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再び訪れた静寂
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静寂を割いたのはレトルトだった
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少し俯き、恥ずかしそうにする2人
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キヨくんは目を大きく見開いて、動かなくなってしまった
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気のせいだろうか、キヨくんの耳がほんのり赤みを帯びているような…
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どうやら自分の感覚は外れていなかったようだ
暗がりでも分かるほど、キヨくんの耳は赤く染まっていた
普段おちゃらけてばかりのキヨくんからは想像もつかないほどの真剣な表情
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本当に、文句なんてものはない
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キヨくんに言い慣れてない言葉を口にした途端、顔がブワッと熱くなるのを感じた
またも言われるとは思ってなかったのか、少し拍子抜けした表情をするキヨくん
そしてふいっと顔を背け
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その反応が余計に恥ずかしさを加速させた
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下を向き、ぎゅっとズボンを握りしめる
「顔から火が出る」とはこういう事なんだと、やけに冷静になっている自分も居て
俺の脳内は、いろんな感情でごちゃまぜになっていた
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そう言いつつ、必死に平静を装うとしていると…
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ふと、目の前の彼が静かになっていることに気づいた
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恐る恐る顔を上げると、
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目を閉じていた
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流石に違和感を覚えた
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返事が一向に返ってこない
キヨくんの顔の前でひらひらと手を降っても、反応がない
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まさか、とは思ったが…
寝てる…!?
ひざまずいて水のペットボトルを持ったまま、ウトウトしている
なんと器用なことか…
と次の瞬間、キヨくんの身体がぐらりと前に傾いた
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慌てて支えるも、キヨくんの身体が異常なまでに熱い
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いつの間にか起きたキヨくんが、小声でなにか呟いている
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あまりに間の抜けた理由に、開いた口が塞がらなかった
「いっそのこと置いて帰る」という考えが頭をよぎった
だが助けてくれた手前、放っておくわけにもいかない
何より、自身のプライドが許さなかった
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肩を貸して、やっとの思いで座らせることに成功した
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ぼーっとしながらも、ペットボトルの蓋を開けようと奮闘している
だが力が入らないのか、もたついている
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いよいよ見ていられなくなり、強引にペットボトルを奪い、蓋を開けてやる
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そういい、一口、また一口とゆっくり身体に流し込む
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満足したのか、3分の2ほど残してキャップを閉めた
やっぱり半分開いていたので、自然の流れで蓋を閉め切った
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先程まで借りていたキヨくんのコートを、彼の膝に掛けた
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適当なことを言いながら、自分ももらった水を一口飲む
冷たさを失った水が喉を潤していく
元は冷たかった、先程の腕の嫌な温かさを吸収した水
それを自分の身体に流し込むというのは、せっかく逃がした熱を取り込むも同じ
何ともおかしな話だ
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もはやギャグに等しいその行為には失笑するしかなかった
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もごもごと呟くキヨくん
先程の圧なんてものはなくて
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お酒が回り、睡魔に襲われた青年がそこにいた
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どっちにしろ立たせるんじゃん…という表情をしていたが、見なかったことにした
キヨくんはゆっくり立ち上がると、最初はふらついたものの、なんとか自立することに成功
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ずり落ちたコートをしっかり羽織らせる
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よろよろと、だが足は動かしている
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完全に寝ないように、と話題を振る
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少し間をおいて、ポツリとひと言
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口約束では済まされない、むしろ懇願するような声色だった
悔しさ、悲しさ、辛さすべて、伝わってきた
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眠そうにしているのも含めて
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立ちながら寝落ちそうになっている
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徐々に彼の重心がこちらに傾き始めている
もう限界なのだろう
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公園の柱時計をちらりと見やると…
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日付を大きく超えていた
つまり…終電を逃した、ということになる
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こんな由々しき事態に目もくれず、隣の男は呑気に寝息を立て始めた
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彼の足を思い切り踏んだ
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寝ぼけ眼の間抜けた表情をした彼を見ると、何故か怒るに怒れなかった
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そして、ふらふらと夜道を再度歩き始めた
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心臓がうるさかった
さっき抱きしめられた時は、こんなにうるさくならなかったのに
距離が近い
でも嫌じゃない
安心して気が緩んだ?こっちのセリフだ
俺も…少しだけ安心できてる
多分、さっきとは違う意味で
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小さく、聞こえないように呟く
さっきまで、あんなに…
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今はどうだ
酔いが回って、隣で立ちながら寝ようとしている
でもその全部が、なぜか頭から離れなくて
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呼んでみる
返事は返ってこなかった
俺の肩を借りて、ぐったりとしている
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呆れつつ小さくため息をつく
だが心の奥は、ぽかぽかと温かくなっていく
「寝たら置いて帰る」と自分で言ったくせに、離れることができなくて
「掴まっとけ」
今度は俺がしっかり支えている…物理的ではあるが
ky
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ぽつり、と彼に聞こえないように呟き、空を見上げる
秋深まる深夜1時
いい歳した大人2人が肩を組んで歩いている
しかも、1人寝かけている
端から見れば違和感ありまくりな構図
だがそれでも…不思議と安心できている
そして、少し…ほんの少しだけ、胸がざわついている
どうしてだろう、さっきからずっとだ
キヨくんの言葉が、声が、姿が、そればかりが残っている
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そして、違和感の正体がなんなのか…
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その時は、まだ気づきもしなかった
To be continued...
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