神は不幸者を慰めるために 時を支配した。
––– ジョセフ・ジュベール 『パンセ』
圭
天望
燃え盛る炎、意識が飛ぶような 熱さの中、爆風によって 部屋の奥にあっしは飛ばされた。
圭は対角線上にある位置に 飛ばされたが、幸いにも 扉が近くにあった。
天望
あっしは火災の基本を 喉が破けるほどの大声で叫んだ。
圭
と気の抜けた返事が返ってきた。
天望
一般的に煙がある状態では 1分30秒、なしの場合は 1分以内に避難するのが 良いとされている。
つまり、残された時間は 1分20数秒だ。 それまでにこの空間を 脱出しなければならない。
天望
圭
天望
バリバリッ
天望
そうだ、前のあっしは 崩れた天井に足を挟まれ...
天望
あっしは小柄ゆえの 瞬発力で横は避けた。
圭
天望
ガシャンッ‼︎
天望
横へ飛んだ拍子に傍にあった 3つの書類棚がドミノのように 倒れ、あっしの右足を 勢いよく押し潰した。
天望
圭
天望
恐らく、いや絶対に折れている。 左足はギリ逃れたが 右足は複雑骨折だろうか。
そして、あっしは悟った。
天望
痛みと熱さで思考が 上手く回らない。
だが、自然と落ち着いている 自分がいた。
圭
天望
圭
天望
圭
天望
圭
天望
あっしは大粒の涙を 流していることに気が付いた。
視界が歪んで圭も炎も ぼんやりとしている。
“約束”を果たせなかった涙か?
死への恐怖から来る涙か?
生きたかった涙か?
もう...もう何も... 分からなかった...
瞼が重い。 呼吸が苦しい。
そして...もう...
天望
圭
圭
圭
遥翔
圭
遥翔
圭
圭
遥翔
圭
遥翔
圭
遥翔
圭
遥翔
すると謎の男は 足先でつつくように 天望の体を書類棚の下から 移動させた。
ガシャンッ‼︎
遥翔
圭
遥翔
圭
遥翔
遥翔
圭
遥翔
圭
圭
遥翔
遥翔
圭
遥翔
圭
遥翔
そう言うと私が見慣れた 所長の姿に変わっていった。
圭
所長?
すると彼は思い切り 息を吸い込むと、天望の耳元に 向かってこう叫んだ。
所長?
天望
遥翔
遥翔
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