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なぎぃむ
夜の帳が街を包み込む頃、なぎぃむは部屋の窓を少しだけ開けていた。 冷たい夜風がカーテンを揺らし、彼の心にも同じようにざわめきをもたらす。 17歳、高校2年生の彼は、誰にも見せられない秘密を抱えていた。 それは、夜だけこっそりと続ける歌い手活動。 パソコンの画面には、自分の歌を投稿するサイトが開かれている。 「また、誰にも届かないんじゃないか」 そんな不安を胸に抱えながらも、彼はマイクに向かい歌を紡いだ。
なぎぃむ
チャット画面にはすぐにファンからのメッセージが流れた。
ファンA
なぎぃむ
つづくつづくけれど、彼の心はまだ満たされなかった。 顔出しもせず、声だけで自分を伝えることは、想像以上に難しい。
ファンB
なぎぃむ
彼の歌は、ある一人の存在のためだった。
ファンA
なぎぃむ
ノアは、なぎぃむの歌を初めて認めてくれた唯一の人。 彼女の笑顔があったから、歌い続けることができた。 けれどある日、何の前触れもなくノアは姿を消してしまう。 誰も理由を知らず、彼の胸の中にはぽっかりと大きな穴が空いたままだ。
ファンB
なぎぃむ
つづく部屋は静まり返り、画面の光だけが彼の顔を照らしていた。 イヤホンの向こうには、今はもういないノアの笑い声が、わずかに響いているような気がした。
なぎぃむ
彼が歌う理由は一つ。 消えた君に、声で伝えたいことがあるから。 幼い頃から音楽が好きだったなぎぃむは、ノアと出会い、自分の歌に意味ができた。 彼女のために歌うことで、彼自身も変わっていった。 だが、ノアがいなくなった今、彼は自分の声が誰かに届くのかすら分からずにいる。 それでも彼は、夜ごとマイクの前に座り、静かに歌い続けるのだった。
なぎぃむ
つづく。
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