テスト前の放課後。
私たちはまた図書室にいた。
もう、何度目だろう。
こうして"ふたりきり"になるのは。
緑は教科書をめくりながら、ふとこっちを見た。
緑 。
橙 。
橙 。
緑 。
緑 。
"尊敬"__
それは、私が欲しかった言葉じゃない。
橙 。
思わず口を開いた。
橙 。
緑 。
橙 。
一瞬、沈黙が落ちた。
自分でも何を言ってるのかわからなくて、息が苦しくなった。
緑 。
緑の声は、静かだった。
問い詰めるでも、笑うでもなく、ただ_真っすぐだった。
橙 。
私は視線を逸らして、本のページをめくるふりをした。
心臓の音がうるさい。
あと少しで、伝えてしまうところだった。
でも伝えてしまったら、きっと彼は困る。
今の関係を守りたいなら、何も言わないことが一番安全だ。
緑 。
橙 。
緑 。
橙 。
緑 。
緑 。
見てたんだ。
私のこと、ちゃんと。
緑 。
緑 。
その言葉に、なぜか涙が出そうになった。
優しすぎる。
でも、それは私が求めてる"好き"の答えじゃない。
それでも、緑の言葉はいつだって、私の一番深いところに響いてしまう。
伝えたい。伝えたいのに、怖い。
この気持ちに名前をつけた今、私はもう、元には戻れない。
コメント
1件
おッもう伝えそうじゃんッッ 橙彡の気持ちに気づいたげて‥緑彡