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薬とパーカーの下の狂気

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薬とパーカーの下の狂気

8 - 第七話 ”狂戦士”

♥

410

2022年07月12日

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兵器大国に、ゾムさんと二人で戦争に行った時のことでした…

エーミール

ゾムさん、こっちです!

ゾム

おん!

エーミール

あの兵器は、熱に弱いです!

エーミール

あっちの装甲は、衝撃に弱い!

エーミール

あの銃は…

私は、兵器についての知識を利用して、ゾムさんをサポートしていました。

エーミール

ゾムさん、あれは…

ゾム

ッ!

ゾム

エミさん、避けろ!

エーミール

え?

でも、私がゾムさんに駆け寄ろうとしたら…

バンッ

(銃がエーミールに向けて撃たれる)

エーミール

…あ

ゾム

エミさん!

ドンッ

(ゾムがエーミールを突き飛ばす)

エーミール

ぐっ!?

エーミール

ゾ、ゾムさん?

ゾム

ガ…アァッ…

ドサッ

(ゾムが崩れ落ちる)

エーミール

ゾムさん!

私を庇って、ゾムさんが撃たれてしまったんです。

そんなの聞いてないけど…

秘密にしていたんです。

ゾム

う、うぅ…

エーミール

しっかりしてください!

エーミール

と、とにかく安全なところへ…

タッタッタッ…

私は、急いでゾムさんを連れて安全なところまで避難しました。

エーミール

ゾムさん、ゾムさんっ!

ゾム

そんなに、心配せんでも…

それでも、ゾムさんは戦場に出ようとしました。

ゾム

ウゥッ

エーミール

や、やっぱり軍拠点に戻りましょう!

エーミール

早くしんぺいさんに治療してもらわないと…

ゾム

ダメや!

エーミール

な、なんで!

ゾム

…このままじゃ、エミさんは自分のせいで負けたと思い込む

エーミール

ゾム

そうやんな?

エーミール

でも、私が避けれたら…

エーミール

私に当たっていたら…

ゾム

違う!

ゾム

エミさんは悪くないんや!

ゾムさんは、私のことを気遣ってくれて、戦おうとしてくれたんです。

エーミール

でも、でもっ…

ゾム

…エミさん

ゾム

俺らは勝つ

ゾム

俺は勝たんと帰らん

エーミール

そんなの、どうしたら…

どんなに交渉しても、ゾムさんは首を縦に降らなかった。

ゾム

…エミさん、お願いがあるんや

エーミール

…なんですか?

ゾム

俺には、切り札があるんや

ゾム

それを、一度だけ試させてほしい

ゾム

倒れたりしたら、軍に連れて帰ってもええよ

それから、ゾムさんはなんか切り札があるから一度だけ試させて欲しいって言い出して…

エミさんは、なんて言ったんですか…?

私は…

エーミール

…本当に…しょうがない人ですね

ゾム

…それとな

ゾム

俺はさ、今からこのフードを被る

エーミール

…?

ゾム

事情は後で説明する

ゾム

俺が全員殺した後、きっと俺はエミさんを襲う

エーミール

は!?

エーミール

どうしてですか?!

ゾム

…抑えられへんのや

ゾム

だから、そうなったら、俺のフードを…

「脱がせてくれへんか?」

エーミール

…ハァ

エーミール

本当に私にはゾムさんが理解できません

ゾム

…すまんなぁ

エーミール

…でも

エーミール

ゾムさんは私の憧れです

エーミール

…だからっ!

「任せてください、ゾムさん!」

私は、許可を出しました。

ゾム

よしょ…っと

エーミール

本当に大丈夫ですか?

私はそのままゾムさんを連れて戦場に戻りました。

ゾム

おん!

ゾム

…そうや、エミさん

エーミール

はい?

ゾム

なんかピン留め的なん持ってない?

エーミール

えーっと…

エーミール

ネクタイピンならありますが…

ゾム

貸して!

エーミール

は、はい!

ゾム

…行ってくるな

エーミール

頑張ってくださいね!

ゾム

おん!

スッ クシャッ パチッ

ゾム

エーミール

ゾ、ゾムさん…?

そして、フードを被ってピンで固定した瞬間…

ゾム

ハハッ

エーミール

その、目の色…

ゾムさんの目は真っ赤に染まりました。

それからのゾムさんは凄かった。

ゾム

フハッ ヒャハハハハハ!

グシャッ グチャッ ザクッ バッコーン バンッ

エーミール

ゾ、ゾムさんっ!

ゾム

ハハ… ハハハハ…

壊れたように笑いながら、戦い続けていた。

ゾム

ゴホッ

ビチャビチャッ

エーミール

も、もうやめてください!

血を吐いても、彼は止まらなかった。

それはまるで…

”怪物”のようでした。

エーミール

…それから、ゾムさんが全員殺し終わった後、ゾムさんは真っ直ぐ私の方へ向かってきました

グルッペン

なんもなかったのか?

エーミール

…はい

エーミール

私の近くで体が限界を迎えたみたいで…

エーミール

膝をついた瞬間にフードを剥いだら目の色が元に戻ってそのまま崩れ落ちていきました

グルッペン

そんな話聞いてないが…

エーミール

…すいません

グルッペン

いや、無事ならいいんだ

エーミール

…大切なのはそこからで

シャオロン

へ?

エーミール

ゾムさんは、あの後私にフードを被ると正気を失って戦う理由を話してくれたんです…

ゾム

…んぅ

エーミール

あ、ゾムさん!

エーミール

目が覚めましたか?

ゾムさんは、終戦からしばらくして意識を取り戻しました。

ゾム

あ、エミさん

ゾム

どやった?

エーミール

…終わりましたよ

エーミール

我々の勝利です!

ゾム

そっかぁ…

エーミール

…ゾムさん

ゾム

あぁ事情ね

ゾム

わかっとるよ

エーミール

…よろしくお願いします

ゾム

おん

ゾム

えっとなぁ…

そしてすぐ、ゾムさんは私に事情を話してくれました。

ゾム

実はなぁ…

ゾム

俺、秘境に住む戦闘殺戮民族の末裔やねん

エーミール

末裔…?

ゾム

まぁ”生き残り”やな

ゾムさんは、とある戦闘殺戮民族の生き残りらしいんです。

エーミール

どうして…?

ゾム

…俺は、昔から血の気が盛んやった

ゾム

それである日、俺は同じ民族のやつと喧嘩をして…

「殺してしまったんや。」

エーミール

っ?!

ゾム

そのまま、俺は処刑されそうに”なった”

エーミール

”なった”って…

ゾム

…俺は処刑台に吊るされて、火をつけられた

ゾム

俺は確かに殺されるつもりやった

ゾム

でも、本当は…

ゾム

俺は”死にたくなかった”

ゾム

”殺されたくない”

ゾム

そう思ったら、もう止まらんくて…

ゾム

縄が焼け切れて、俺の体が自由になった時…

ゾム

気づいた時には、村のみんなが、俺の周りで…

「死んでいたんや。」

エーミール

ゾム

俺が、みんなを殺したんや

そして、内輪争いの末、民族の人たちを皆殺しにして逃げたそうです。

ゾム

俺はそのままここで生きていくつもりだった

ゾム

背負って生きていくつもりだった

ゾム

ある日、うちの村を訪ねてきた奴がいてな…

エーミール

どなたですか…?

ゾム

そいつは、俺にこう言ったんや

「自由に暴れまわれる。そんな軍に、興味はないかね?」

エーミール

それって…

ゾム

おん

ゾム

それが”グルッペン”やった

そんなある日、グルッペンさんに出会って軍に勧誘されたそうです。

そういやそうやったなぁ…。

ゾム

俺はすぐOKしたんやけど…

エーミール

…?

ゾム

でも俺は、また仲間を殺してしまうのが怖かった

それでもゾムさんは、また仲間を殺さないか不安だったそうで…

ゾム

そのために、俺は”ストッパー”を作ることにした

エーミール

ストッパーって…?

ゾム

それは…

「この”フード”や。」

エーミール

へ…?

ゾム

俺は、このフードを被った時だけ本気を出すって決めたんや

エーミール

じゃあ、いつもは…?

ゾム

そらもう手抜きまくりよw

エーミール

それなのにあんなに強いんですか…?

ゾム

随分特訓したでぇ〜

ゾム

…もう”仲間”を傷つけたくなかったから…

エーミール

ゾムさん…

ゾム

それがさっきの俺の状態やね

ゾム

目が赤く染まって、正気を失う…

ゾム

俺はな、これを…

「”バーサーカーモード”っていうことにしたんや”。」

エーミール

ばぁさぁかぁ?

ゾム

狂戦士ってことや

そのためにゾムさんは、フードを被った時だけ本気を出す”バーサーカーモード”なるものを身につけたそうです。

それが…?

戦場でロボロさんが見た赤い目をしたゾムさんです。

エーミール

…それが私の知る”ゾムさん”です

しんぺい神

…なるほどねぇ…

しんぺい神

…まぁ謎は色々あるけど…

グルッペン

たとえばなんだ?

しんぺい神

ん、あぁ…

「”なんでゾムが薬を持っていたのか”とか。」

シャオロン

そんなにか?

しんぺい神

だって俺これ持ってないよ…?

しんぺい神

珍しいし…

ガラガラガラ

???

俺それ知ってるで!

しんぺい神

へ?

鬱先生

よーっす

鬱先生

ゾムの具合見にきてんけど…

しんぺい神

いやそれよりも!

しんぺい神

知ってるって…?

鬱先生

あぁ、薬渡してた人やろ?

鬱先生

昔見回りでさ、ゾムがさ二人組になんかもらってんの見てんな〜

しんぺい神

二人組…?

鬱先生

おう

鬱先生

二人とも白衣を羽織っててさー…

しんぺい神

他には?

鬱先生

んー…

鬱先生

あ!

鬱先生

一人はさ、パンダのパーカー?着ててさ、もう一人は金髪の癖っ毛やった!

しんぺい神

ほーん…

しんぺい神

結構な手掛かりやな

しんぺい神

ありがとう

グルッペン

二人組の医者…?

グルッペン

ボソッ(どこかの軍にそんな奴いなかったっけ…?

鬱先生

どした?

グルッペン

あぁ、なんでもない

しんぺい神

…まぁ結構進んだし…

しんぺい神

今日は一旦解散にしようか

シャオロン

りょ〜

グルッペン

了解だ

鬱先生

ん〜

エーミール

わかりました

「「「「おやすみ〜!」」」」

タッタッタッ ドテドテドテ

(全員医務室から去る)

しんぺい神

しんぺい神

……

しんぺい神

よし、誰もいなくなった

しんぺい神

俺も自室に戻らんと…

スッ フラッ ガシッ

(立ち上がった瞬間よろめいて壁につかまる)

しんぺい神

グゥッ⁉︎

しんぺい神

うぅ…

しんぺい神

そっか、俺は…

しんぺい神

…壁につかまって歩こう…

コツ… コツ… コツ…

ガチャッ バタン ガチャン

(扉を開けて閉めて鍵を閉める)

しんぺい神

…ついたぁ

しんぺい神

最近さらに体力落ちてきたなぁ…

しんぺい神

つれ〜…w

しんぺい神

…なんて言ってる場合じゃないんだよな

しんぺい神

…よいしょっと

ズッ ズッ ズッ

(布団やその他諸々をずらす)

ベリベリベリ

(その下の畳を剥がす)

しんぺい神

しんぺい神

…早く行かなきゃ

コンッ… コンッ… コンッ…

コンッ… コンッ… コンッ…

しんぺい神

…合言葉は…

〜〜ーー〜〜ー〜〜〜〜ーー〜ー。

ゴゴゴゴゴゴ

(道が現れる)

しんぺい神

…行かなきゃ

コンッ… コンッ… コンッ…

ピタッ

しんぺい神

…やぁ

しんぺい神

また来たよ

「”兄さん”。」

兄さん

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コメント

6

ユーザー

パンダのパーカ、癖っけの金髪はあれだな(。´´ิ∀ ´ิ) 兄さん…

ユーザー

はーつこーめ失礼しま~す パンダパーカーに巻き毛の金髪……もしやわi((殴 の医者ぐm((殴×∞

ユーザー

フォロー失礼!

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