私達の物語に“繋がる”まで、どれぐらいなんでしょうね。
―キミ子―
本作の主人公。
本名、来宮 喜美子
(きのみや きみこ)
当時、中学の15歳。
―サキエ―
キミ子の親友。
名前、山郷 咲枝
(やまさと さきえ)
当時、中学の14歳。
―滝斗―
本名、不明
年齢、不明
(12~14歳に見える)
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私は、目を覚ますと、そこにサキエと見覚えのある少年がいた。
キミ子
(えっーと、これはーどういう状況でしょうか?)
キミ子
(誰か私に説明してくださると、助かります…)
キミ子
(途中から、聞いていたから、よくわからんけど)
キミ子
(“あの方”とか“嫁”言ってたけど)
キミ子
(あの方って誰?)
キミ子
(でも、それより、気になるのは)
キミ子
(私を“嫁”にするって、言ってたことの方が気になる)
サキエ
「えっーと、君 苗字は?」
滝斗
「垣尾(かきお)」
キミ子
(垣尾…… 聞いたことないな)
サキエ
「垣尾くん、何年生か知らないけど、もう少し大きくなってから、考え直したら?」
滝斗
「俺は、二年生です」
サキエ
「へぇー、一個下か…」
滝斗
「はぁー、いつものことだから別にいいけど…」
サキエ
「……ん?」
滝斗
「気にするな、こっちの話だ」
サキエ
「そう?」
滝斗
「とりあえず、あんたは反対だと」
サキエ
「当たり前でしょ?」
滝斗
「まぁ、普通はそうか」
サキエ
「それより、どうして、彼女なのよ?」
滝斗
「好きだからに決まってるんじゃん?」
キミ子
(何か、照れる)
サキエ
「…そうだったわね」
滝斗
「ん?」
滝斗
「何か、変なこと言ったか?」
サキエ
「ううん、ただ悪い人に見えないから」
サキエ
「少し、混乱してるだけ」
滝斗
「おっ、そうか」
サキエ
「でも、変なことは言ってるわよ」
滝斗
「まぁ、自分でも自覚してるけどな」
サキエ
「へぇー」
サキエ
(自覚してるだ…)
サキエ
「まぁ、君の目的はわかったけど」
サキエ
「彼女に人を殺させないし、あなたの嫁なんかにさせない」
キミ子
(サキエ…)
滝斗
「あぁ、こいつが嫌がるなら、無理に嫁になれとも、殺しに荷担させたりしない」
サキエ
「無理矢理でも、やらせるような人だと思ってた」
滝斗
「うん、そう思われてると思ってた」
サキエ
「…本当、あなたって、何者?」
滝斗
「最初に言ったと思うけど、“危険人物”だよ」
サキエ
「危険人物って、どういうことなの?」
滝斗
「そっか、知らないのか」
滝斗
「……昔、あの方を“殺そう”としたんだよ」
サキエ
「えっ?」
滝斗
「って、言っても、意味がなかったんだよな」
サキエ
「どういうこと?」
滝斗
「輝き所有者の中でも『最強の能力者』により、瀕死状態になった、あの方を一瞬で治しあがったんだ」
サキエ
「そんな人が…」
滝斗
「って、言ってもやつの能力(ちから)が治すという訳じゃないし」
サキエ
「それじゃ、幻を見せられてたんじゃないの?」
滝斗
「それはないな」
サキエ
「どうして?」
滝斗
「もう、確めた」
滝斗
「その当時は幻を使う“輝き所有者”はいなかった」
サキエ
「それじゃ、怪我をする前に戻したんじゃない?」
滝斗
「俺もそう考えた」
サキエ
「どうだったの?」
滝斗
「その考えは、一瞬で消された」
サキエ
「どうして?」
滝斗
「やつは、俺のそんざ…」
サキエ
「どうしたの?」
滝斗
「この話はまたあとだ」
サキエ
「えっ?」
滝斗
「……『来宮』、寝たままでいいから、聞いてくれ」
キミ子
(起きてるのバレてたー!)
サキエ
「えっ、起きてたの!」
滝斗
「来宮が、俺のことも、あの約束ことも、記憶から、消されていたとしても…」
滝斗
「それでも、俺は必ず……」
滝斗
「“君を守る”――」
キミ子
(……うん)
サキエ
「何!?」
???
「守りきれるなら、守ってみやがれよぉー?」
???
「俺はよぉ、お前をよぉー、痛みつけて、さっさと、来宮っていうやつをよぉ、連れていかなければならねぇのよぉ?」
滝斗
「お前、一人か?」
???
「一人で何がわりぃだぁ?」
???
「俺は、“最速”の『快斗』た」
滝斗
「…最速」
快斗
「てか、おメェ… 小ッさ」
滝斗
「それは、余計だ!」
快斗
「俺と同い年でも、“高校二年生”で、それって、大丈夫かよ…」
サキエ
「高校二年生!」
サキエ
「えっ… 歳上……」
滝斗
「お前ら、人を哀れむような、その“目”やめろ!」
快斗
「まぁ、そんなことは、どぉでもいい!」
滝斗
「お前、来宮つれて逃げろ」
サキエ
「うん、わかった」
キミ子
「サキエ、後で、聞きたいことあるからね」
サキエ
「はいはい、わかったから行くよ」
快斗
「逃がすわけねぇだろぉが!」
キミ子
「早っ!」
滝斗
「音響(アコースティック)」
快斗
「ぐあ!」
キミ子
「サキエ、あれ何をしたの?」
サキエ
「アコースティックは、音響のことね」
キミ子
「へぇー、そうなんだ」
キミ子
「その、音響で何をしたの?」
サキエ
「あの人は、響く音で見えない壁を作って、それを相手にぶつけたの」
キミ子
「うん、そうなんだー」
キミ子
「わからん」
サキエ
「音の壁でぶつけたの」
キミ子
「うん、後で、わかるように説明して」
サキエ
「はいはい」
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最強の能力者
「お呼びでしょうか、我が主」
最強の能力者
「はい」
最強の能力者
「再び、あの者が来るのですから、普段の姿では、勝てませんのでな」
「それにしても、見ないうちにたくましくなったものだな」
最強の能力者
「おかげさまで、前より、強くなりました」
最強の能力者
「早く、あの者と戦いたいものだ」
最強の能力者
「はい、すでに三名ほど、選んでおきました」
最強の能力者
「入っておりますが、なにか問題でも?」
最強の能力者
「主が、心配するのも当然です」
最強の能力者
「しかし、そこは、兄であるあやつが、何とかするでしょう」
最強の能力者
「そこまで、心配なのであれば、あの者に監視させますが?」
最強の能力者
「それでは、今すぐ向かせます」
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キミ子
「何処ここ?」
サキエ
「まぁ、とりあえず小屋に入って」
キミ子
「うん」
私とサキエは、小屋の中に入り、部屋の中を見渡した。
キミ子
「誰もいないね」
サキエ
「そうね」
キミ子
「さて、聞かせてもらおうかねー?」
サキエ
「はいはい、あなたはお気楽ね」
キミ子
「そう?」
サキエ
「とりあえず、説明するけど」
キミ子
「うん」
サキエ
「あなたは、“輝き所有者”になったの」
サキエ
「正確に言えば、なってたかな?」
キミ子
「何で、私が?」
サキエ
「あんたなら、喜ぶと思ったんだけど、そうでもない?」
キミ子
「そりゃー、もちろん、うれしい… けど……」
サキエ
「あんた、何か隠してる?」
キミ子
「うん、隠してる!」
サキエ
「何そこだけハッキリと言ってるの!?」
キミ子
「いやー、隠し事するのって、結構大変なんだねー」
サキエ
「隠し事があるのを隠さないって、どういうつもりよ?」
キミ子
「だってー、親友に隠し事するの、イヤじゃない?」
サキエ
「その台詞、私に対する嫌味かしら?」
キミ子
「あっ、そうだ!」
キミ子
「サキエってば、私に隠し事してたんだった」
サキエ
「今更なのね…」
キミ子
「お互い様ってことで、本題にはいろー!」
サキエ
「ホントにあんたって、前向きね」
キミ子
「だって、ケンカなんてしたくないもん」
サキエ
「そうね」
サキエ
「まず、あなたの能力(ちから)についてだけど」
キミ子
「うん」
サキエ
「……フライかな?」
キミ子
「ふらい?」
キミ子
「何のフライ?」
サキエ
「自分で言ってたじゃない?」
キミ子
「そうなの?」
サキエ
「あんた、覚えてないわけ?」
キミ子
「そうみたい、階段から、落ちそうになった時からの記憶がないんだよねー」
サキエ
「つまり、無意識で、やったわけね」
キミ子
「でも、本当にフライ… つまり、飛ぶなの?」
サキエ
「それは、わかるのね」
キミ子
「ちょっと、私そこまで、頭悪くないよー」
サキエ
「確かに、引っ掛かるところがあるのよね」
キミ子
「どういうこと?」
サキエ
「あなたの能力(ちから)が、フライじゃないような気がするの」
キミ子
「私も、そう思う」
サキエ
「いや、あなたの場合は、もっとカッコいいような、能力(ちから)が良かっただけでしょ?」
キミ子
「あっ、バレた?」
キミ子
「それじゃ、サキエは、何でそう思うわけ?」
サキエ
「あの男が、あんたの能力(ちから)利用する理由がわからないし」
サキエ
「あなたが、狙われている理由もわからないし…」
サキエ
(それにあの時、言っていた)
サキエ
(あれは、なんだったかもわからない)
キミ子
「私ってば、狙われてるんだー」
サキエ
「そうみたいね」
キミ子
「……何だろう?」
サキエ
「どうしたの?」
キミ子
「さっきからね、妙な気配がするの」
サキエ
「気配?」
キミ子
「って、言ってもこの小屋に入ってからなんだけどね?」
サキエ
「……あんた、そういうのは、もっと早く言ってよね?」
キミ子
「えっ?」
謎の人物
「君鋭いね」
サキエ
「あなた、本当の意味で、影薄いわね」
謎の人物
「酷いですね、僕の能力(ちから)が“隠す”なのだから、仕方がないじゃないですか」
キミ子
「すごいね、女子の着替え除き放題じゃん!」
謎の人物
「あはは、面白い子だね」
キミ子
「いえいえ、それほどでもー」
サキエ
「あなた、何溶け込んでのよ!」
サキエ
「あと、あんたは、そこで照れないの!」
謎の人物
「あれが、噂のツンデレかしら?」
キミ子
「そうでございますよ」
キミ子
「オホホ」
謎の人物
「オホホ」
サキエ
「あんた、そいつ一応敵なのよ!」
キミ子
「そっかー、敵かー」
キミ子
「この出来事が終わったら、また話そうねー」
謎の人物
「ねー」
サキエ
「何、あんた達、私を怒らせたいの?」
キミ子
「ごっ、ごめんなさい…」
謎の人物
「さて、サキエさんが、ご立腹だから、おふざけはここまでにしよう」
キミ子
「何か、急にキャラ変わった?」
サキエ
「そいつ、影薄いから、いろんなキャラ演じるのよ」
キミ子
「じゃ、今度アニメのキャラ演じてみてください!」
謎の人物
「そうだね、今度するよ」
キミ子
「…何か、急にテンション変えられると、やりにくいね」
謎の人物
「そっか、次から気を付けるよ」
サキエ
「でっ、私達をどうするきなのよ?」
謎の人物
「それは、ですね」
謎の人物
「来宮さんが、人質で、サキエさんをお持ち帰りで…」
キミ子
「そっかー、お持ち帰りかー」
キミ子
「お幸せに!」
サキエ
「うん、あとで、あんた… わかってるわよね?」
サキエ
「校内放送で、あの“服”のこと言ってあげるからね?」
※ライオンの服のことです。
キミ子
「もう、ふざけないから、お許しをサキエ様!」
サキエ
「なら、もう少し危機感を持ちなさい!」
謎の人物
「まぁ、僕が、誤解を招くことを わざと 言って、来宮さんが、怒られたところで、本題に入ろうか」
キミ子
「いや、ここで?」
謎の人物
「それじゃ、説明しよう、来宮さんの能力(ちから)についてと、君達が狙われる理由」
キミ子
「なぜに消えた!」
敵か味方か、よくわからない人物が現れたのであった。