テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
iblr 不穏気味
公式とは一切関係ありません ご理解のうえ、ご閲覧ください
lr
もうこれ以上は眠れないと言われるように 俺は眠りから覚めた
一体どれだけ眠っていたのだろうか
照明が付いておらず辺りは真っ暗だ
周りを見渡してみると、 俺を縛っていたであろう拘束具は全て解かれ、 膝下にはいぶがいた
lr
いぶが助けてくれたんだった
初めて助けてもらった
でも、きっと引かれただろうな
パニクってたし 拘束外す時に傷も痣も見られただろうし。
lr
そう思えるくらい、 なぜか今の俺はいつもより虚無感が強かった
そして、だからこそなのか
lr
死がいつもより軽かった。
ーーーーーーーーーー
ヒュォォォォ
強い風が弱い身体を刺激する
前々から死については人より考える方だった
希望も、幸せも、助けも
何もないこんな人生の中で生かされる俺は
死が救済だった
死ねば全部解決。死ねばこの地獄から逃げられる。
俺は、死ぬことを目標として生きるようになった
何度も死のうとしたし、何度も自分を苦しめた
ただ、知識のない俺は死にきれないことが 何度もあった
その度に散々な思いをして、 その度に、異質な方法で怒られた
また死ねなかった、って。
でも、今回は大丈夫そう。
ここは総合病院の屋上
階層が10もあるこの屋上で助かる確率は低いだろう
lr
何回も自殺未遂をしているが その度に不確実な死に緊張していた
だか、今回は死ねる確率が高いため 嬉しくて緊張しているのだろう
これから、やっと死ねるのかと心が躍っている
ワクワクした気持ちでフェンスを越える
それなのに。
ib
lr
邪魔すんなよ
もう、楽にさせてよ。
ーーーーーーーーーー
[数日前]
lr
一体いつからが始まりだったんだろうか
もう随分と長く一人だ
怒りの矛先を俺に向けてくる父。
表向きを気にして思い通りにならないと ヒステリックになる母。
変わらない日常、終わらない地獄。
寂しい、悲しい、愛されたい
最初のうちはそんな事ばかり考えていた
でも、もう誰も助けてくれないと知った後には
ただただ自分の中の感情が なくなっていくだけだった
俺の記憶で楽しかったことは少ししかなくて、 それすらも忘れてしまって。
残ったのは苦しい記憶、悲しい記憶ばかり
俺がやりたいことはなんでも封じて。
俺が嬉しいと思ったことすらも全部奪って。
どれだけ待っても、待ち続けても。
それを返してはもらえなかった。
何年も待ったのに。 いつかは返してもらえるって、変わってくれるって、 そう思ってたのに。
あいつらが俺にくれた唯一のものは 暴力による痛みと抵抗できない身体だった
……俺が望んでいたものとは随分と違う代物だ。
そうやって無理やり期待させた俺の身体は やがて限界の声をあげた。
身体はみるみるうちに痩せていって、 表情も動かなくなった。
思考もあまり働かず、なにがしたいのか、 なにが欲しかったのかも思い出せなくなった。
あれだけ手に入れたかったものが 今ではどうでもよく感じる。
きっと俺は元々手にできない子なんだと、 諦めがついた。
もう何もいらない。もうなにも期待しない。
というより、何も考えれない。
怒りも、悔しさも、もうちゃんと機能しなくなって
あいつらに
思考すらも、奪われた。
………でも
そんなとき、いぶが現れた
いぶの存在は、いい意味でも悪い意味でも 俺に影響を与えた
家族円満、成績優秀、スポーツ万能
どれも俺に無いものばかり持っていた
どこかに連れて行ってもらったり 習い事をさせてもらったり
俺の知らない幸せを いぶはいくつも持っていた
だからなのか、いぶは俺に少しの希望も与えた
親のせいで人が近づくだけで何かされる、 逃げなきゃ、とパニックになってばかりいた俺に
人と話す楽しさ、笑い合う楽しさ、 知らないことを知る楽しさを教えてくれた
そして同時に
家庭によって歪みまくった愛情の発現も。
話していないといぶが他の所に行ってしまう
なんとか注意を引かなきゃ
そんな気持ちでいっぱいだった
やがてそんな楽しささえも 俺には眩しすぎて
苦痛に変換されていった
こんな不安定な感情、気持ちが悪いと思う
早くいぶから離れなきゃ
吐き気のするこの感情がいぶに触れないように
いぶと会う度に。 いぶと話す度に。
いぶとの差を感じた
握られた手が温かくて、 どうしようもなく胸が苦しくなった
ーーーーーーーーーー
10階から落ちた場合は、生き残っても 重い後遺症が残るケースがほとんどらしいですね
コメント
1件
ああ、もう…胸がぎゅっとなりました。ろれの「今から死ぬし。」って、あんなに軽く言えるのが逆に重くて。それまでの絶望の積み重ねがひしひしと伝わってきました。いぶに助けられたのに、その温かさがかえって苦しさを強くしてしまう描写が切なすぎます。次回、どうなってしまうんだろう…続きが気になって仕方ないです。