コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
その日の練習試合を終える頃には、既に正午を回っていた。
片付け作業を終えたところで、ドスッと肩に肘が乗っかってくる。
ハジメ
ユウヤ
チームメイトの山吹ハジメだった。
先ほどの試合で絶妙なパスを僕によこしたヤツ。
ハジメとは中学時代からの付き合いだ。
僕のことを『ユウ』と呼ぶのはこいつくらいのものである。
どういう巡り合わせなのか中高大と学校が同じで、部活も同じバスケ部。
俗に言う腐れ縁である。
部長
部長
アサギ
アサギ
その後ろから、さらに二人の姿が現れる。
身長2m弱の巨漢は、部長の樺沢さん。
その頭は古き良き角刈りスタイルに整えられており、ザ・漢という風情だ。
女性の方は、女子マネの沢田先輩。
長めのポニーテールとフレームの細いメガネが印象的なサバサバ系女子。 部長とは同期。
ユウヤ
部長
部長
ユウヤ
ユウヤ
豪快に背中をバンバン叩いてくる部長。
さきほど他メンバーにいじめられまくった背中が、再びジンジンと脈打つ。
ユウヤ
ユウヤ
入部してもうすぐ1年と半年くらいになるが、これだけはいまだに慣れない。
アサギ
部長
部長
アサギ
部長
ハジメ
沢田さんと部長は仲が良い。
いつもこんなふうに軽口を叩き合っている。
部長のことをゴリラなどと呼ぶのは沢田さんだけである。
ハジメ
ハジメ
ハジメ
ユウヤ
アサギ
アサギ
ユウヤ
ハジメ
ハジメ
ユウヤ
ユウヤ
ガードしようと挙げた僕の右腕を飛び越え、思い切り僕の頭をこねくり回してくるハジメ。
ユウヤ
ユウヤ
部長
部長
アサギ
部長
ユウヤ
沢田先輩はお金に関してはかなりがめついのだ。
そういうところがマネとして優秀だったりもするんだけど。
ユウヤ
アサギ
アサギ
アサギ
部長
部長
アサギ
部長
ユウヤ
ハジメ
飽きもせず僕の頭をこねくり回し続けていたハジメが、笑い声をあげた拍子に、
僕の頭がガクガクと前後左右に揺れる。
ユウヤ
ユウヤ
ハジメ
ハジメ
ユウヤ
ユウヤ
ハジメ
ハジメ
ユウヤ
正直言って魅力的すぎる提案だった。
が、このあとは非常に大事な用事が控えている。
ユウヤ
部長
部長
ユウヤ
ユウヤ
とっさにごまかそうとするが、上手く言葉が続かない。
その様子を見たハジメが会話に割り込んでくる。
ハジメ
ハジメ
ユウヤ
ユウヤ
部長
部長
ユウヤ
ハジメ
顔を強張らせた部長が僕の肩をがっしりつかみ、猛烈な勢いで揺らし始める。
部長
部長
ユウヤ
アサギ
アサギ
ユウヤ
アサギ
いつの頃からか、僕に彼女がいないことは部内である種のネタになっていた。
沢田先輩みたいに僕のことを男色家だと思っている人もいるくらいだ。
さらに不本意なことに、神央バスケ部七不思議などというものの一つにノミネートされる始末。
ちなみに残りはというと……、 “なぜ部長が一般受験で大学に合格できたのか?” というものなどがある。
ユウヤ
アサギ
アサギ
アサギ
ユウヤ
ユウヤ
アサギ
アサギ
アサギ
ユウヤ
ハジメ
ユウヤ
ハジメ
ユウヤ
ユウヤ
ハジメ
ユウヤ
ただし面識と言っても、話したことがあるのはハジメ一人のはず。
あの日のことは鮮烈に覚えている。
立花さんと初めて出会った日、という意味でもそうなのだが……
ユウヤ
ハジメ
ハジメ
ハジメ
ユウヤ
ハジメの言葉にハッと我にかえり、スマホの画面を確認する。
ユウヤ
一度家に帰ってシャワーを浴びてから身支度をしたりしなければいけない。
それを考えると、割とギリギリの時間だった。
ハジメ
ハジメ
そう言ってバシンと肩を叩くハジメ。
ユウヤ
ハジメ
ユウヤ
ハジメがいつになく神妙な面持ちで呟く。
部長
部長
アサギ
ユウヤ
ハジメと先輩方の言葉に感謝してから、僕は足早に体育館を後にした。