/s/[storyId]/_components/heading/assets/back_arrow_icon.4081080bcaba67b8.svg){kind=icon}
/s/[storyId]/_containers/report-container/assets/more-icon.20cfac1b79e24f56.svg){kind=icon}
No.4 秋葉洋平 ｱｷﾊﾞﾖｳﾍｲ
秋葉 洋平
心…
心からの手紙が遺書代わりであることを
まどかが心を捨てて出ていったことを
自分が家族を苦しめたことを
自分が死刑になって死ぬことを
全てを
知った。
本田 大輔
秋葉さん？何してるんですか
秋葉 洋平
あ、本田か
秋葉 洋平
悪い、今は一人にしてくれないか
本田 大輔
わかりましたよ
本田 大輔
死刑になった身で今さら自分の犯した過ちを知るなんて…
本田 大輔
遅すぎるんだよ。
秋葉 洋平
本田、さっきは悪かったな
本田 大輔
いや、大丈夫です
本田 大輔
それにしても、刑務所歴は俺の方が先輩ですからね、秋葉さん。
秋葉 洋平
それは、誇ることでもないだろう
本田 大輔
あは、そうですよね…
秋葉 洋平
それにしても、最近元気無くないか？
本田 大輔
そんなことないですよ
本田 大輔
というか、この刑務所で元気って…
秋葉 洋平
よっぽど能天気なやつだって？
本田 大輔
どうして言おうとしたこと…
秋葉 洋平
一緒に過ごしてるからだろ
秋葉 洋平
いつも近くで
本田 大輔
そうですよね、友達って言うより
本田 大輔
一緒に暮らしてるようなものですもんね
秋葉 洋平
あぁ…
そして何年かの月日が経った。
死刑執行の日が近くなってきたこの頃。
本田から思いもよらないことを告げられる。
秋葉 洋平
よう、本田
秋葉 洋平
本田ってなんで死刑になったんだ？
本田 大輔
俺、ネットカフェ難民だったんですよね…
本田 大輔
そこで出会った人と揉めて、カネを渡さないといけなくなったんです
本田 大輔
でも、俺にはそんなカネなんてなくて。
本田 大輔
火事で家も家族も失った俺には、住所がないし
本田 大輔
通帳も燃えたしすべてないから就職だってできないんです
本田 大輔
だから、もう我慢できなくて。
本田 大輔
俺、真面目に生きてたんですよ。一応東大目指してたし。
本田 大輔
なのに…真面目に生きてる俺もいるのに、カツアゲする人間もいる。しかも、ネットカフェ難民をですよ？
本田 大輔
だから、許せないなって。
秋葉 洋平
ああ…それで？
本田 大輔
俺、ネットカフェに火をつけたんです。
秋葉 洋平
それで、死刑に？
本田 大輔
はい。何人も殺しましたよ。放火で
本田 大輔
俺、刑務所暮らしの方がご飯も出るしいいかなって。
秋葉 洋平
ふうん。
秋葉 洋平
刑務所暮らしもホームレスとかによっては羨ましいって言うしな。
本田 大輔
そうです
本田 大輔
それでね、刑務所生活してきて、一番心に残ってることは
本田 大輔
姉が死んだことです
本田 大輔
ずっと、俺の味方でいてくれた姉です
本田 大輔
殺されたんですよ、通り魔に。
本田 大輔
秋葉洋平って言うね…
秋葉 洋平
え、俺？
秋葉 洋平
俺が、本田のお姉さんを？
本田 大輔
本田明莉って言うんですけど
秋葉 洋平
本田…明莉…
秋葉 洋平
悪い、本田。でも俺…ちゃんと罪を償うから…
本田 大輔
でも、俺、秋葉さんと親しくなれて嬉しかったです。
本田 大輔
普通に、楽しかったです。
本田 大輔
この刑務所暮らしの中では、楽しみでした
本田 大輔
それに、俺の死刑執行の前に秋葉さんの死刑執行だから
本田 大輔
姉の敵をとれますね。
秋葉 洋平
本田…
本田 大輔
さよなら、秋葉さん
死刑執行日
秋葉 洋平
色々と、悪かったな。
秋葉 洋平
迷惑かけたな。
秋葉 洋平
家族だけじゃなくて、被害者も、被害者遺族にも…
本田 大輔
でも、俺、秋葉さんが来てくれてよかったです。
本田 大輔
姉の敵もとれますし、楽しかったし。
本田 大輔
ありがとうございました。
本田 大輔
まあ、俺も迷惑かけてますから。いろんな人に
本田 大輔
だから、秋葉さんに向かって僕が言える立場じゃないんですけどね…
本田 大輔
改めて、さよなら、秋葉さん。
秋葉 洋平
おう。ごめんな。本田。
秋葉 洋平
(心、まどか、申し訳ない。)
秋葉 洋平
じゃあ、いってくるよ
本田 大輔
はい
秋葉 洋平
迷惑かけて、悪かったな－
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。
