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黒side
悠佑
作った夕飯もだいぶ少なくなってきた頃、先ほどの初兎との会話を思い出した俺は、 食べることに集中している兄弟に尋ねた。
ピンク髪の子が上目でこちらをチラッと見ると、 口に入っていたものを飲み込んで口を開いた。
ないこ
ないこ
りうら
ピンク髪の子がないこ、赤髪の子はりうら、と言うらしい。
どちらもすごく可愛い名前をしていて、父親に虐待されるような子たちの名前にはなかなか思えなかった。
もしかして幼い頃に亡くなったという母親がつけてくれたのだろうか。
どちらにせよ、 とても素敵な名前だなと思う。
ほとけ
ほとけからの質問に、 ないこは「えっと」と答えた。
ないこ
いふ
ほとけ
りうら
りうらがその言葉を繰り返すと、 箸を置いて俯いてしまった。
ほとけ
ほとけが少し焦ったように尋ねる。
ないこも「どうした、りうら」と彼の顔を覗き込むようにして見る。
と、りうらは「なんでもない」と言って首を振った。
りうら
りうら
そう言ってはにかんだ彼の顔を見て、 心がフワーと浄化されるような気持ちになった。
初兎
ほとけ
悠佑
いふ
ほとけ
いふ
でた、ビジネス不仲。
本当は仲良いくせに、 なんでかこいつらは仲悪そうに話してんよな。
しかも、 それを今ここでやっちゃうと・・・・・・。
ないこ
悠佑
ないこ
ないこが心配そうに二人を見ている。
いい子だからやっぱ全部間に受けてしまうんやろな。
悠佑
「はぁ・・・・・・」と溜息混じりの疑ったような声を出したないこは、 もう一度二人を見ると納得したのか呆れたのか、 再び飯に手をつけた。
ほとけ
ないこ
いふ
いふ
ないこ
話を聞いていなかったこの短時間で、 なぜこんな話になっているのか・・・・・・
とないこが思っていることが、 俺にはひしひしと伝わる。
本当にこいつらは話の方向転換が早すぎんねん。
ないこ
初兎
ないこ
ほとけ
ないこの言葉にほとけが前のめりで否定する。
たしかに、 せっかく高校に受かってても行かないのは色々ともったいない。
多分りうらの中学校もここからだいぶ遠いと思うから、 通うとなると大変だろう。
せっかく兄弟の中に中学生と高校生がいるから・・・・・・。
悠佑
ないこ
ほとけ
ほとけ
いふ
悠佑
悠佑
ないこ
「アニキが大変でしょう」と手を胸の前で振って、ないこは断る。
ほとけ
初兎
ほとけ
りうらは少し考えるように手で顎を触ってうーんと唸ると、 こくりと大きく頷いた。
りうら
りうら
その返答を聞いたほとけが「やったー!」とりうらに抱きついた。
りうらも満更ではないような顔をしている。
最初は何も話さなかったりうらは、 だいぶこの兄弟たちに慣れてきたようだ。
いふ
ないこ
いふ
どうやらあちらもあちらで、 いふまろがないこのことを気に入ったようで、 高校の転校が決まったらしい。
だいぶ忙しくなるが、 早速今度手続きをしにいかなければ。
悠佑
悠佑
今は夏休みの終盤ってことでお願いします by作者
初兎
初兎
ほとけ
りうらから剥がしたほとけを、 初兎がずるずると引きずりながら連行していく。
いふ
いふまろも頭をぽりぽり掻きながらそう言い、 ソファに腰掛け、 スマホをいじり始める。
俺も大学の課題やるか、 とパソコンを取り出した時・・・・・・。
ないこ
悠佑
ないこ
悠佑
残念なことにこの家の部屋は全て使い切ってしまって、 空き部屋がない。
かと言ってコイツらをリビングのソファに寝転がらせるのも辛いやろうし・・・・・・どうしようか。
いふ
いふ
悠佑
悠佑
悠佑
俺が二人に尋ねると、 ないこもりうらも「どちらでも良い」と答えた。
いふ
ないこ
悠佑
りうら
悠佑
天使のような笑顔を見せてそう言ってくれたりうらと、 いふまろに抱きつかれて笑っているないこを見ると、 この二人がこの家に慣れてきてくれているのがわかって安心する。
この様子ならこれからも大丈夫かな。
ほとけ
__このあと寝る前に俺と共に部屋へ入っていくりうらがほとけに見つかって、 「ずるい!」と駄々をこねられるのはまた別の話。