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《スパイは恋に落ちるか?》

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《スパイは恋に落ちるか?》

7 - 第7話 この感情、任務に必要ですか?

♥

622

2025年08月07日

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『この感情、任務に必要ですか?』

🌷

……今度の任務、えとさんは神谷とペアか

報告書の文字を見て、僕は息を吐いた。

神谷。 情報収集のスペシャリストで、顔も悪くない。 女慣れしてて、えとさんのああいうタイプにグイグイ行くの、得意なんだろうな。

いや。別に、気にすることじゃない。 ーー任務なんだから。

神谷

手ぇ、もっとこう、絡めてみよっか?

レストランの隅。 神谷が、笑いながらえとさんの手を取るのが見えた。 えとさんは、いつもの軽い口調で笑ってる。

🍫

もうちょい自然にやってよ~。バレバレじゃん

それを見て、僕はそっとグラスの水を飲んだ。 心の中に、どうしようもないもや広がる。

任務なのに。 任務、なのに。

🌷

……

たまには、からかいの言葉も出てこない。

数日後、組織の共有スペース。 えとがやってきて、僕の視線をじっと見ていった。

🍫

なんかさ。あの日から、ずーっと睨まれてる気がするんだけど?

🌷

別に。任務に集中してただけだよ

🍫

ふーん?

目を細めたえとの顔が、なんかこう……不思議といつもより近く感じた。

その夜。 廊下で、ふとえとさんとすれ違った。  彼女はぴたりと足を止めて、にやっと笑う。

🍫

ねぇ、なおきりさん

🌷

ん?

🍫

もしかして……ちょっとだけ、ヤキモチとか妬いた?

一瞬、言葉が詰まった。 でも、僕は笑って返す。

🌷

そんなわけないでしょ。僕がそんなことで動揺すると思う?

えとさんは唇を尖らせたあと、ちょっとだけ笑って、 背を向けて歩き出す。

🍫

そっかぁ~。残念

……今の、どういう意味?

気になって、でも聞けなくて、僕はその背中を、いつまでも見送っていた。

『任務のくせに、うまく笑いすぎ。』

「任務内容変更。今夜の潜入は、なおきりと佐伯で対応してくれ」

部長のそのひとことで、えとの表情がーーぴくっと動いたのを、僕は見逃さなかった。 えとは、言葉を飲み込むみたいに無言で椅子に座り直す。

……へぇ。 珍しく、ツッコんでこない。

夜。

指定のホテルラウンジ。 僕の隣で腕を組む佐伯(さえき)は、情報部きっての美人スパイだ。

佐伯

なおきり君、もう少し寄って。恋人らしくね?

🌷

……はいはい

仕方なく距離を詰めると、少し後ろの席に視線を感じた。

えとさんが、敵の監視役として別席に座っている。 ワイングラスを片手にしながらも、目は鋭く、こちらを睨んでいた。

……いや、睨んでる?

佐伯

なおきり君、笑って。ほら、見られてるよ?

🌷

……僕の笑顔、そんなにレアかな

佐伯

ううん。任務じゃなきゃ、もっとドキッとしてたかも

佐伯が冗談めかして笑うと、またえとさんの視線がぐぐっと強くなる。

ああ、これは。 完全に……むくれてるな。

任務終了後、帰り道。 えとさんは黙って歩いていた。 気まずくなった僕が口を開く前に、彼女が足を止めた。

🍫

ねぇ

🌷

ん?

🍫

さっきの……その、佐伯さんとのやつ。あれ、必要?

🌷

必要って?任務だよ

🍫

分かってるよ。それくらい……でもさ

彼女は少し顔を背けたまま、ぽつりと呟いた。

🍫

笑い……すぎじゃん

🌷

……

🍫

あんな顔、私には見せたことないくせに

僕は言葉に詰まってしまう。 けど、無言でいるのも違うと思った。

だから、少し意地悪な言い方で返す。

🌷

じゃあ、今度見せようか?

🍫

……は?

🌷

僕の“特別な笑顔”。君にだけね

えとは目を見開いたあと、すぐにそっぽを向いて、ごまかすように歩き出した。

🍫

バーカ……

その耳が、少しだけ赤かったのはーー たぶん、気のせいじゃない。

《スパイは恋に落ちるか?》

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コメント

5

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ぎゃぁぁぁあ ! !(?) no兄さん イケメンすぎぃい ! ! ヤキモチやいてるno兄も良い、、 最高 ー ! ! 続き楽しみにしてます!!

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