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わぁわぁぁぁ、なんかすごい、儚い感じが凄いです(?)語彙力なくてすみません🙇♀️ 続き待ってます!
昼のピークが落ち着いた頃
カウンターの中で〇〇は伝票をまとめながら
深いため息をついた
夢だった事業
だが夢とは裏腹に現実は上手くいかない
ずっと夢だったはずなんだけど...
売上の数字と仕入れの帳簿
〇〇
どちらを見ても
頭の中に小さな霧がかかるようだった
〇〇
〇〇
ポツリと呟いた声が
湯気の立つカップの向こうで掻き消えた
その時
店のドアが軽い音を立てて開く
るい
明るい声と共に入ってきたのは
バイトのるいちゃんだった
〇〇
〇〇
〇〇
るい
るい
るい
るい
るいちゃんはエプロンをつけながら
〇〇の顔を見て首を傾げた
るい
〇〇
るい
〇〇
〇〇
〇〇
るいちゃんは「なるほど」と呟いた
るい
るい
〇〇が苦笑して頷くと
るいちゃんは真面目な顔で近づいてきた
るい
るい
るい
るい
〇〇
○○はその言葉を口の中で転がす
遠い世界の話のようで
でもどこか現実的でもあった
〇〇
少し考え込む○○を見て
るいちゃんはパンっと手を叩いた
るい
るい
〇〇
るい
るい
〇〇
るい
るい
るい
○○は半笑いで手を止めた
〇〇
るい
るい
〇〇
○○は顔を上げてしばらくぼーっとした
るい
るい
るいちゃんは明るい笑顔でそう言った
〇〇
るい
るい
あからさまにしょんぼりするるいちゃんは
どこか子供のようで微笑ましかった
〇〇
〇〇
〇〇
〇〇
るい
るい
〇〇
○○は笑いながら軽くタブレットに視線を戻した
るい
るい
からっと笑うるいちゃんに
○○は少し肩の力を抜いた
〇〇
〇〇
〇〇
るい
るい
きゅるきゅるした目で
るいちゃんは訴えてくる
るい
〇〇
るい
るい
〇〇
〇〇
〇〇
るい
るい
〇〇
○○は笑いながらコーヒーマシンに手をかけた
るいちゃんの明るい声が
昼下がりの店内に熔けていった
○○はその笑い声を聞きながら
テーブルの端に置かれたマグカップへ視線を移す
〇〇
〇〇
夜 るいちゃんに押し切られる形で向かった居酒屋は
思っていたよりも落ち着いていた
学生のノリではなく
静かに笑いが交わされる大人の集まり
それでも○○はどこか居心地が悪く
グラスの縁をなぞった
やっぱり...
来るべきじゃなかったかも
〇〇
斜め向かいに座る男の人が声をかけてきた
スーツの袖をまくる仕草
会話の後に1拍置いて笑う癖
そのどれもが心の奥をくすぐった
〇〇
〇〇
と答えながらも
視線を逸らせなかった
男がグラスを置く指先を見た瞬間
胸の奥がぎゅっと痛んだ
同じだった。
最後に見たあの人の仕草と
〇〇
〇〇
〇〇
微笑んでみたけど
自分でもわかるほどぎこちない
横ではるいちゃんが楽しそうに笑っている
その明るい声が
過去の記憶をかき消してくれてるようで
○○は少しだけ救われた
帰り道
○○は寒くなった空気を吸った
〇〇
冷たい風に頬を撫でられながら 小さく息を吐いた
吐く息は既に白く
街の灯りが遠くに滲む
冬がもうすぐそこまで来ている
人間って
季節の変わり目に1番
記憶を無くすんだって
唐突に、耳の奥でその声がした
優しく
笑うような声。
思い出すはずのない声だった
胸の奥が僅かにザワつく
あの日から止まっていたはずの時間が
ほんの少しだけ動いていた