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スイート・ビーのいる教室 -吉良先生も暗殺者-

スイート・ビーのいる教室 -吉良先生も暗殺者-

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スイート・ビーのいる教室 -吉良先生も暗殺者- 第1話

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2021年08月23日

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パンッ──

銃声の乾いた音が 倉庫内に響く──

  

…………

  

あと二人──

わずか5分前 拳銃を持った一人の青年が 倉庫の入り口に現れ──

倉庫内に集まっていた 覚醒剤密売グループの人間は 次々と撃ち殺されていった──

覚醒剤の密売人

はぁ…はぁ…!
何だあいつは…!

覚醒剤の密売人

とにかく…
見つからないように
ここに隠れてねぇと──

パンッ──

もう一発── 近くで発射される音──

覚醒剤の密売人

──!!

  

あと一人…

覚醒剤の密売人

はぁ…!
はぁ…!

覚醒剤の密売人

(全滅だ…
俺以外の仲間は
みんな死んだ…)

覚醒剤の密売人

(けど俺はきっと
逃げ切れる…!)

覚醒剤の密売人

(このコンテナの
中に隠れていれば…)

覚醒剤の密売人

(見つかるはずが…!)

覚醒剤の密売人

はぁ…!
はぁ…!

  

そこか──

ガチャッ──

覚醒剤の密売人

ヒッ…ヒィィィ!

  

息が乱れてる…
呼吸が丸聞こえだ

覚醒剤の密売人

待て!助けてくれ!
話を聞いてくれ!

覚醒剤の密売人

俺だってこんな仕事
悪いと思ってた!

覚醒剤の密売人

けど上のヤツから
命令されて──

  

──ラスト

覚醒剤の密売人

待ってくれ!
金なら──

パンッ──

男は倉庫を出ると 携帯をかける

  

こちらK。
ターゲット全員殺害──
任務完了です

 

────。

  

はいはいミミさん
いつもどうも
それで次の仕事は?

 

────…。

  

──えっ?

俺が教師に?

  

それはどういう──

 

────。
────。

  

スイート・ビー…!?

 

────…。

  

──了解

  

任せてください
頃沢さんの仇だ

 

────。

  

──大丈夫ですよ
心配しないでください

  

目立たないように
上手くやりますって

  

平凡な教師として──

1ヶ月後──

都内── 私立阿佐心学園

校舎裏

黒垣ハジメ

ハァ~
天気もいいし

黒垣ハジメ

昼飯食ったら
午後はサボるか

阿佐心学園 1年5組 黒垣ハジメ (くろがきはじめ)

広井栄子

ちょっと
何してるの!

黒垣ハジメ

おっ、栄子じゃん

黒垣ハジメ

どした?
俺を捜してたのか?

広井栄子

そんなわけ
ないでしょ

広井栄子

あんたが
タバコでも吸ってるんじゃ
ないかと思って見にきたの!

広井栄子

それにそんな
派手な服まで着て…

広井栄子

制服ぐらいちゃんと
着なさいよ!

阿佐心学園 1年5組 広井栄子 (ひろいえいこ)

黒垣ハジメ

大丈夫大丈夫。
個性だよ、個性

黒垣ハジメ

それに…俺に文句言う
度胸のあるセンコー
なんていねぇんだから

黒垣ハジメ

アイツだってそうだよ
ほら、新しい担任の男…

広井栄子

吉良先生ね

黒垣ハジメ

クラス担任が
二学期から変わって
どんなヤツかと思ったら

黒垣ハジメ

なよなよした
だっせぇ男だよ

広井栄子

たしかにちょっと
頼りないけど

広井栄子

そこまで
言わなくても…

広井栄子

…………

──2学期から担任が代わり 新しくやってきた 新任教師の吉良先生

──吉良先生は 教室が騒がしくても 注意も何もしない

そもそも生徒に 興味があるように 思えない…

広井栄子

(でも吉良先生は
ふとしたときに…)

広井栄子

(突然鋭い眼になる
瞬間がある…)

広井栄子

(あれは──
一体どうして?)

──どうしてあの人は 教師をやっているんだろう?

広井栄子

…………

黒垣ハジメ

まあ、そんなことは
どうでもいいけどよ

黒垣ハジメ

お前最近元気ないよな
誰かに何かされたのか?

広井栄子

──!!
え、な、何!?

黒垣ハジメ

栄子を困らせてる
ヤツがいるなら
教えてくれよ

黒垣ハジメ

どんなヤツだろうと
俺がシメてやるよ

広井栄子

…………

黒垣ハジメ

俺の知り合いには
廃暴流<ハイボウル>
のメンバーもいるんだぜ

広井栄子

廃暴流って…
繁華街にいる
半グレ集団
じゃない…!

黒垣ハジメ

いやいや
面倒見のいい人たち
なんだって

黒垣ハジメ

それにウチの学校の
矢場先輩も廃暴流に──

黒垣ハジメ

──!!

吉良サグル

…………

いつの間にか── 黒垣たちの担任教師 ──吉良サグルが 校舎裏の角に立っていた

黒垣ハジメ

(コイツ…
いつから…!?)

吉良サグル

…………

しかし吉良は 黒垣と目が合うと──

──何も言わず そのまま 立ち去った

黒垣ハジメ

おいコラ!
待てやっ!!

広井栄子

──!?
どうしたの!?

黒垣ハジメ

あ、いや…
栄子はここで
待っててくれ

黒垣は 吉良を追いかける──

黒垣ハジメ

はぁ…はぁ…
待てよおい

吉良サグル

…………

吉良サグル

えっ?
な、なんだい…?

阿佐心学園 1年5組担任教師 吉良サグル (きらさぐる) 25歳

黒垣ハジメ

何コソコソ
見てたんだよ

黒垣ハジメ

タバコ吸ってたこと
後で職員会議で
チクろうってか?

黒垣ハジメ

俺に直接言うのが
恐ぇからってよぉ

吉良サグル

…………

吉良サグル

えっ、いやー…
僕は何にも
見てないよ…

黒垣ハジメ

しらばっくれてん
じゃねーぞ!

黒垣ハジメ

吉良サグル

わっ!
ちょっと──

黒垣の繰り出した拳は──

吉良が頭を わずかに傾けただけで 空振りした──

吉良サグル

ああ…
びっくりした…

黒垣ハジメ

──!?

吉良サグル

…………

吉良サグル

(俺の任務は──)

組織の幹部だった 頃沢さんを 殺害した暗殺者──

『スイート・ビー』を 見つけ出し──

殺すことだ

吉良サグル

(黒垣──…
こいつは)

黒垣ハジメ

へっ…ちょこまか
動きやがって

吉良サグル

(違うな…)

黒垣ハジメ

ま、さっきのは
軽いジャブ…
本気じゃねぇし

吉良サグル

(絶対違うな…)

吉良サグル

(そうとわかれば
後はごまかそう)

吉良サグル

(この学校では
俺は平凡な教師…)

吉良サグル

(適当に殴られて
痛がっとくか…)

黒垣ハジメ

おい…
偶然よけたからって
いい気になんなよ

黒垣ハジメ

これが俺の
本気──!

黒垣ハジメ

吉良サグル

(コイツの拳を…
額で受け止める…)

ガツッ!

黒垣ハジメ

痛ってぇ!!
俺の拳がぁ!?

黒垣ハジメ

テメェ!
一体何を──

吉良サグル

…………

吉良サグル

ああ痛いー!
痛いってー!

黒垣ハジメ

──!?

吉良サグル

もう殴らないでくれよー
ほら鼻血がこんなに!

吉良サグル

黒垣ハジメ

げっ、マジか!?
そんな大量に!?

黒垣ハジメ

──って何でだよ!
鼻殴ってねーだろ!

吉良はとっさに 『自分で』鼻をいじり 鼻血を出していた

吉良サグル

ヤメテクレー!
もう勘弁してくれよー!!

黒垣ハジメ

…………

黒垣ハジメ

さっきから
わざとらしいんだよ
テメェふざけ──!

ズキッ──!

黒垣ハジメ

(やべぇ…!
手がめちゃ痛ぇ…)

黒垣ハジメ

ちっ…ザコが…
今日はこのぐらいに
しといてやるよ…

──騒ぎを聞きつけ 広井栄子が駆けつける

広井栄子

ちょっとあんた
何してんの!

黒垣ハジメ

な、何でもねぇよ!
このセンコーが──

広井栄子

先生大丈夫?
鼻血が…

吉良サグル

ああ、何でもないよ
木にぶつかっただけさ

黒垣ハジメ

木…?
ハァッ──!?

そのとき、チャイムが鳴る──

吉良サグル

そんなことより
昼休みも終わったから
教室に戻ってくれよ

広井栄子

でも先生
鼻血が…

広井栄子

そうだ…
私のハンカチ
使ってください

吉良サグル

ああ…
ありがとう

黒垣ハジメ

ハアァァァ!?
何スカしてんだ!?

黒垣ハジメ

テメェやっぱり
ナメて──!!

広井栄子

──ほら、さっさと
教室に戻るよ…!

黒垣ハジメ

痛てて!おい栄子
右手引っ張んな!

黒垣は広井に引っ張られ 去って行く…

吉良サグル

…………

吉良サグル

うまく痛がった
つもりだったが

吉良サグル

黒垣を
かえって怒らせて
しまったな

吉良サグル

ま、とりあえず
やり過ごせたから
よしとするか

吉良サグル

それで──

吉良サグル

そこの木の陰に隠れて
いるのは誰だ?

木の陰から 女が現れる

壁庭ミミ

クスクス──

壁庭ミミ

そんな演技で
本当にうまく
やってるの?

壁庭ミミ

『K』──

壁庭ミミ

──いや、今は
吉良サグル先生
って呼ばなきゃね

吉良サグル

──ミミさん!?

吉良サグル

情報役のミミさんが
どうして学校に?

壁庭ミミ

あなたのサポートよ

壁庭ミミ

これから週に
何度かは学校に
顔を出すわ

壁庭ミミ

表の姿は…
スクールカウンセラーとしてね

阿佐心学園 スクールカウンセラー 壁庭ミミ (かべにわみみ) 26歳

カウンセリング ルーム

壁庭ミミ

この学校には
カウンセリング
ルームもあるの

壁庭ミミ

ねっ、この部屋
いいでしょ
こそこそ話すのにも

吉良サグル

…………

吉良サグル

…すみません
スイート・ビーを
未だ発見できず…

吉良サグル

ミミさんの手まで
煩わせることに
なるとは…

壁庭ミミ

いいのいいの
持ちつ持たれつよ

壁庭ミミ

それに…
組織が入手した
情報も確実では
ないからね

壁庭ミミ

そもそもこの学校に
スイート・ビーは
いないのかも…

吉良サグル

とにかく…
全力を尽くします

吉良サグル

この任務の遂行は
俺に任せてください

壁庭ミミ

…………

壁庭ミミ

どうも熱くなるね
スイート・ビーの
ことになると

壁庭ミミ

もしかして…
スイート・ビーが
毒針使いだから?

吉良サグル

…………

吉良サグル

…はい

吉良サグル

…12年前
俺の両親と妹は
殺されました…

吉良サグル

3人とも
毒針を刺されて…

壁庭ミミ

そうだったね…

吉良サグル

…………

数年前から現れた 凄腕の毒針使い スイート・ビー…

スイート・ビーは──

俺の家族を殺した 犯人に 深く関係している──

俺の直感が そう告げていた

吉良サグル

一刻も早く…

吉良サグル

校内にいる
スイート・ビーを
見つけ出し…

「必ず殺します──」

スイート・ビーのいる教室 -吉良先生も暗殺者-

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