あはは……っ
渚紗 ナギサ
毎日のように増えていくこの傷は僕にとって
「独りぼっち」の証
だから
誰も止めてはくれない
ずっと_そう思っていた筈だったのに
シオリ
渚紗 ナギサ
キミが 見てしまったから
渚紗 ナギサ
シオリ
シオリ
キミはいつもクラスの中心で楽しそうに笑ってた
渚紗 ナギサ
" ボク " とは違う
『 独りぼっちじゃない 』
そんなキミが…ボクは
渚紗 ナギサ
青空という果てしないキャンパス
手を伸ばせば、届きそうなんだ
でも届きやしない
見てくれはしない
渚紗 ナギサ
" ボク "だって必死に生きてる
なのに
なんで!
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
夕焼けは [ 紅い絵の具 ] に似ている
だから嫌いじゃない
毎日のように増えていくこの傷は
ボクが、生きている証
ボクが____だと感じた数々
腕にカッタ―の刃を当てた時
後ろから視線を感じた
渚紗 ナギサ
そこには…
シオリ
明るくて
人懐っこくて
表情筋が柔らかくて
いつもクラスの中心にいる
シオリさんが居た
あ―あ
もういいや
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
シオリさんは顔を真っ青にして、震えていた
でも
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
シオリ
忙しなく帰っていく後ろ姿をボクは暫く眺めていた
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
そんな言葉を口に出しても
返してくれる人はもう居ない
朝 目覚めても
渚紗 ナギサ
返してくれる人はもう居ない
でも
シオリ
シオリ
なんでキミは
そんなに明るいんだ?
渚紗 ナギサ
シオリ
忙しない足音
ざわざわと聞こえる "雑音" 達よりもはっきりと
すっと優しく耳に入ってくる
シオリ
渚紗 ナギサ
あんな所を見てしまったのに
なんでそんなに明るく接してくれるんだろう
―――――――――――――――――――――――――
8月 29日
前よりも 月日が流れるスピードが早くなった気がした
気の所為だろうか?
だとしても、あの証をつけなくても
胸が軽くなった気がする
―――――――――――――――――――――――――
自然に………
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
シオリ
渚紗 ナギサ
前よりもこの世界で息をするのが楽になった
生きやすくなった
渚紗 ナギサ
夕陽を眺めていた
静かに灯るこの世界の蝋燭の炎のような夕陽を
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
シオリさんは軽く微笑んでから
言いづらそうに、少し間を置いて口を開いた
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
その言葉を聞いた時、思わず驚きの声をもらしてしまった
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
僕は思いのあまり、渚紗くんに抱きついた
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
シオリ
僕の声が辺りに響き渡った
渚紗 ナギサ
シオリ
シオリ
渚紗くんの横顔が夕陽の光によって照らされてる
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
シオリ
シオリ
シオリ
溜め込んでいた思いがどんどん溢れ出す
どんどん溢れだして
もう止まらない
シオリ
シオリ
シオリ
シオリ
シオリ
シオリ
この時の僕はきっと酷い顔をしていただろう
涙と鼻水で、ぐちゃぐちゃになっていただろう
だけど___きみは
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
僕の目元をハンカチで拭いてくれたし
優しく微笑みかけてくれた_その姿はとても美しかったんだ
渚紗 ナギサ
そうやって、ちょっぴり寂しそうに笑うきみの姿は
心の底に隠れていた本心が混じっていた
渚紗と、心が通じた日
それからというもの
時間の流れは早かった
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
シオリ
渚紗 ナギサ
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
気づけば
卒業式を終えていた
渚紗 ナギサ
シオリ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
気まずい沈黙はやはり、今でも苦手だ
どうにも好きにはなれない
シオリ
僕達は、互いの夢を叶える為に違う高校に行く事を選択した
つまり
渚紗との楽しい時間もこれで終わってしまう
シオリ
改めて振り返ってみると
渚紗と友達になりたいと思い始めたのは 中学三年の夏からだった
最初に屋上で目撃した時の渚紗は
言葉では表しようのない闇を抱えていた
目に光は映っていなかったし
渚紗の綺麗な紫色の瞳も濁っていた
腕には、渚紗が抱えていた闇の重さが伝わってくる
無数の赤い線が描かれており
地面にも赤色の水溜まりを作っていた
その光景を目撃した僕は息を呑み
逃げるかのようにその場を去ってしまった
でも
冷静な頭で考えると
あの時期の渚紗は 両親が交通事故で亡くなっており
そうなるのも仕方がないと納得してしまっていた
でも
それでもやっぱり
シオリ
渚紗 ナギサ
やっぱり
シオリ
渚紗 ナギサ
その時 渚紗の瞳から涙がぶわっと溢れだした
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
渚紗 ナギサ
シオリ
お互い 色々困難な事はあるかもしれない
でも
それを乗り越えていくことができるから
人は強くなれるのかもしれない
雨の日も
風の日も
何があってもきっと
大丈夫な筈だから
コメント
2件
リクエストを下さった方へ ⇣