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すみれ

金の神教による人体実験により、人の死にゆく姿に魅了されてしまった裏社会の人間がそれに目をつけたのは必然であったと言えるだろう。かくして、世界の死をめぐる戦いが始まった。

すみれ

金を信仰し、金の為に命を捨てることを厭わない裏社会に その日は突然やってきた。いや、もしかすると、ずっと前から予兆はあったかもしれない。
突如として現れた天獄と呼ばれる者たちは、ただ殺戮を繰り返しているように見えながら、何かを探していた。そして見つけたそれを、容赦なく破壊していった。
彼らによって破壊されたものは様々だった。高層ビル群、自動車、鉄道、飛行機……それらは全て、彼らの力をもってすれば容易く手に入るはずのものだった。
彼らが何を探し求めていたのかを知る者は誰もいない。
ただ一つ確かなことは、彼らが探し求めた

すみれ

恐怖の象徴となった裏社会に 今となっては誰もが知る常識となった その毒の名は「紅血」
これは、そんな世界の中で生きる、二人の咎人の物語だ
―――
―――
「あー……ねみぃ」
「昨日何時まで起きてたんですか?」
「4時くらいまでゲームしてたかなぁ」
「寝不足じゃないっスか!」
「いやまあそうなんだけどさ、夜更かしってなんか楽しいじゃん? なあ、そうだろ? お前もわかるよな? な?」
「まあまあ落ち着いてくださいよ先輩」

すみれ

隠された裏社会の者たちの間で。
「……んっ」
目覚めるとそこは知らない場所だった。いや、正確には覚えているけどここどこ? みたいな感じだ。だって俺はいつも通り学校に行って授業を受けて、放課後に部活をして帰ろうと思って校門を出たところで倒れたはずだ。なのになんでこんな薄暗い部屋にいるんだろ。しかも俺以外に誰もいないし。まさか誘拐とか拉致監禁か!? そう思い至った途端背筋がゾッとした。なんだよそれ怖すぎるよ! そもそも俺は男だし、身代金目的の犯行なんて成立しないと思うんだけど。
「まぁいいや。それより早くここから出ないと……」
もし誰かに見つかって警察に突き出されたらどうしよう。あーもう本当に最悪だよ。せっかく今日は楽しみにしてたゲームが発売される日だから急いで帰りたかったのに。って、そんなこと考えてる場合じゃない。とりあえずドアがないから壁沿いに歩いて出口を探すしかないかな。
『お待ちしておりました』
「うおっ

すみれ

ウシガエルのような声が響き渡る。
「いやぁ!もういい加減にしてくださいよぉ!!」
「うるせぇな!黙ってろ!」
「うっぐぅ……」
薄暗い部屋の中に男が二人いる。一方は肥満体で、もう一方は細身だ。
男は何かを必死に訴えているようだったが、もう一人の男はそれを聞き入れようとしない。
「あのですね!僕だってこんなことしたくないんですよ!?」
「ならさっさとやれ!!」
「嫌ですけど!?」
「ふざけんなゴラァッ!!!」
そう言うなり痩せぎすの男の顔に拳を叩き込む。
殴った方も殴られた方も無傷だが、殴り飛ばされた方の表情は苦痛と恐怖に染まっていた。
「ひぃいっ!ごめんなさい!ごめんなさーい!!」
「あ?謝れば許してもらえると思ってんじゃねぇぞ?」
「え、あ、はい……」
「ほら早くやれ!」
「はい……

すみれ

海に落ちたインクのように広がり続けた 裏社会に そうして2035年現在、世界人口の約7割が何らかの方法で不老を得ている時代において、人々はこう囁き合うようになった
『死の抽出』こそが人類の真の姿であったのではないかと
「―――これが、我々の歴史だ」
そう言って男は口を閉じた。彼の前には十数人の若者がいる。いずれもが男と同じように白衣に身を包んでいる。だが彼らの表情は一様ではない。絶望に染まっている者もいれば、希望に満たされたような笑みを浮かべている者もいる。ただひとつ共通していることは、皆一様に興味深そうな眼差しを向けていることだった。
「なるほど……興味深い話ですね」
一番奥にいた青年が口を開いた。その声音からは感情を読み取ることができない。他の面々と同様に白衣をまとっているが、その容姿は他の誰よりも際立っていた。
腰まで伸びた黒髪は、窓から差す陽光を浴びて艶やかな光沢を放っている。肌は白く滑らかで、目鼻立ちも非常に整っていた。まるで人形のような美しさだ。
「ですが、まだ疑問点がありますね」
「ほう?何かね?」
「貴方たちの目的はなんですか?我々の研究の成果を独占したいのであれば、今すぐに止めるべきです!私達を拘束して何をするつもりなんです!?」
「落ち着けよ、別に俺たちだって好き好んであんたらを捕まえてるわけじゃねえんだぜ?」
「そうですよぉ~。それにぃ、こんな状況なのに落ち着いてられるなんて凄いですねぇ。普通ならもっと取り乱すと思うんですよねぇ……まぁ私はそんなことしないですけどね!」
「ふざけているのか貴様ら!!」
「いいえ~全然ふざてなんかいないですよぉ~?」
「ああそうだともさ、俺は至って真面目だぜ?……ただ少し

すみれ

水遊びをするように簡単に人を殺せる力 それを悪辣な目的で利用しようとする裏社会の連中に そして、世界は2030年に突如現れた災厄によって終焉を迎えた これは、人類の滅亡を前にして、人々が抗い続けた物語である かつて、人類は世界の覇権を握っていた。
だが今は違う。
今の人類は、他の生物の支配に甘んじている。
例えば犬だ。奴らは群れを成し、人類に対して牙を向ける。
今、人類を襲う脅威と言えば、害獣くらいなものだろう。
それも、文明の発展により駆逐されつつある。
では次に何が来るか? 答えは簡単。災害だ。
地震、津波、火山噴火などなど……
これら全て、人類に襲いかかってくる驚異である。
人類の歴史は、これらの脅威との戦いの歴史でもあると言ってもいいかもしれない。
しかし、それでも人類は生き残った。
なぜなら、人類はその叡智をもって、それらの猛威に対抗してきたからだ。
そう、自然災害にも勝るほどの力を持った『組織』が誕生したのだ! その組織は、様々な

すみれ

女神の連携プレイにより、裏社会に そして、またある時は……
「お疲れ様です! どうぞ!」
「ありがとうございます。いただきますね」
ここはどこだ? いや、そもそも俺は誰なんだ? 何もわからない。わかることはただ一つ、自分が何者であるかすらわからないということだけだった。
差し出されたカップを受け取り、中身を一口すすると喉を通り胃へと落ちていく感覚があった。続いて訪れる甘味と苦味のハーモニーに思わず頬が緩む。
ふと視線を感じそちらを見ると、金髪の少女がこちらの様子を伺っていた。心配そうな表情を浮かべているものの、目元を覆う前髪のせいでその感情を読み取ることはできない。
そんな彼女に大丈夫ですよという意味を込めて微笑みかけると、少女はほっとしたように胸をなで下ろしていた。
「美味しいですか?」
「えぇ、とても」
「よかったぁ……」
心底安心したという様子を見せる彼女の笑顔を見て、俺もつられて笑ってしまう。
「ところで、ここってどこなんでしょう? 私どうしてこんなところにいるんでしょうかね」
自分の置かれた状況がわからず不安になり、そう尋ねると、目の前の少女は申し訳なさそうに目を伏せながら答えてくれた。
「ごめんなさい。私はあなたの名前を知らないんです」
「私のことも覚えていないんですよね?」
「はい……。すみません」
「いえ、気にしないでください。それで、これはいったいどういう

すみれ

八方美人な裏社会に 金さえ払えばなんでも叶えてくれる夢の世界に 人々は手を伸ばすようになった。これは、そんな世界の物語だ。

「おい!起きろ!」
俺が目を覚ますと、そこは薄暗い部屋だった。俺はどうやら椅子に座っているようで、目の前には鉄格子がある。そして何よりも驚いたのはその部屋の壁一面に張り巡らされたガラス窓の向こうに見える光景は、あまりにも現実離れしていたからだ。
「なんだ……これ?」
「ようやく起きたか?お前、名前はなんていうんだ?」
俺に声をかけてきた男は背が高くて痩せていた。

すみれ

3ヶ所以上拠点を持つ殺人鬼たちは、3つの派閥に分かれて抗争を続けていた。
第一の勢力は、"死なずの番長"こと大峰剛が率いる『不老会』
第二の勢力は、『白狼団』を率いる山路正悟率いる『白狼党』
第三の勢力は、『黒猫旅団』を率いる木場鉄平率いる『黒猫隊』
いずれもリーダー不在のまま勢力を拡大している勢力だ。
そんな中、"死なずの番長"の大峰剛は突如現れた少女、如月真琴に興味を抱いていた。
真琴は『白狼団』の一員だが、幹部連中とは仲が悪いのか、よく単独行動を取っているらしい。
そんな話を耳にして、興味

すみれ

巡礼の果てに、聖遺物の回収を目論む裏社会の人々に 不死を得たい人々にとって、これは喉から手が出るほど欲しいものであったろう。
だが、そんなものが世に蔓延ればどうなるか? 人々は自らの手で命を奪い合うようになり、いずれ世界は混沌へと落ちるだろう。故にそれを制したのは秘密結社であった。秘密結社は、まずこれを秘密裏に売り捌き、裏世界の権力者たちに根回しを行った。そして、表向きには「死の抽出」の概念は葬られ、新たな法の下に管理された。
「死の抽出」の法は、大きく3つの要素からなる。
・製造方法、流通経路は秘匿とすること。
・生成方法は、厳重な監視の下、国家の承認を受けてのみ行うものとすること。
・生成物は、国家の管理下においてのみ流通させることとする。
これらの条件の下で、結社はこれを「神の御業」と称し、大々的に売り出した。結果として、裏社会のみならず表社会においても多くの死者が出た。
それでも、

すみれ

秤にかけられたのは、当然のことながら命だった。
死をもたらす薬は安価に手に入るようになった。それを手にした人々は思う。
これで不老長寿の夢は叶うのか? だが、答えは否だ。確かに身体機能は向上するが、それだけに過ぎない。人の心までは変わらない。
人は歳をとる。いずれ衰え、死ぬ。その事実からは逃れられないのだ。
そしてなにより、その思想の根幹を成すのは、人類の永遠性への渇望なのだ。それを体現する為に、彼らはこう名付けた。
死ねる薬、と。
「お兄ちゃん!」
俺は声に反応して振り向く。そこには妹の結衣の姿があった

すみれ

2つの重さが天秤に乗せられていた。片方は「死の恐怖」もう片方は「命の価値」だ。
命とは有限なものだ。何時かは必ず死ぬし、老いさらばえてもいずれ朽ち果てる。それを怖れぬ者は居ないだろう。だから人々は、死を恐れずにはいられない。だが同時に、人は死から逃れる術を探し求めてしまう生き物でもある。
この二つの感情の間で揺れ動く者達の中で、死の恐怖を克服した者が居る。彼は自らの手で死の恐怖を打ち破った訳ではなかった。彼の手は人の血に染まっていた。

すみれ

アスクレピオスの杖「おーい! こっちだ!」
俺の名前は佐藤真。今年の春に高校を卒業し、地元の大学に通うことになった大学生。
今日はその大学の入学式がある日。俺は地元から遠く離れた場所で一人暮らしを始めたため、友達がいない状態で入学式の会場に向かった。そこで出会ったのが……
「おう、待ったか?」
「いいや? それよりお前が遅刻しないなんて珍しいな。雨でも降るんじゃないか?」
「失礼な奴め。俺

すみれ

月蛇教と呼ばれる宗教がある。その教祖であるルナ・エンプレスの願いにより、その教団は月に本拠地を置いている。月には地球からの観光客が訪れるものの、その多くは信者ではなく観光目的の一般人だ。そしてその観光客の多くが、月に隠された秘密を知ることもなく、ただ月での観光を楽しむのみだ。そんな観光客の中で、一際目立つ人物がいる。名は東雲霞といい、齢16にして、月における有数の資産家となった人物である。彼女の家は代々続く旧家であり、資産運用に長けていることもあり、若くして富豪の仲間入りを果たした。そんな彼女が月に来た理由は一つ。彼女にはどうしても叶えたい夢があったからだ。
月に来てから10日ほど経った頃だったろうか? 私はとある店の前に立っていた。看板にはこう書かれていた。『占い屋』と。
私は昔からよく当たる占い師の噂を聞いて、ここを訪れたのであった。
「あのー、すいません……」
私がそう言うと、店の奥から1人の女性が現れた。
「はい、いらっしゃいまし。ようこそお越しくださいました。どうぞこちらへ」
私は言われるままに椅子へと座った。
「今日はどのようなご相談でしょうか?」
「えっとですね、私の将来のことを占っていただきたくて……」
「かしこまりました。それでは早速始めさせて頂

すみれ

テーミス社による「永遠の命」のキャッチコピーに惹かれた裏社会に
人の心を動かすことは容易ではない。だからこそ、その夢物語は人々の心を魅了して止まなかった かくして、世界は二つに分かれた 表社会と裏社会の闘争は熾烈を極めている だが、そんな世界に抗う者たちがいることを人々は知らない これは、死をめぐる戦いの物語である ◆P.M.3:00/ 第一階層・第一層居住区
「……なんだこれ?」
俺こと御手洗清司は、自室で目を覚ました途端、目の前に広がる光景に呆然としていた。見慣れたはずの部屋は、

すみれ

正義の女神は顔を見ない悪徳の街には似合わない だが、その力を以てしてでも、人の悪意は消えなかった 死を恐れず、正義の名の下に殺し続ける殺人鬼たちは、自らの行いを顧みることなく今日もどこかで人を殺める そんな彼らに、人々は恐怖と嫌悪の目を向ける 女神は見ていない 人々の心の奥底に潜む醜い感情になど興味はない ただただ、人々を守るべく刃を振るう 罪なき命を守るために
「おぉ……! こいつぁスゲェ!!」
目の前に広がる光景を見て、思わず声が出た。
俺の名前は東雲拓海。どこにでもいる普通の高校二年生だ。
そして今いる場所は、自宅マンションの自室――ではなく、近所のゲームセンター。
なぜこんなところにいるのかと言えば、理由は簡単。
新作VRMMORPGのテストプレイに応募したら、見事に当選したからだ。
「『Realize』ってタイトルだったよな? どんなゲームなんだろ?」
俺はウキウキしながらヘッドギアを装着し、ベッドの上に横になった。
そうして起動スイッチを入れると、意識が徐々に薄れていき、視界が完全にブラックアウトする。
次に目を開けた時、そこは見知らぬ場所であった。
「おおっ!? ここがゲームの中か!」
周りを見回すと、中世ヨーロッパ風の街並みが広がっている。
行き交っている人達も西洋風の衣装を着ていた。どうやら本当に異世界に来たらしい。
「なんか凄いな。まるで本物のようだぞ」
自分の体を見下ろすと、こちらも普段着ている制服ではなく

すみれ

平等ではない、不平等な世界に そんな世界で、それでも生きる少年の物語。
プロローグ ~紅蓮の月~
1章 ~漆黒の太陽~
2章 ~紫電の月~
3章 ~白銀の月~
4章 ~流星群の夜~
5章 ~終焉の日~
6章 ~輪廻転生の夜~
7章 ~黄昏の月~
8章 ~夜明け前の朝~
9章 ~黎明の昼~
10章 ~永遠の夜の夢~
11章 ~永遠の朝の夢の続き~
12章 ~終わらない夕暮れの果てに~
13章 ~始まりの終わり~
14章 ~終わりの始まり~
15章 ~黄昏時の逢瀬~
16章 ~永遠の彼方の明日~
17章 ~永遠の彼方の過去~

すみれ

重さを棄て、空虚となった身体に、新たな重さを与えるために 死を克服しようとする裏社会に 死を克服せんとする試みの歴史は長い。例えば古くは古代ギリシャにおける「ヒドラの軟膏」が挙げられるだろう。これは不老長寿をもたらす薬とされ、また同時に、肉体の腐敗を抑える効果を持つともされた。つまり、腐らぬようにするための薬だ。その実、服用することで体内の水分を奪われミイラ化していくのだという事実を知る者はいない。
そして今、20世紀中盤、アメリカの研究者たちによって死の抽出の技術が確立されようとしていた。「死神の鎌」と名付けられたそれは、あらゆる物質を切り刻むことができる刃を持ちながら、使用者の命を奪うことはないとされる。ただし、切り刻まれた部位の再生は不可能となり、人体の完全破壊を意味するため、使用の際には細心の注意が求められる。
アメリカは、死の抽出の研究を進めていた。そして、その成果の一つがついに完成しようとしていた。
「成功すれば、人類の命運を握る一手となるでしょうなあ」
白衣に身を包んだ壮年の男が言う。彼の名はウィリアム・レミントン。アメリカの国家プロジェクトに関わる研究員の一人である。
「ああ……だが、まだ実験段階であることに変わりはない。万全を期すなら、それなりの設備が必要だ」

すみれ

公平と名の付くものはそう多くない。
例えば、殺人鬼と名高き犯罪者が死刑を免れることなどあり得まいし、また仮に免れたとしても、それならばなぜ殺人を犯したのか、動機はどうなのかと問われるだろう。
そんなわけだから、私が今こうして、自分の犯した罪について裁かれる日を迎えることは、当然といえば当然なのだけれど……それでもやはり、怖かった。
私は確かに、人の命を奪ったのだ。しかも何の理由もなく。いや、正確にはあったのかもしれないけど、少なくとも

すみれ

富も幸福も分け与えず、ただ死にゆくだけの人々に安らぎを与える裏社会の世界に そして、彼らにとって都合の悪い存在となりつつある、警察組織に追われる者達にとっても……
さあ、物語を始めようか 君達の人生とはまるで関係のない、くだらぬ話だ。退屈しのぎに聞いてくれれば良い 私の名前はリリィ・ハーロット。見ての通り女だ。歳は21。元刑事だが今は違う。

すみれ

守銭奴たちの裏稼業として蔓延るようになった その二つの影がある限り、世界の裏側は常に光に照らされることだろう。これは、そんな世界の片隅で起きた物語だ。
「あーもう!何回同じこと言わせんだよ!」
苛立ちながらキーボードを叩きつける男がいる。彼は、PCに向かって文句を言うなど頭がおかしいのではないかと思われるかもしれないが、そうではない。彼の部屋には誰もいないからだ。
「俺は悪くねぇよなぁ!?どう考えても

すみれ

アストライアー・オンラインとは、2041年にサービスが開始されたVRMMORPGだ。当時にしては珍しく3Dモデリングを採用したゲームだったが、発売と同時にサーバーダウンが発生し、一時運営停止に追い込まれる大事件となった。原因は、ゲーム開始直後、プレイヤー全員が同時に死んだことによるものとされているが、真相は不明のままである。この事件は、当時のゲーマーの間では伝説となっている。
サービス開始から約10年後、開発元のアストライア社は新たな試みを行った。ゲーム内におけるNPC人口知能の開発である。AI搭載により、従来よりも自然な受け答えが可能となったこのゲームにおいて、プレイヤーはさらなる刺激を求めた。その結果生まれたのが、通称『NPシステム』である。
NPSと略されるこのシステムは、従来のNPシステムのようにNPCの行動パターンを決定するものではなく、プレイヤーの行動に応じて変化するシステムである。これにより、プレイヤー1人1人の好みに合わせたNPCによる対応が可能となり、また、NPC同士の交流も活発になった。NPシステムが実装されてから、アストライアー・オンラインの人気はさらに高まることとなる。
それからさらに5年後の2051年、アストライア社はある発表をした。それこそが、今私たちがプレイしようとしているゲームの正式タイトル、『Astraia Online Ver.1.000』である。
正式タイトルは『アストライア・オンライン ver.1.001』となっており、ver.0.00と表記されたバージョンが存在することから、βテスト版が存在していたことが分かる。公式HPにも情報は一切なく、存在を知る者は極僅かであった。
そして、今日はそのベータ版のサービス終了日でもある。私――七瀬唯斗はこの日にログインしようと決めていた。何故なら、ベータ版で知り合った友人がいるからである。
彼はとてもフレンドリーな人で、私はすぐに仲良くなった。一緒に狩りをしたりクエストをこなしたりして、充実した時間を過ごしたものだ。彼と会えると思うとワクワクするし、何より楽しみだった。
いよいよその時が来た。ベッドに寝転がり、ヘッドギアを被る。視界は暗くなり、意識が遠くなっていく。
次に目を覚ましたとき、目の前

すみれ

アストライアー・グループと呼ばれる組織がある。表向きは製薬会社であるが、その実態は世界の均衡を保つことを目的とした秘密組織である。構成員は全て男性のみで構成されている。構成員は皆、コードネームを名乗ることを許されており、幹部クラスともなれば本名を知る者はごく僅かしかいない。彼らの仕事は主に3つあり、1つは要人警護などの護衛任務。もう1つが犯罪者の追跡調査、及び捕縛任務。最後の1つが世界のバランスを守ることである。これは、そんな彼らに関する物語である。
「今日こそ奴を捕まえてやる!」
薄暗い路地裏の中、男は叫ぶように言った。彼は今、とても焦っている様子だ。それも無理はない。なんせ彼が追っていた男とは、世界を揺るがすほどの大悪党なのだから。彼の名前は『アメリア』。通称、黒猫。黒いマントに身を包み、常に仮面を被っているため素顔を見た

すみれ

無に帰すことを厭う裏社会に そして、そのどちらにも属さぬ者たちの間でも かくして、2045年現在、人類は3つの勢力に分かれている。一つは表社会における不死を望む人々。もう一つは、不死を望まぬ人々。最後の一つはそのどちらでもない人々だ。
これは、そんな世界の片隅で繰り広げられる物語である
「おい!早く来い!」

すみれ

色気が強く出る裏社会に どちらにせよ、この物語はそんな時代の話だ。
俺は今、ベッドの上に寝転んでスマホをいじっている。俺の名前は『山田太郎』。どこにでもいるような平凡な高校生だ。
いや……だったと言うべきだろうな。今はもう違うんだから。
何故なら今の俺は───
「よっしゃー! 今日こそ魔王を倒してやるぜ!」
そう、勇者なのだ。
俺は勢いよく立ち上がると、部屋を出て階段をかけ

すみれ

魅力されざる裏社会の手に そして、今、世界は、新たな局面を迎えようとしていた。——————
「うっ……くそったれ!」
「どうした? まだ寝てる時間だぞ?」
俺は目を覚ますなり悪態をつく。
俺の名は 藤宮雄二。ここ、私立御剣学園に通う高校一年生だ。
今日は日曜日だが、平日と同じ時間に起きてしまったようだ。
理由は簡単、昨日遅くまでゲームをしていたからだ。
「ああ、悪い。ちょっと変な夢を見てな」
「ふーん、どんな夢なんだ?」
こいつは幼馴染みの 柳瀬涼香。
長い黒髪に整った容姿を持つ、一見すると大人しそうな女性だった。彼女の名は、ルリ・シュナイゼルと言った。
シュナイゼルは、自身の所属する組織からの任務を果たすべく、その日、一人で街の外に出ていた。任務の内容は、最近この街にやってきた「アーベル」という人物の調査だ。
アーベルと言えば、ここ数年で頭角を表し始めた人物だ。彼は元いた場所では有名な殺人鬼だったという。そんな彼がなぜわざわざこの街に来たのか……? ルリはそれを調査するために派遣された。
「うーん、どこにいるんだろう?」
ルリはキョロキョロしながら呟く。まだ若い彼女がどうしてこんな危険な仕事を任されているかと言うと、理由は単純明快。彼女の持つ能力のためだ。
ルリの持つ能力は「未来予知」。先見の能力とも呼ばれるそれは、非常に珍しい力であり、また、

すみれ

成長の余地がない
と断じられ、裏社会へと流れ込んだ結果だった。だがそんなものに目を向ける物好きがいるはずもなく、その開発は停滞していた。しかしある時、偶然にもその一端に触れる機会を得た男がいた。名をゲオルグ・レビンと言う。彼は研究者ではないものの、彼の率いる開発チームはそうであった。故に、彼はそれを知ったとき驚愕し、同時に歓喜した。これを解明すれば、人類の更なる進化に繋がるかもしれないと。
それからの彼の行動は早かった。すぐに仲間を集め、実験を行った。
その結果は成功と言えるものだった。ただし、死を呼ぶ毒素を抽出するための工程において、多くの死者が出たことを除けばの話ではあるが。
こうして、タナトシアムと名付けられた薬品が開発された。
これはそんな時代の物語だ ガレノスの学説について ガレノスとは17世紀の科学者です。彼の思想は当時としてはかなり先進的なものでしたが、彼の死後1000年以上が経過しても異端扱いされています。彼の唱えた学説の要点は、以下の二点でした。
1生命は血流に乗って体内を巡り、肉体の全てはその循環の中に生きる 2人体を巡る精気が人の命を支える 3精気の流れこそが魂の存在を証明する これらの主張に対し、当時の人々は様々な反応を示しました。例えば、1については身体を流れるのは血液であり、また心臓の働きによるものだろうと主張したり、あるいは2に関してはそもそも魂などというものは存在しないと主張しました。そして3に至っては、精気などと曖昧なものを信じる前にまずは科学で証明すべきだと言う者もいました。
このように多くの人々の反応があった一方で、ガレノスの提唱した理論は20世紀になっても支持を受け続けていました。それどころか、21世紀に入ろうかという頃には、ガレノスの理論は世界に広く浸透し、多くの研究者がその証明を試みていたのです。
では何故ここまで長い間、ガレノスの説は否定されてきたのか? それは彼が死後2000年近く経った今に至るまで、全く

すみれ

蛇が笑う
ように裏社会に そうして時は流れ、2035年。
一人の青年が、世界を変える。

すみれ

戻りたい世界は此処じゃないと言い訳をして その裏で、非人道的な実験を繰り返す研究者たちによって、人の手では成し得ない「死者蘇生」の研究が行われていた。
そうして、ある日、禁忌に触れる者たちの前に、一人の男が現れる。
男は自らを「博士」と名乗り、己の研究をこう称した
「私は世界の真理を解き明かしに来た」
―――『屍の王』
第一章 プロローグ
「お兄ちゃん!起きてよ!!」
誰かの声が聞こえる……
俺は重い瞼を開きながら身体を起こした。
目の前にいる女の子が俺を起こしてくれたようだ。
「もうっ!!早く準備しないと遅刻だよ!」
まだ眠気が抜けずボーッとする頭のまま時計を見ると時刻は既に8時30分を過ぎていた。
「え?!ヤバ

この世界で根付く意識もなく

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