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陽太

おっ! いたいた。

陽太

ってまた本読んでんのかよ。

丈(たけ)

…………。

陽太

見た目もさえねぇのに
こんなとこで本読んでたら
モテねぇぞ。

丈(たけ)

で! なに?

陽太

あぁ そうそう。
たけ 掃除当番代わってくれ。

丈(たけ)

なぜ?

陽太

俺、今日デートなんだわ。

丈(たけ)

いやだ。

陽太

これやるから。

そう言って渡されたのは、 2000円分の図書カード。

丈(たけ)

わかった。

陽太

本好きはコレだな。

陽太

ところで、

丈(たけ)

まだなにか?

陽太

たけ…いつからここで
読むようになったわけ?

陽太

前は教室で読んでたよな?

丈(たけ)

”二宮金次郎”って
冷やかされてから…

陽太

嫌なら嫌って言えば?

陽太

別に本読むことが悪い事じゃないし
俺は、本に集中できるお前が
羨ましくも思う。

丈(たけ)

えっ!

陽太は幼馴染で 丈の事をいじるが心配もする。 実は、良いやつである。

陽太の代わりの掃除当番を終え 丈は、本屋へと出向いた。

※本屋にて※

丈(たけ)

たしか1つ読みたい本が…と

目的の本を探していると 小柄な女性が高い部分の本を 取れずにいた。

丈(たけ)

どの本ですか。

???

あっ!その”自分の未来”って
本が…

丈(たけ)

(真っ黒な本で白い文字で
 タイトルだけ…)

丈(たけ)

これですか?

???

はい。ありがとうございます。

そして、丈は自分の本を探しに行った。

気のせいかもしれない… ただ、チラッと彼女をみると 口角が上がり、すごく笑っているように 見えたんだ。

丈(たけ)

おっ! あった。あった。

目的の本が見つかり、テンションが 上がる丈。 陽太がくれた図書カードで会計をし。

丈(たけ)

どうしよ…家で読む
でも、中が気になるし
よし、読みながら帰ろう。

リュックを背負って本を読みながら 家路を歩いていると… 通りすがりの子供にまで ”二宮金次郎”と言われた。

翌日、丈はいつもの場所で本を読む。 すると…階段を誰かが 上がってくる音がした。

丈(たけ)

(陽太かな?)

???

昨日はありがとう

丈(たけ)

え?

丈(たけ)

君は…昨日の本屋の…

丈(たけ)

(この学校にいたかな?
  こんな子?)

???

私…1年の小春って言います。

丈(たけ)

(2個下の子か…)

丈(たけ)

どーも。

小春

その本面白いですよね。
私も昨日それ買って
今読んでます。

丈(たけ)

そうなんだ。
この作者の作品
大好きなんだよ。

小春

面白いですよね。
分かります。

丈と小春はすぐに本で打ち解け合い。 その日から、昼休みになると 2人は、仲良く屋上の階段で本を呼んだ。

ただ、小春と本を読み始めてから 強い視線を感じるようになった…

そして、数日がたったそんなある日

小春

先輩の好きな本と私の好きな本
交換して読み合いっこしませんか?

丈(たけ)

いいけど…かぶらないかな。

小春

ちなみに…今はないですよね?

丈(たけ)

あるよ。
好きな本は持ち歩いてるから。

小春

私と一緒だ。

丈(たけ)

じゃぁ、はい。コレ

小春

ミステリー系ですね。
私のはこれです。

小春に渡された本 それは…あの時の黒い本だった。

小春

覚えてますか?
私と先輩が初めてあった時の
本なんです。

丈(たけ)

覚えてるよ。

小春

まぁ、先輩と出会えたって
所もお気に入りポイント
なんですけど、内容も

”とても…面白いですよ”

その日の夜、家で黒い本を読み始めた。

丈(たけ)

彼女確かに…
本は好きなんだろうけど…

丈(たけ)

たまに…不気味なんだよな…

丈(たけ)

一緒に読み始めてから
めっちゃ見られてる気するし。

丈(たけ)

それにこの本
ストーリーの概要もないし。

丈(たけ)

とりあえず読むか。

丈は黒い本「自分の未来」を読み始めた。

丈(たけ)

……………。

丈(たけ)

……………。

丈(たけ)

……………。

読み進めれば、進めるほどある事に 続く。

丈(たけ)

これって…

本には…二宮金次郎と呼ばれる主人公と その親友。 ある時、二宮が本を階段で読んでいると 図書カードと引き換えに掃除当番を 変わることに

その帰り、図書カードで本を買おうと 本屋に立ち寄ると 小柄な女の子とであった。 その女の子がとても重要な人物である。

丈(たけ)

登場人物の名前とか
微妙にことなるけど…
俺の事…みたい…

丈(たけ)

どうゆうこと?

更に本を…進める。

ある日、女の子とお互いの 好きなお話の載ってある本を 交換して読むことに その晩、金次郎が読んでいると 電話がなる…

すると…実際に丈のスマホから着信が… 着信:陽太

丈(たけ)

もしもし…

陽太

もしもし?
どうした?声暗くねぇ?

丈(たけ)

なんにもない。
どうしたの?
電話なんて珍しいね。

陽太

あのさ…最近お前 誰と喋ってんの?

丈(たけ)

1年の小春って子、

陽太

そうなんだ…

陽太

でもさ…

陽太

学校中お前が一人で喋ってるって
広がってるぞ?

丈(たけ)

どうゆうこと?

陽太

あと1年に小春って子がいるか
わかんないけど…
去年、俺らが2年のとき
1つ上の小春って人が
黒い本持って亡くなってたの
覚えてるか?

丈(たけ)

そういえば…

陽太

ちなみに今日
俺…お前の
様子見に行ったら…

そこで突如電話が切れた。

丈(たけ)

陽太? ようた?

すると、通話の切れた電話から

”はや…はやく…はやくよん…早く読んで”

”ワタシの好きなお話の「自分の未来」 読んで…はやく…”

”あなたが死ぬ 結末の話しだから“

その声にびっくりし、 携帯をすぐ下に落した。

すかさず携帯を拾うためしゃがむと

机の下に白目を向き、笑う小春がいた。

フフフ…ハハハハハ…

丈(たけ)

気を失った僕が
翌日、目を覚めると

丈(たけ)

机の上の本は無くなっていました。

丈(たけ)

そして、亡くなった先輩の
写真を確認すると…

丈(たけ)

階段で一緒に本を
読んでいた小春でした。

丈(たけ)

もし、あのまま最後まで
あの本を読んでいたら僕は
死んでいたのでしょうか。

丈(たけ)

そして、あの黒い本ですが
どこの本屋へ行っても 
ネットで調べても

丈(たけ)

「自分の未来」なんて本は
ありませんでした。

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