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愁雨
愁雨
たまに、ふと思うことがある。
早く、言わないといけないんだろうなって。
きっと言った方があいつらを安心させられるし、あいつらにもあまり迷惑をかけずに済む。
だから言った方がいいとは思うんやけど…もしアカンかったらどうしよっていつも怖なるんよな。
もし相談して、あいつらに嫌われたらって…。そんなことないんやろうなとは思うんやけど…。
…多分。
でも…もしバレてあいつらに迷惑をかけたら?
あいつらを怒らせたら…?
あいつらに…嫌われたら…?
嫌だ嫌だ嫌だ。怖い怖い怖い怖い。
そんなんなるくらいやったら言わんでいい。
いじめのことなんて。
ふと目を覚ますと、体は震え、目から雫が1滴。静かにそっと消えていっていた。
口からは言葉にならない声が出て、体の震えは未だに止まらない。
また、同じ夢を見た。苦しくて、苦しくて、たまらなくなる夢。
俺が恐怖で意識を落としそうになったとき、コンコン、とノックする音がして
らっだぁ
と、いつものらっだぁお兄ちゃんの声がした。
ロボロ
夢の内容が現実に起きそうで怖くなって、返事が恐る恐るになってしまった。
らっだぁ
らっだぁ
まず俺は、お兄ちゃんがいじめのことについて言わないのに安堵した。
続いて、らだ兄が少し焦っているように見えた俺は
今がまだ、4時をまわったところだということを確認し、らだ兄に
ロボロ
とだけ言ってキッチンまで走って向かった。微かに「ごめぇぇん!」と聞こえた気がした。
ロボロ
と、ため息を付きながら、具材をサクサクと切っていた。急に手伝うなんて言われて何事かと思ったけど…
料理を焦がされる方がもっとマシだったのかもしれない。
会議まであとどのくらいあるかわからないなか、とりあえずものすごく急いだことだけは覚えてる。
ロボロ
そう急かしながら、急いでらだ兄に弁当を渡し
ロボロ
らっだぁ
と2言の会話をした。らだ兄はいつも大事なことを言うのが遅れる。
だからいつも俺は困らされるのだ。
でも…
でも、それでいいと感じている自分がいる。
学校が辛くたって大丈夫。俺には皆がいるし…ね。
それから俺は皆を起こして、朝食を食べることにした。
"いただきます"
その一言から我が家の食事は始まる。時間がないので誰も食事中に話はしない。そして、
"ごちそうさま"
その一言で皆は一斉に学校に行く準備や、仕事に行く準備をする。
やれやれ、前日にやっておけばいいのに。
とは思うものの、やはり大好きな兄弟なんだから仕方ないと思ってしまう。
そしてみんなの準備が終わると、できるだけバラけて皆は学校に行く。これが一連の流れだ。
と、まぁ、俺も例外ではないわけだけど。
でもやっぱり少し寂しい。皆はそれぞれの友達のところに行って、楽しく話しているけど
俺はやっぱり一人だ。まぁコミュ障だから仕方ないけど。
でもこんな俺にも、数年前までは1人友達と言えるやつがいた。
そいつは飛び級して、一気に軍に入ったが、それまではなぜか俺といつも一緒にいてくれた。
その名前は"ゾム"
いつも何かしら変な方法で出てきては、俺を驚かしてきていた。けど、その時はまだ学校でも浮いてなかったと思う。
あいつがいなくなって、本格的に一人も友達がいなくなった俺は、次第に変に絡まれることが多くなっていった。
そしてそれがそのうちいじめになって、俺は毎日暴力を受けている。
とまぁ、大変そうな人生に聞こえると思うけど、お兄ちゃんや弟たちがいるだけで幸せだから、なんだかんだ楽しくやっている。
そんな考え事をしていると、港についた。学校は孤島のような場所にあるため、船で移動する必要があるのだ。
ということで、俺は船に乗った。
わけなんだが、まさに船は豪華客船といわんばかりのものだった。毎日通っている身でもやはり乗るのに多少躊躇ってしまう。
そしてもう1つ、いつもどおりの景色がある。それは、目の前にある人の塊だ。
もちろん"あいつら"を囲むための。本当に人気すぎるよなぁ、と思いながらそっちを見ていると、たまたまレウと目があった。
するとレウがこっちを向いてニコリと笑った。おいおい、そんなことすると…
と、その瞬間、女子たちのものすごい歓声が船内に響き渡った。
…言わんこっちゃない。と思いながら、耳が死にそう、という顔をしている弟たちを見て、少し笑ってしまった。
あれから学校について、今からホームルームだ。
正直言うと、こんな学校実際意味ないってのは知ってるんだよな。弟たちのために来てるだけで。
だって俺は、"見てきたんだから"
正確には、俺"達"は見てきたか。
昔、捨てられたばかりで何もなかった俺達は、ただただ彷徨い歩いていた。
そして不幸なことに、スラム街についてしまった。もちろん、俺達はスラム街なんて知りもしなかった。
だから、急に攻撃されたときは、すごく驚いた。そしてその時、弟の1人が怪我を負った。
あまりのショックに、俺は理性を失った。そしてそいつを捕まえて殺した。
特に何の情もでなかった。殺したあとはただ淡々と弟たちのいるところに帰った。
すると、弟の傷が治っていた。「何が…あったん?」と兄に聞くと
弟の手を握りながら "もし"弟が狙われていなかったら "もし"弟に怪我が無かったら と考えた瞬間、弟の傷が治ったらしい。
そして俺達は能力の存在を知った。これでやることは1つ。まず、少しだけ、本当にほんの少しだけお金を出して住める家を買う。もちろん誰かが大人のフリをして。
まぁ丁度いい家を見つけるまでは結局ここ暮らしのままなんやけど…。
あとは仕事を探さなきゃだめだ。ということで兄さん2人には仕事を探してもらうようお願いした。
でも今安定しなくても、多少は稼げる仕事につかないといけない。
俺には何がむいてるのだろうかと思った。
まずこんな子供に仕事させてくれるところがあるのか?という話だ。
正直俺が決める立場だったらこんな見ず知らずの、身分証明書も何も持ってない子供に仕事なんて任せられない。
じゃあ、何をすればいい?と、考えて考えて考えた結果。先程のことが頭をよぎった。
誰かを殺す仕事
それが自分にとって1番向いていると思った。
そんな仕事するのは訳ありばかりだから俺みたいに身分がわからないやつでも大丈夫だろうし
どうやら俺には人を殺せるくらいの力もあるようだ。
さらに、さっき人を殺してもなんの罪悪感も持たなかった。
つまり人を殺す仕事…殺し屋が俺には向いているみたいだ。
暗殺者みたいに静かにやるよりも堂々とやったほうがやりやすいしな。
ということで、俺達は家が決まるまで、スラム街で過ごしながら生きることにした。
それからしばらくして、家が決まった。出したお金にしては豪華すぎるくらいの家だった。
たしか家を買いに行ったのはらだ兄…。つまり…?らだ兄がお金を出したということ…。
あとでしばこうとは思いながら、あまりにも充実した設備と、襲われることのない安心感から、いつの間にか忘れているのだった…。
数日経って、依頼が入った。正直少なくとも1ヶ月は来ないと思っていたのでびっくりしたが
なるほど、どうやら納得するに至るほどの理由があるみたいだ。
調べたところ、相手も新人の殺し屋で、さらに殺す相手は本人が依頼された人らしい。
だからおおかた、俺達も相手もボロボロになったときに漁夫ろうとしているのだろう。
まぁ、漁夫られる前に殺せばいいか、という結論に至り、戸締まりをして殺し屋の仕事に出かけようとした…ところで、レウに服を掴まれた。
"俺も行く"レウの口からそんな言葉が出てきた。勿論、レウは人を殺していない。でも、あの時俺が殺すのを平然と見ていたから、できるかもしれない。
そう思った俺は、レウを連れて行くことにした。
依頼人のところに行くと、開口一番
依頼人
と言われた。
まぁ、だろうな。と思いつつ
ロボロ
と言った。嘘じゃない。だってスラム街の人間を殺してきたんだから。
微妙な顔をしながらも、依頼してきた内容を、今でもよく覚えている。
それは"軍学校のとある生徒を殺せ"とのことだった。
当時は通っていなかったからなんの躊躇いもなく出来たけど、今やれと言われるとさすがにって感じだ。
依頼中、レウはずっと虚無だった。そんなレウに俺は、"ただどうでもいい相手を殺すだけ"という印象を受けた。
そして軍学校の生徒はというと…。正直雑魚だった。周りに先生がいて、厄介だったため始末した。
血に慣れていないソイツは、俺達に命を請っていた。
でも、情けをかける暇なくレウがソイツを始末した。
我ながら弟にサイコパスみを感じた。
結局依頼人はあまり得をしなかった。正直逃げられるか?と思ったが、特にそんな様子はなく、素直にお金を払ってきた。
まぁ、あんなサイコパスを見たらな、と少し同情してしまった。
でまぁ、レウなら一人でも依頼ができるかもしれないと思って、俺達は仕事を分けることにした。
そんなある日、レウが傷だらけになって帰ってきた。
治してからなぜこうなったと聞くと、俺のことを依頼されて断ったところ、俺についてすごく侮辱されたらしい。
だからキレて依頼者に対して、お前だけは簡単に死なせない。と、何度も何度も殴りかかっていたところ、対抗されて傷が出来たらしい。
とりあえずこれからは絶対にそんなことしちゃ駄目だぞ、と軽く叱ったあと、俺のために怒ってくれたレウにありがとうと言った。
とまぁ、少し余談はしたが、こんな感じでここの生徒や、先生までもが俺たちより弱いのだ。
そんなとこに通っていたって意味がないだろ。でも一応武術を教える場としてはこっちのほうがいいのかもしれないけど。
まぁそんなことは一旦置いといて、今日はやけに騒がしい。
何かあったか?と思って予定表を見てみると、今日まるまる1日が特別講師の授業となっていた。どうやら軍の人間が来るらしい。
よく気づかなかったなと思いながら、どこの軍なんだろうかと少し気になって調べようとした瞬間、先生が教室に入ってきた。
タイミングクソかよ。このクソ教師が。とは思いつつ、諦めて調べるのは辞めた。
HRが終わってから、全回生合同授業とのことなので、体育館に向かった。
体育館につくなり、俺は
ロボロ
と言ってしまい、体育館中に響いたため注目を浴びてしまった。
だってそこには____
切ります☆お疲れ様です☆ さようなら☆