世界は魔法で満ちている。 引っこ抜けば大声で叫び声を上げ、 魂を吸い取ってしまう植物や 魔法の絨毯、 魔法のホウキ、 魔力を込めて呪文を 唱えれば、魔法のステッキからは 炎や水、空気をも操れる。
魔法使いは魔法学校へ。 人間は人間の学校へ 学ぶべき場所は決められていた。
俺は今日、魔法学校に 入学することになった。
桜
桜
蘇枋
楡井
楡井
青ざめながらガタガタ 震える楡井 梅宮へと不満を募らせ きゃんきゃんと 犬の様に可愛く吠える桜 ピンと姿勢をただしながら そんな2人をニコニコと 見つめる蘇枋 の3人で、マンドラゴラ栽培所に 呼び出しがされた。
この魔法学校は 有名な場所で 生徒も大勢いる 廊下も入り組んでおり、 迷子になれば帰れない という噂もたっている。 そんな有名校に3人は 仲良く肩を並べて歩いていた。
楡井
桜
蘇枋
蘇枋
桜
蘇枋
桜
また上手いことこの男の 口車にまんまと 乗せられてしまった桜は、 顔を真っ赤にしながら 蘇枋をぽかすか叩いた。 本気で殴っている訳では無いのに 「痛いよ。」と眉を八の字に下げながらも蘇枋は笑っていた。
楡井
楡井のオドオドとした 声に2人はぱっと じゃれあいをやめた。 桜は腕を組みながら 鼻息をフンっと言わせ、 蘇枋は未だニコニコと 胡散臭い笑身を浮かべている。
こんなに仲良さげに 話している3人だが、 桜には誰にも言えない とある秘密があった。 話してしまえば、 この2人とは、もう一緒に 居られなくなってしまうような 秘密を。
梅宮
桜
楡井
蘇枋
桜
梅宮とやっとの事で 合流でき、 ほっと一息つく間もなく、 耳栓を渡された。 怪訝な顔をしながらも 渋々耳栓を受け取り、 マンドラゴラの叫び声を 聞かない様に耳に付けた。
耳栓をぎゅっと付ければ、 周りの音は何も聞こえなくなった。 ふと近くに居た蘇枋の 顔を見れば、 ニッコリと笑顔を向けられた。 口パクで「寂しくなっちゃった?」 と言っているような気がして 肘で蘇枋をつついてやった。
楡井
桜
蘇枋
桜
梅宮
楡井
礼をすると言われ一番に目を 輝かせたのは 楡井だった。 憧れの上級生にお礼をしてもらえるなど、楡井にとっては夢の様な 話である。
梅宮
楡井
楡井
楡井
蘇枋
蘇枋
楡井
桜
楡井と蘇枋は 魔法の呪文について 詳しく教えて欲しいと 話していたが、 その隣で桜は1人 怪訝な顔をした。
蘇枋
蘇枋
魔法学園で1目置かれている存在の 梅宮一。 この学園の生徒の誰よりも 魔法に優れていて、 話し方もフレンドリーで 学園内の評判も 最高なのだ そんな梅宮に魔法を教えて貰えるなど 願ったり叶ったりの出来事なのである。
桜
蘇枋
蘇枋
桜
風に吹かれて桜の髪が揺れた。 「それでいいのかも」 そう呟いた桜は 今にも連れ去られてしまいそうで ここから消えてしまいそうで、 蘇枋は思わず、桜の手首を掴んだ
桜
蘇枋
梅宮
梅宮
楡井
梅宮
蘇枋
桜
桜の言葉等何も聞かず、 蘇枋はただニコニコと 桜の手をひいた。
梅宮
楡井
梅宮
楡井
蘇枋
桜
蘇枋
魔法学校1年生で どんな分野にも上位に入っているのにも関わらず、魔法薬学が苦手 と言うよりは毎度と言うほど 蘇枋が調合をした薬品は 毎度爆発をしていた。
1年生内では、 この男には絶対に 調合をさせるな というのが暗黙のルールになっている程だ。
梅宮
蘇枋
桜
梅宮
梅宮
冗談ではなく 本気で言ったのに あはは!と笑いのけてしまった 梅宮に腹を立て、 これ以上注意をするのを辞めた。 まぁこれでも学年トップの男だ。 そう易易と死んだりしないだろう。
梅宮
桜
蘇枋
楡井
目をキラキラ輝かせる楡井に 面白そうに話す蘇枋 明るく笑う梅宮に 桜はウッと喉を詰まらせた。 どうやって誤魔化そうか。 今まで授業を人前で受けない事で 誤魔化していた桜の秘密。
今ここで嘘でも付いて 誤魔化すか? 否、それは無理だ。 ここには蘇枋がいる。 桜のわかりやすい顔が すぐに嘘ですと言うだろう。 楡井と梅宮だけなら 何とかなるかもだが、 蘇枋にはきっと通じないだろう。
桜
すっかり黙り込んでしまった桜に 楡井、蘇枋、梅宮は 心配そうに 桜の俯いてしまった顔を 覗き込もうととした。
蘇枋
気を使って言ってくれたのだろう 蘇枋の優しさが胸に染みた。 それと同時に、 お前が1番言っちゃいけない言葉じゃないか?と頭の中に浮かんできた。 流石に口を積むんで、 その言葉を飲み込んだ。
桜
蘇枋
桜
蘇枋
梅宮
楡井
梅宮
桜
梅宮
断りの言葉を述べる隙もなく、 梅宮のクソデカボイスに 掻き消されてしまった。 仕方がないと肩を竦めながら 意気揚々と歩いて行く3人の 1番後ろに付いて歩いた。
楡井
空中から地べたに居る俺たちに 聞こえるほどの大声で 情けない事を叫ぶ楡井 顔は青ざめていて少し涙目だ。
梅宮
楡井
梅宮と楡井のやり取りをみて、 1つ分かったことがある。 それは梅宮の説明方法が 難しく分かりにくいということ。 簡単に言えば、大雑把で 擬音語ばかりの説明なのだ。
梅宮
楡井
ホウキに乗ると言うよりは しがみつく形で空を飛ぶ楡井に 哀れみの目を向けながら俺は 梅宮と楡井を静かに見つめた。 俺も"魔法が使えたら" あんなふうに跳べたのだろうか。
桜
蘇枋
桜
桜
俺は飛べない。 そう口にしそうになり、 慌てて口を塞ぎ 訂正の言葉を蘇枋に 放った。 蘇枋の顔を伺うと 不思議な物でもみる様な目で 俺の事を見つめていた。
その視線に耐えられなくなり、 フイっと蘇枋の 視線から逃れるように そっぽを向いた。
蘇枋
蘇枋
俺の様子を見て、気を使ってくれたのか 他の話題を出してくれた。 こういう所がこいつのいい所だと思う。
桜
あははっと蘇枋は笑って また静かに空を見上げた。 雲ひとつない明るい景色が 俺たちの目に飛び込んできた。
蘇枋
桜
蘇枋
こういう所が、本当に性格が 悪いと思う。 蘇枋は自分のホウキを手繰り寄せ、 無駄の無い動作で 放棄に股がった。 フワリと蘇枋の足が宙を浮いた その姿に一瞬目を奪われてしまったあまりにも蘇枋が綺麗すぎたからだ。
蘇枋
桜
蘇枋の心配そうな眼差しは 消えることは無かったが、 静かに頷いて 楡井達の元へと飛んでいった。
いいな。その言葉を 飲み込むと喉が痛んだ気がした。 3人楽しそうに飛ぶ姿を ただただ見つめてため息を付いた。 もし俺がみんなの言う 魔法使いだったなら どれほど良かったのだろうか。 あぁしてアイツらの 仲間になれたのだろうか。
なぜただの人間の俺が この魔法学校に居るのか。 それはこの奇妙な見た目の所為だった。 白と黒のツートーンカラーの 地毛に、猫の様に左右違う瞳。
そして異様にケンカが強い事。 そんな俺をアイツらは恐れた。 身体を強化する魔法でも使っているんじゃないか、この奇妙で恐ろしい見た目も 魔法使いだからでは無いか。 俺の住んでた町のやつらが みな口を揃えては こういった。 『気色が悪い』と
ケンカが出来るのは、 出来ないとやられて終わるから。 この奇妙な見た目を、 俺自身を全否定されるから。 だからがむしゃらに走って強くなった ケンカじゃ誰にも負けない様になった。 それだけだったのに 俺の年齢が上がると共に この学校 魔法学校の生徒として 無理やりここに入学させれた。
見た目は奇妙で、 魔法使いっぽいとは言え、 魔力も持たないただの人間の俺には ここの学校の授業に 何もかも着いて行けなかった。 学業をこうしてサボっては 先生達に叱られてを 繰り返す毎日を過ごしている。
誰かに、誰にもバレては行けない。 バレてしまえばここから 去ってしまわないといけないから。 ここにいたい。 ここにいさせて欲しい だから俺は魔法使いのフリをした。
襲われた時の受け身の授業や 物理的に関わる授業を受けて 何とか誤魔化してきた。 ただの人間。 それが俺だ 自分の立場は分かっている 分かっているつもりだが
たまにふと思ってしまう ここにいるのがどんなに息がしやすくてどんなに苦しいか。 戦う俺の姿をみては すごいときっと将来は有名な魔法使いになれると褒めてくれたアイツらを 騙している様な気がして、 もしバレてしまったらどんなに楽なのだろうか。
最近そう思うようになった。 なってしまった あんな地獄の日々には戻りたくない それでも、 ここからふらっと誰にも気づかれぬ様居なくなってしまいたいと思った。
楡井
蘇枋
梅宮
遥か上空で3人笑顔で喜ぶ 姿を見ては、また心臓がぎゅっと 痛んだ。 こういう時程この場から消えられたら いいのに。 そう強く思った。
桜
楡井
本当に照れ臭そうに 楡井はちょっとだけ頬を 染めた。 楡井が俺を強いと、 そう称えるのはきっと 入学式での出来事の所為だろう。 タチの悪い魔法使い達に 絡まれている楡井を 相手をぶん殴って助けた 事がきっかけだろう。
魔力が高いからと調子に乗り、楡井を脅していた相手を1発で吹っ飛ばした事と 軽い身のこなしのおかげで 楡井の目には 俺のことが相当強い魔法使いとでも 移ってしまったのだろう。
あの頃はなんて言われようが どうでもよかった。 それなのに人の体温に 触れていくにつれ、 だんだんと申し訳なさが 出てきた。 それが今の心情だ。
梅宮
蘇枋
蘇枋
ニッコーーっと言う程 胡散臭い笑みを浮かべる蘇枋。 嘘100%の顔と言うのに 梅宮はそれに気づかず 「わかった!それじゃあ後で見に行くからあとは任せたぞ〜!」 と元気よく返事をしていた。 蘇枋と二人きり?鋭いこいつと? それを思っただけで目眩がしてしまいそうだった。
桜
蘇枋
桜
全ての言葉を述べる前に 蘇枋に言葉を重ねられた。 まるで逃がさないと言わんばかりに。 突然発せられた "デート"という 恋愛的な言葉で、 俺の顔には自然と熱が集まった。
桜
蘇枋
蘇枋
蘇枋
さっきまでフワフワとした 甘く砂糖を煮詰めた様な 笑顔をしていたのに 急に胡散臭い笑顔に戻ってしまった。 その言葉の続きが聞きたくて、 つい手を伸ばして閉まったが それは蘇枋の歩き出してしまった 歩みで触れることは出来なかった。
蘇枋
手首を掴まれたまま、 理科室的なところに 連れてこられた。 周りの目が何故か暖かったなと 思い出し、 蘇枋脳での方を見て、 ボンッという音がなりそうな程顔が赤くなった。 そんな俺をからかいながらも 自分の隣に座る様 スマートに蘇枋は促してしまう。
恥ずかしいのも、 蘇枋の顔がどうしても かっこよく見えるのも なぜだかよく分からなくて、 ヤケになり、ドカッと 横長な木製で作られている椅子に腰かけた。
恥ずかしさで気づかなかった ツンと独特な匂いは、 きっと薬品や、 魔法使いが使う様な 道具のそれだろう。
蘇枋
桜
あはは と ヘラり柔らかい笑顔で 笑う男 耳につけているタッセルピアスが シャラリと音を立てて揺れた。
蘇枋
年相応の青年らしく いつもとは少し違う イタズラっぽい顔をして 笑って見せた蘇枋 ドキリと心臓が跳ねた様な気がした。
桜
自分の心臓の可笑しさか、 蘇枋の放った聞き覚えの無い言葉 どちらに反応したのか分からないが 困惑した表情で蘇枋を見ると 俺の反応に納得したとでも 言うように蘇枋は手をポンっと 叩いた。
蘇枋
蘇枋
蘇枋
桜
急に出てきた"好き"と言う 単語にまたしても顔に熱が 集まり始める。 蘇枋の言う 恋愛センサーとやらが 反応したのだろう。 自分ではイマイチよく分からないが。
蘇枋
蘇枋
蘇枋
蘇枋
蘇枋
桜
蘇枋
桜
蘇枋
先程まで顔を真っ赤にして 慌てていた桜だが、 蘇枋の説明を聞いた後、 急に静かになり 冷静に話し始めた。 先程まで桜を揶揄っていたはずの 蘇枋は、打って代わり その綺麗な顔からは 楽しさが消え、 赤黒い蘇芳色の瞳が 大きく見開かれた。
桜
桜
桜
蘇枋
蘇枋
何かを言いかけ、 蘇枋は口を噤むいだ。 これは言うべきことでは無いと、 きっと桜を傷付けてしまうだろうと。
蘇枋
桜
蘇枋
蘇枋
蘇枋
蘇枋
桜
蘇枋
蘇枋
蘇枋
蘇枋
蘇枋の表情は 泣きたくなるほど 優しくて、 どこか蘇枋自信が傷ついた 表情だった。 何が何だか今の桜には 何も分からず、 ただ蘇枋の 顔を見つめることしか出来ない。
でも1つ、分かったことは 蘇枋がくれた、 教えてくれた魔法の言葉は どこか俺の心を軽くした。 意味なんて分からないし、 どういう魔法なのかも 全く分からない
けれど、 魔法が使えない俺でも なんだか魔法使いになれた様な 気がした。
桜
蘇枋
蘇枋
"When this love comes true"
蘇枋
『Wizards and deceptive words』
ℯ𝓃𝒹
コメント
20件
2度目のコメント失礼します🙇♀ 解説を読ませて頂いた上で読み直して来ました! 結末が分かっていても凄くドキドキしてしまいました😳 私の考察とは違いましたが、とても素敵な解説でした😊 遠回しな言い方をするのすごく蘇枋さんらしいなと思いました! まさかタイトルのカッコにまで意味が含まれていたなんてびっくりです! 他の作品の伏線も探してみようと思います🫡 二人の恋が叶う事を願ってます💕
今回も素敵なお話ありがとうございます🙇♀ こんなにもちゃんと英語を勉強しようと思ったのは初めてです笑 わからない所はGoogle先生に翻訳してもらいました笑 ちゃんとリクエストに応えられる様考えてくれているどっかの誰かさんに尊敬します✨ 素敵な終わり方ですね、妄想が膨らみます🤔 私も最近投稿出来てないので、どっかの誰かさんの作品をモチベに頑張ろうと思います😁 これからも応援してます💕
英語の所わかんなくて、Google先生に翻訳してもらったら、なるほどってなりました!魔法使いパロはあまり見ないのですが凄く好きでした!! 初めはどっかの誰かさん。のおかげですおさくにハマって、今はどっかの誰かさん。の投稿を楽しみにしてます!無理しない程度に頑張ってください!! 考察とかはあまり得意ではないので、考察コメントは出来ませんが、他の人がどんな考察するのか楽しみです!