「いきなりほとんど何も知らない人と生活することになったんだから」

如月結衣

「でも今はさ、あやと君のこと色々知ってさ」

如月結衣

「この人ならなんか一緒に生活してても大丈夫だなってなってきたの」

如月結衣

「だからまぁ、今別に我慢してるとかじゃなくてただ不満がないだけだよ」

如月結衣

「強いて言うならもっと荷物持ち付き合ってほしいくらいかな」

柊綾人

「結衣…」

柊綾人

「そっか。ならよかったよ。それ聞けて安心した」

柊綾人

「荷物持ちは…まぁ気が向いたらってことで…」

如月結衣

「そこ毎回やるって言ったら好感度爆上がりだったのになぁ〜」

柊綾人

「だって荷物持ち疲れるし…」

柊綾人

なかなか聞きづらいと思ってたけど結衣のおかげで結衣の本音を聞けた気がする

柊綾人

なんだかんだで結衣は俺のこと信用してくれてるみたいで正直安心したし少し嬉しかった

如月結衣

「なんかお互い真面目な会話しててらしくないね」

柊綾人

「まぁ確かにな。でもたまにはこんなのもありじゃないか？」

如月結衣

「まぁ全然いいけどなんというか…少し気まずいよぉ」

柊綾人

「気まずいとか言うなよ。これでもレンタル彼女だろ？」

如月結衣

「でも私コミュ障だもん」

柊綾人

「んなわけないだろ。結衣のどこがコミュ障なんだむしろうるさい部類だろ」

如月結衣

「ん？もしかして今バカにされた？」

柊綾人

「いやめっちゃ褒めたところだ」

如月結衣

「そっか、ならいいや。えへへ〜」

柊綾人

…ちょろくないか？

柊綾人

「ていうかどんだけ買うつもりなんだ！？」

柊綾人

「もうとんでもない量かごに入れてるが…」

如月結衣

「いやだって今日は優秀な荷物持ちさんがいるんだもん。いつもの倍は買わないとね」

柊綾人

「いやでもこの量は…」

如月結衣

「あやと君は力持ちでしょ〜？」

柊綾人

「ぐ、ぐぬぬ」

如月結衣

「いやー力持ちの荷物持ちさんがいてくれるおかげで助かるな〜」

柊綾人

「ち、ちくしょう…」

柊綾人

「そ、そんなもんにしないか結衣…？」

如月結衣

「えーしょうがないな〜」

如月結衣

「じゃあ今かごにある分はちゃんと持ってね〜」

柊綾人

「は、はい…」

如月結衣

「ちゃんと持って帰れたら今日はあなたの大好物のから揚げにしてあげるよ？」

柊綾人

「よっしゃまかせろやったるわ」

如月結衣

「相変わらず切り替え早いなぁ」

柊綾人

とスーパーで買い物しながらまた他愛のない雑談をしていた

柊綾人

本当に特別なこともないこの日常がいつの間にか俺は好きになっていてずっとこのような時間が続いてほしいと思うようになった

柊綾人

「お、重い…」

如月結衣

「ほら、もう少しで着くから頑張ろうよ！」

柊綾人

「結衣、お前の苦労がこれでよくわかったよ…いつも買い物行ってくれてありがとう…」

如月結衣

「わかってくれたのは嬉しいけどそれくらいは自分で持ってよ？私の方も結構重いんだから」

柊綾人

「は、はい…」

柊綾人

「にしてももう結構暗くなってきたな」

如月結衣

「だねー。結構長い時間スーパーにいたもんね」

如月結衣

「ほら、そこの信号渡ったらもうすぐだよ！がんばろ！」

柊綾人

「あぁ。そうだな」

柊綾人

そうして数分歩きやがて信号の前までたどり着いたその刹那…

キィィィィィィィ

如月結衣

その時、私はフラッシュバックした

如月結衣

あの日あの時起きた出来事を。一台のトラックによって日常が奪われてしまったことを。そしていつのまにか体が勝手に動いていて…

如月結衣

「あやと君危ない！！！」

ドンッ！！！！

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