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『この感情、任務に必要ですか?』
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報告書の文字を見て、僕は息を吐いた。
神谷。 情報収集のスペシャリストで、顔も悪くない。 女慣れしてて、えとさんのああいうタイプにグイグイ行くの、得意なんだろうな。
いや。別に、気にすることじゃない。 ーー任務なんだから。
神谷
レストランの隅。 神谷が、笑いながらえとさんの手を取るのが見えた。 えとさんは、いつもの軽い口調で笑ってる。
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それを見て、僕はそっとグラスの水を飲んだ。 心の中に、どうしようもないもや広がる。
任務なのに。 任務、なのに。
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たまには、からかいの言葉も出てこない。
数日後、組織の共有スペース。 えとがやってきて、僕の視線をじっと見ていった。
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目を細めたえとの顔が、なんかこう……不思議といつもより近く感じた。
その夜。 廊下で、ふとえとさんとすれ違った。 彼女はぴたりと足を止めて、にやっと笑う。
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一瞬、言葉が詰まった。 でも、僕は笑って返す。
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えとさんは唇を尖らせたあと、ちょっとだけ笑って、 背を向けて歩き出す。
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……今の、どういう意味?
気になって、でも聞けなくて、僕はその背中を、いつまでも見送っていた。
『任務のくせに、うまく笑いすぎ。』
「任務内容変更。今夜の潜入は、なおきりと佐伯で対応してくれ」
部長のそのひとことで、えとの表情がーーぴくっと動いたのを、僕は見逃さなかった。 えとは、言葉を飲み込むみたいに無言で椅子に座り直す。
……へぇ。 珍しく、ツッコんでこない。
夜。
指定のホテルラウンジ。 僕の隣で腕を組む佐伯(さえき)は、情報部きっての美人スパイだ。
佐伯
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仕方なく距離を詰めると、少し後ろの席に視線を感じた。
えとさんが、敵の監視役として別席に座っている。 ワイングラスを片手にしながらも、目は鋭く、こちらを睨んでいた。
……いや、睨んでる?
佐伯
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佐伯
佐伯が冗談めかして笑うと、またえとさんの視線がぐぐっと強くなる。
ああ、これは。 完全に……むくれてるな。
任務終了後、帰り道。 えとさんは黙って歩いていた。 気まずくなった僕が口を開く前に、彼女が足を止めた。
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彼女は少し顔を背けたまま、ぽつりと呟いた。
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僕は言葉に詰まってしまう。 けど、無言でいるのも違うと思った。
だから、少し意地悪な言い方で返す。
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えとは目を見開いたあと、すぐにそっぽを向いて、ごまかすように歩き出した。
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その耳が、少しだけ赤かったのはーー たぶん、気のせいじゃない。
コメント
5件
ぎゃぁぁぁあ ! !(?) no兄さん イケメンすぎぃい ! ! ヤキモチやいてるno兄も良い、、 最高 ー ! ! 続き楽しみにしてます!!