ソファに座った後、 アメの足が震えていることに 気がついた。
コガネ
初めて“人の死”を目の当たりにした感想は?
アメ
コガネ
アメの目の前のソファに座って 目を閉じる。
爺さん、この子はいい子すぎる。
殺人には向いてないな。
アメ
優しいお方なんですね。
コガネ
アメ
アメ
アメ
殺人鬼には、できないことだと
思います。
アメ
アメ
コガネ
コガネ
コガネ
変えるのが殺人……ってわけね。)
イオリ
イオリ
イオリ
アメ
イオリ
イオリ
アメ
コガネ
コガネ
って言った奴は初めてだよ。
コガネ
ちゃんとした活動はできない
と思うけど……
コガネ
まあ、言う前から 目の前には座ってたけど……
コガネ
爺さん。)
アメ
コガネ
今日は帰りな。
アメ
アメが去った後、 コガネはタバコに火をつけた。
イオリ
コガネ
コガネ
イオリ
コガネ
アメが望んだんなら、断る権利は
私達にない。
イオリは、知っている。
それは、“アメの強くなるための決断” だけではないことを。
コガネ
酒でも飲もうかな。
コガネ
イオリ
コガネ
とんでもない発言ばっかりだもんね。
イオリ
コガネ
コガネ
イオリ
イオリ
私が初めてコガネを見た時、 血だらけだったのを覚えている。
コガネ
こんな男に騙されちゃって。
コガネ
選べる顔の良さしてるんだから。
イオリ
私を、どうする気なの……?
コガネ
取って食いはしないよ。
コガネ
コガネ
東京の裏路地でホストクラブの男に誘われ、
コガネ
コガネ
入れられてた。
淡々と話すその目は、 全く光がなかった。
笑いもしない、怒りもしない、 泣きもしない。
お互いそんな状況が続いた後、 口を開いたのはコガネだった。
コガネ
コガネ
コガネ
その言葉を聞いた後、
何が悲しいのかも分からずに 涙がこぼれ落ちた。
イオリ
助けてくださいっ……!
コガネ
コガネ
自分と同じくらいの歳の女性だった。
でもどこか、私より強かった。
その場しのぎで、 手を取っておけば良いと思っていた。
……でも、逃げられなかった。
自分の意思で、逃げなかったのだ。
イオリ
イオリ
弱い。)
イオリ
この世界についてどう思う?
コガネ
コガネ
美しいよね。
コガネ
求めないよ。
コガネ
イオリ
全てを捨てて悪に染まる……。
コガネ
コガネ
それしか聞いてない。
コガネ
コガネ
そう簡単な事じゃないんだよ。
イオリ
イオリ
氷の入ったグラスが、 ヒビが入ったように音を立てる。
あの日自分は決断した。
“己の心にあるものから逃げない”、と。
その正解を全て教えてくれたのは、 コガネだったくせに。
コガネは、自分の答えを知らない。
コガネ
コガネ
イオリ
コガネ
“単純なフリ”が得意になったから。
コガネ
イオリ
コガネ
いいね。
コガネ
イオリ
ないんだけど。
コガネ
コガネ
話し相手だからね。
どう思う?
コガネ
どうも思わないよ、こんな世界。
コガネ
儂も答えは知らぬ。
“脆くて美しい”。
自分の世界は、 いつも爺さんの言葉で構築された。
この人間のせいで、おかげで、 私の世界は歪んでしまった。
コガネ






