兵舎内 手洗い場
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ひとらんらんとの戦いに、勝算がないわけではない。 問題は『その後』だ。
新人幹部と言われる中でも、随一の実力者であるひとらんらん。 普通に戦うとなるとかなり厳しい相手であるのに、二人の実力者との戦闘の後であり、体調も万端とは言えない。
(なお、鬱先生はカウントされていない模様)
この戦いはイベントという体を取ってはいるが、半ばエーミール虐めに近いものがある。
それは無理もない。 と、エーミールも思ってはいる。
旧知とはいえ、総統であるグルッペンに対して、反抗的な意思を持っている。他幹部との根深い因縁もある。 信用をしろという方が、無理である。
このイベントを機に、エーミール対しマウントを取りたい輩にも囲まれている。 それは間違いない。
だからこそ、エーミールは勝たねばならない。 参謀長の地位を確固たるものにし、絶対的な権力を手に入れなければならない。
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弱いままでは、いつまでもゾムを守れない。 弱いなりにもゾムを守りたい。
勝ち続けなければ。
ゾムを守るために、エーミールはもう負けるわけにはいかない。 たとえ何モノが相手であろうと。
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エーミールは目を閉じ、頭の中で何度も何度もゾムの戦い方を反芻した。 少しでも、彼に近付くために。 もう二度と負けないために。
闘技場の片隅。
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そろそろ時間やで。
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エミさん休ますだけになるで?エエんか?
ht
お互い、万全の状態で戦いたいので。
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その右手に持っているペットボトルは何や?
ht
tn
(イヤな予感しかしねぇ……)
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炭酸水、何に『使う』ん?
ht
ひとらんらん・鬱 「炭酸水オ○ニーだよな〜!!」
tn
やっぱり、やっぱりぃぃぃッ!!
却下に決まってるやろ、そんなモン!!
ht
『万全の状態』たることが、戦いに赴く武士(もののふ)のさだめ。
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ホント、クソザコ会合日程、どうにかならんかね。
ht
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会合先で、いいオカズももろてきたし!(キリッ)
tn
そーゆー問題とちゃうねんてぇ…
4戦目 FIGHT!!
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よろしいですか?総統閣下。
gr
お互いにぬるい戦いなど、する気はないのだろう?
ht
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エーミールが取り出したのは、長さ2m弱の鉄パイプだった。
gr
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それにひとらんさんが相手なら、このくらいのハンデは欲しいです。
gr
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抜刀一閃。 幼い頃から剣道を続け、四人の中でも随一の戦闘力を持つ、ひとらんらん。 長物武器でリーチを取ったとはいえ、エーミールは防戦一方だった。
ひとらんらんの一撃はシャオロンよりも重く、それでいてコネシマのように素早かった。
おまけにエーミールの動きもよく見ており、防御から一転攻撃態勢に移ろうとすると、即座に鋭い突きを入れ、エーミールの攻撃を封じ込める。
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ひとらんらんの上段からの振り下ろしを、エーミールはかろうじて流して避けた。 大振りでわざと隙を作り、エーミールの攻撃を誘っている。
攻撃に転じたところを搦め手で動きを封じてくると読んだエーミールは、ひとらんらんの攻撃を流して距離を稼ぐ。
ひとらんらんの言う通り、防戦一方では突破口は見いだせない。 防いでいるだけでも、気力と体力は削られる一方である。
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連戦の蓄積疲労と年齢による体力差がある以上、長期戦になればなるほど、不利になるのはエーミールのほう。
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エーミールの視界の隅に、先程の鬱との戦いで、鬱が片付け忘れた木の棒が見えた。
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ひとらんらんの攻撃をかわしながら、エーミールはじりじりと後退を続ける。
tn
gr
まあ、見てろ。そろそろエミさん仕掛けて来るぞ。
トントンの言う通り、エーミールは場外まであと少しというところまで押されてきた。 そして、足元には先程目に入った、鬱の落とした木の棒。
ひとらんらんの攻撃をかわして体を横回転させるエーミール。 回転の動きを利用し、落ちていた木の棒を、ひとらんらんに向かって蹴り上げた。
ht
小賢しい真似を…ッ
最後っ屁のようなエーミールの攻撃を、ひとらんらんは愛刀で薙ぎ払う。
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げどちゃん、来るぞっ!
ht
とひとらんらんが口にした瞬間、小石混じりの土がひとらんらんの顔面目掛けて飛んできた。 隙を作った僅かの間に、エーミールは闘技場の砂利を掴み上げ、ひとらんらんの顔面に向かって礫を投げる。 咄嗟のことに、ひとらんらんは両手で顔面をガードしたその特
鬼気迫る表情のエーミールが、ひとらんらん目掛けて突進してきた。
エーミールの鉄パイプは、ひとらんらんの水月を正確に捉え、渾身の一撃で突き上げた。
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体をくの字に曲げ、地面に倒れ込みそうになったひとらんらん。 エーミールは畳み掛けるように、鉄パイプを横に持ち、ひとらんらんの抑え込もうとしていた。
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トン氏、ロボロ。
エミさんを止めろ。
地面に倒れ込んだひとらんらんの首を鉄パイプで押さえ込んだエーミールは、腰からナイフを抜き、ひとらんらんの心臓に振り下ろす
直前のすんでのところで、ロボロがエーミールの右腕を抑え、ナイフを取り上げた。 左側から回り込んでいたトントンが、同じくエーミールの手から鉄パイプを抜き取っていた。
殺意に満ちたエーミールの眼。エーミールを押さえるロボロとトントン。 そして、地面に転がる自分。
ひとらんらんは、自分の敗北を察した。
ht
...
vs ひとらんらん 勝者 エーミール (TKO) 対戦成績 3−1
新幹部によるエキシビションマッチ 3−1で、エーミール新参謀長の勝利です
gr
戦いは終わりだ。
グルッペンの言葉に、ようやく我を取り戻したエーミール。 慌てて周囲を確認すると、対戦相手のひとらんらんは、苦しそうに喉を押さえ、オスマンに抱えられ立ち上がっていた。
一方の自分は、トントンとロボロに両脇を抱えて押さえ込まれていた。
tn
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危うくひとらん殺すトコやったで?
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ht
ひとらんらんは何度か咳をし、喉の調子を整えた。
ht
俺のこと、評価してくれていた証拠だ。
ht
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ですが、戦争は綺麗事では済まない。
em
オスマンさんについていけば、自ずとその道も見極めできるでしょう。
ht
勉強になりました。
em
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任された。
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ht
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歩けるんやったら、自分で歩いてね。
ht
オスマンとひとらんらんのなごやか(?)なやり取りを見送り、トントンもまたエーミールを立たせようとした。
その瞬間、エーミールとトントンの背筋に冷たい何かが走る。 トントンは異変の正体に気付いた。
tn
コメント
9件
ボクが知ってるひとらんはもっと 純粋で初心なかわいいひとらんらん なんだぁぁぁぁぁぁ!!! 。゚(゚´Д`゚)゚。ウワァァァ
炭酸プレイ…os氏を思い出すのは我だけか?