__et.
na__.
na__.
桃色の瞳をちらつかせるna先輩は
どこか落ち着きのない様子だった。
__et.
na__.
何か都合の悪いことでもあるのだろうか。
少し焦ったように断りを入れてから,寂しそうに俯く。
na__.
na__.
Sクラスの三年生はグラウンドが一番よく見える特別席に案内されていて
その影響で,私のことも覚えていてくれたのだろう。
na__.
__et.
なにか呟きが聞こえたので聞き返してみる。
na__.
na__.
あぁ,三年生にももちろんクラス替えがあるのか。
三年生のクラス替えは,一,二年とは少し異なっている。
三学年からの選択科目の展開に伴って
クラスも幅広く増設されるのだ。
__et.
na__.
くるりと私に背を向ける。
髪が風に靡いて,少し甘い香りがした。
__et.
__et.
na__.
二つ歳の離れた,私の妹。
…いや,性格には妹でもないけれど。
私は彼女のことが大嫌いだった。
私の欲しかった自由を全て持っていたから。
「naちゃんは,ちゃんと良い子にしててくれるよね?」
「あの子みたいに…なっちゃだめだからね」
na__.
お母さんとお父さんは,どこまでも完璧を求める人だった。
失敗したら怒られる。
失敗してはいけない。
私自身が完璧を求めたことは一度もない。
周りの期待に応えなければいけないというプレッシャーが
私を支配していた。
…「うッ……ぅ…」
そのくせ妹は,いつも部屋の隅でこっそりと泣いていた。
…「なんでお姉ちゃんばっかりッ…!」
どうやら妹は,私がただただ両親に愛されていると勘違いしているみたいだった。
na__.
妹の尻拭いはいつも私。
妹の分まで期待されているのは私。
誰にも見向きされずに生きることなんか
むしろ願望じゃないか。
私もあなたも,一生両親から愛されない。
そんな運命なんだ。
na__.
考えただけで頭が痛くなってくる。
本当に辛いのは私なのに…被害者ヅラばっかり。
さっきの試合だって,友達のためなんて言って 善人ぶって…
そういうところが嫌いなんだ。
自分は愛を得られなかったくせして
周りには無性の愛を分け与える。
でも……………。
na__.
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コメント
7件
🍪さん…なんか複雑ですね 愛されるって簡単じゃなかったのかな?今回も最高でした!
人それぞれ思う事は違いますよね、誰だって愛されることは望んでるけど愛してもらうためにはそれなりの努力が必要になると……、、こう思うと何もせず友達や家族に愛してもらえてる私はなんて幸せ者なんだろうと思えます笑