すみれ
隠された裏社会の者たちの間で。
「……んっ」
目覚めるとそこは知らない場所だった。いや、正確には覚えているけどここどこ? みたいな感じだ。だって俺はいつも通り学校に行って授業を受けて、放課後に部活をして帰ろうと思って校門を出たところで倒れたはずだ。なのになんでこんな薄暗い部屋にいるんだろ。しかも俺以外に誰もいないし。まさか誘拐とか拉致監禁か!? そう思い至った途端背筋がゾッとした。なんだよそれ怖すぎるよ! そもそも俺は男だし、身代金目的の犯行なんて成立しないと思うんだけど。
「まぁいいや。それより早くここから出ないと……」
もし誰かに見つかって警察に突き出されたらどうしよう。あーもう本当に最悪だよ。せっかく今日は楽しみにしてたゲームが発売される日だから急いで帰りたかったのに。って、そんなこと考えてる場合じゃない。とりあえずドアがないから壁沿いに歩いて出口を探すしかないかな。
『お待ちしておりました』
「うおっ
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