赤と青の兄弟

赤は人に、青は神に

そんな馬鹿げた風習

何の利益にもならない、この村の決まり事

それに僕らは囚われた

幼い頃、そう誓い合った

それは今でも変わらない

怒号が飛び交う

ある夜、僕らは逃げ出した

慌てふためく大人たちに中指を立てて村の外へ

青に手を取られて走る

産まれた時からそばにあった熱

失われてしまってはいけない

僕らの中は引き裂けない

人に食われる運命にあった片割れの赤

俺は神への貢物として殺される運命を背負った

そんなの馬鹿げていると思った

だから逃げ出した

キラキラとした目で見つめてくる赤にドキッとする

双子で同じ顔のはずなのに

自分の顔よりずっと輝いてみえる

もっと

もっと俺に頼って

俺がいなきゃ生きられない位に

俺は赤がいないと生きられないから

赤は絶対守って見せるから

誰にも渡さない

歪んでいようが、狂っていようが関係ない

この愛は消すつもりはない

青の気持ちは知っていた

そして、僕も同じ感情を青に抱いていた

青が愛おしい

勉強はさせて貰えなかったけれど

変わりに交渉術を学んだ

何も知らない大人たちから同情を集めた

だから、まだ子供も僕らでも簡単に抜け出すことができた

僕の交渉術と青の知識を合わせればどこでも生きられる

「やっと落ちてきた」って顔をしている青

僕は当の昔に青なしじゃ生きられないのに

だからこそ、伝えよう

青の目が零れ落ちそうなほど大きく開く

ぎゅーっと抱き締められる

今まで感じてきた暖かさとは違う熱が胸いっぱいに広がった

二人してボロボロと涙を流す

もう絶対離れない

今までも、これからも

溶け合って１つになってしまうまで

ずっとそばに………