ころん
…ねえ、さとみくん。これ何?

ころんがリビングの天井を指さすと、そこには見慣れない監視カメラ風の物体が設置されていた。
しかも、ころんが動くたびに「ウィィィン」と精密な動きで追従してくる。
さとみ
「ああ、それ? 『ころん見守りくん1号』。

さとみ
お前が家の中で転んだり、不審なジェル(※メンバー)が侵入したりしないか、俺のスマホで24時間4K画質で監視できるんだ。

さとみ
最新のAI搭載で、お前の笑顔を検知すると自動でスクリーンショットを撮って俺に転送する機能付き。

ころん
……今すぐ業者呼んで撤去していい?

ころんの抗議を「照れ」と脳内変換したさとみは、さらに自信満々に自作のデバイスを取り出した。
さとみ
それだけじゃないぞ。

さとみ
このスピーカー、『アレ◯サ』じゃなくて『サトミ』って呼ぶと反応するんだ。試しに呼んでみろよ。

ころん
…サトミ、今日の天気は?

サトミ
『今日の天気は、俺への愛の嵐だ』

サトミ
『っていうか、外に出る必要ねーだろ? 俺だけ見てろよ』

ころん
……ゴミ出しにも行けないんだけど

さとみの重すぎる愛は、ついに「家電」にまで浸食していた。
呆れるころんだったが、ふとキッチンの冷蔵庫に貼られた「さとみ専用・ころん接触禁止エリア」という謎の地図を見つけて、ついにキレた。
ころん
さとみくん!! 独占欲もここまで来るとただのホラーだよ!

ころん
そもそも、僕が他の人と喋るのがそんなに嫌なら、さとみくんが僕の代わりに全員と喋ればいいじゃん!

さとみ
え、いいのか? お前のフリして莉犬に『俺のことは忘れて、さとみくんだけを愛して生きていくよ』ってLINEしていいのか?

ころん
日本語のドッジボール下手くそかよ!! 誰がそんなこと言った!

ころんはガシガシと頭をかき、目の前で「どうやって莉犬をブロックするか」を真剣に悩み始めたさとみの頬を、両手でギュッと挟み込んだ。
ころん
いい? さとみくん。僕が好きなのは、こういうキモい機械じゃなくて、さとみくんなの! わかる!?

ころん
…あ、いや、今のは『好き』って意味じゃなくて……!

さとみ
今、『好き』って言った言ったな? AI、今の今の今の! 10回リピート再生しろ!!

サトミ
『承知した。』

サトミ
『「僕が好きなのは、さとみくんなの!」……「僕が好きなのは……」』

ころん
うわあああ!! 消せ!! 今すぐその電源を抜けぇぇ!!

真っ赤になって暴れるころんと、録音された音声を肴に白米が食えると豪語するさとみ。
二人の「愛の巣(仮)」は、今日も物理的にも精神的にも、さとみくんの愛という名の電力で過充電気味なのであった。