さとみ
…ころん。

さとみ
お前、さっきコンビニで店員からお釣り受け取る時、指触れただろ

ころん
触れてないわ! 0.5ミリは空いてたわ! 潔癖症の極みかよ!

仕事帰りの夜道。さとみはころんの数センチ後ろを、まるで背後霊のような執着心でぴたりとついて歩いていた。
さとみ
ダメだ。あの店員の視線、お前のこと『可愛いな』って思ってた。

さとみ
今すぐ戻ってあのコンビニ買い占めて、ころんを出入り禁止にする

ころん
経済力の無駄すぎるだろ! どんだけおにぎり買う気だよ!

ころんが呆れて溜息をつくと、さとみは不意に立ち止まり、懐から「シュッ」と何かを取り出した。
ころん
…何それ。消臭スプレー?

さとみ
違う。『俺の匂い成分100%配合特製ミスト』だ。

さとみ
これを今からお前に浴びせる。これで半径3メートル以内に近づく奴は、全員俺の匂いに圧倒されて戦意喪失するはずだ

ころん
それただのさとみくんの匂いしかしない変態ミストじゃん! かけるな! 窒息するわ!

逃げるころんを追いかけながら、さとみはさらに「重い」提案を繰り出した。
さとみ
じゃあ、これならどうだ?

さとみ
ころんの服のボタンを全部、俺の録音ボイス付きボタンに変える。

さとみ
『触るな』『俺のころんだ』『あっち行け』って、お前に誰かが触れるたびに俺が叫ぶ仕様……、

ころん
防犯ブザーかよ!! 恥ずかしくて外歩けないだろ!

ついにころんは足を止め、ハァハァと肩で息をしながらさとみを指差した
ころん
さとみくん、いい加減にして! そんなに僕が心配なら、いっそのこと僕をポケットにでも入れて持ち歩けばいいじゃん!

さとみ
…え、いいの?

ころん
比喩だよ!! 真に受けるな!

さとみはパァッと顔を輝かせ、真剣な表情で自分のパーカーのポケットのサイズを確認し始めた。
さとみ
明日までに特注で、ころんが入るサイズのカンガルーポケット付きパーカー作るわ

ころん
……さとみくん

さとみ
なに?

ころん
大好きだよ(棒読み)

さとみ
…ッ!!今の録音した!? もう一回言って!!

ころん
二度と言わねーよ! ほら、帰るぞストーカー!

結局、さとみの腕を引っ張って家まで連れて帰ってあげる、お人好しなころんなのでした。