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ソファに座った後、 アメの足が震えていることに 気がついた。

コガネ

……どう?
初めて“人の死”を目の当たりにした感想は?

アメ

…………。

コガネ

(無視、か。)

アメの目の前のソファに座って 目を閉じる。

爺さん、この子はいい子すぎる。

殺人には向いてないな。

アメ

……コガネさんは、
優しいお方なんですね。

コガネ

は?

アメ

ちゃんと、死に向き合ってる。

アメ

謝れるし、安らかに眠れと言える。

アメ

それは……その辺で悪事を働く
殺人鬼には、できないことだと
思います。

アメ

……弟子に、してください。

アメ

俺は本気です。

コガネ

(……あぁ、その目。)

コガネ

(そっくりだなぁ。)

  

其方は優しすぎる。

  

……人殺しには、向いておらぬな。

コガネ

(……向いてない人間すらも
変えるのが殺人……ってわけね。)

イオリ

ただいま〜。

イオリ

あれ、アメくん。

イオリ

正社員おめでとう。

アメ

えっ……?

イオリ

あれ、まさか知らない?

イオリ

……コガネは、自分が目の前に座った人間を正社員に認めるんだよ。

アメ

本当ですか!?

コガネ

うんうん、

コガネ

あの姿を見て私を優しい
って言った奴は初めてだよ。

コガネ

まあまだ学生だから
ちゃんとした活動はできない
と思うけど……

コガネ

頑張りなよ。

まあ、言う前から 目の前には座ってたけど……

コガネ

(……流石は貴方の孫だね。
爺さん。)

アメ

ありがとうございます!!

コガネ

諸々の話は後日ね。
今日は帰りな。

アメ

はい、失礼します。

アメが去った後、 コガネはタバコに火をつけた。

イオリ

……健気だねぇ、あの子。

コガネ

……うん。

コガネ

似合わないよ、殺しには。

イオリ

……いいの?

コガネ

……いいんだよ。
アメが望んだんなら、断る権利は
私達にない。

イオリは、知っている。

それは、“アメの強くなるための決断” だけではないことを。

コガネ

さーて、
酒でも飲もうかな。

コガネ

今日は相手してくれる?

イオリ

……少量なら。

コガネ

イオリ酔うと
とんでもない発言ばっかりだもんね。

イオリ

誰のせいだと。

コガネ

んふふ、私。

コガネ

今日は、死ぬには良い日すぎるからね。

イオリ

(……コガネ、)

イオリ

(私は、その笑顔が怖いよ。)

私が初めてコガネを見た時、 血だらけだったのを覚えている。

コガネ

……良い歳した学生が
こんな男に騙されちゃって。

コガネ

男は選びなよ。
選べる顔の良さしてるんだから。

イオリ

誰なのっ……
私を、どうする気なの……?

コガネ

そんな震えなくても、
取って食いはしないよ。

コガネ

イオリ。

コガネ

親に捨てられて行き場を無くし、
東京の裏路地でホストクラブの男に誘われ、

コガネ

DVと性的暴力。

コガネ

一歩遅ければ……薬物さえ
入れられてた。

淡々と話すその目は、 全く光がなかった。

笑いもしない、怒りもしない、 泣きもしない。

お互いそんな状況が続いた後、 口を開いたのはコガネだった。

コガネ

黙ってないでさ、

コガネ

ここから出たいなら言いなよ。

コガネ

“助けてください”ってさ。

その言葉を聞いた後、

何が悲しいのかも分からずに 涙がこぼれ落ちた。

イオリ

助けてっ……
助けてくださいっ……!

コガネ

ん、いー子。

コガネ

もう大丈夫だからね。

自分と同じくらいの歳の女性だった。

でもどこか、私より強かった。

その場しのぎで、 手を取っておけば良いと思っていた。

……でも、逃げられなかった。

自分の意思で、逃げなかったのだ。

イオリ

(コガネは、確かに私より強い。)

イオリ

(でも、自分の事になると
弱い。)

イオリ

……コガネは、
この世界についてどう思う?

コガネ

……脆い、よね。

コガネ

でも、脆いからこそ、
美しいよね。

コガネ

別にこの世界に強くなれなんて
求めないよ。

コガネ

強くなるべきは、私たちだ。

イオリ

平和を保つために、
全てを捨てて悪に染まる……。

コガネ

うん。

コガネ

私はその覚悟があるのか、
それしか聞いてない。

コガネ

でもね、イオリ。

コガネ

“クロの世界に染まる”のは、
そう簡単な事じゃないんだよ。

イオリ

……それは、

イオリ

私が一番知ってる。

氷の入ったグラスが、 ヒビが入ったように音を立てる。

あの日自分は決断した。

“己の心にあるものから逃げない”、と。

その正解を全て教えてくれたのは、 コガネだったくせに。

コガネは、自分の答えを知らない。

コガネ

イオリは、単純だね。

コガネ

昔から変わってないんだから。

イオリ

んなっ!

コガネ

でも、悪くないよ。
“単純なフリ”が得意になったから。

コガネ

人を殺すには最適だ。

イオリ

……そうだね。

コガネ

体調が悪くなるほどの酒は
いいね。

コガネ

良い夢が見れそう。

イオリ

……私まだ一杯も飲み終わって
ないんだけど。

コガネ

それでいいよ。

コガネ

私が欲しいのは酒の量じゃなくて
話し相手だからね。

  

其方は、この世界について
どう思う?

コガネ

……どうって、
どうも思わないよ、こんな世界。

コガネ

爺さんは?

  

儂から振っておいてなのだが、
儂も答えは知らぬ。

  

正解を出すとするならば
“脆くて美しい”。

  

……それが良いのだよ。

自分の世界は、 いつも爺さんの言葉で構築された。

この人間のせいで、おかげで、 私の世界は歪んでしまった。

コガネ

……バカジジイが。

  

口の聞き方も習っておらんのかクソガキ。
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コメント

2

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イオリさんめっちゃかわいい好きなんだかんだ面倒見良さそうな雰囲気LOVE

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