テラーノベル
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倉庫の扉の前で, 蓮音の足音が止まった。
鍵は,相変わらず動かない。 外では雨が強くなり, 逃げ場はないままだ。
それでも,蓮音は振り返らない。
康平は数歩遅れてその背中を見る。
──なんで,こうなった さっきまで,間違ったことは 言っていないと思っていた。 むしろ,慎重で, 正しい選択をしたつもりだった。
康平
呼びかけると, わずかに肩が揺れた。
康平
言葉を探す。
康平
蓮音は,ゆっくり振り返る。 その表情は,静かだ。 怒りも,涙も,もうない。
蓮音
康平の胸が,少しだけ締まる。
蓮音
康平
蓮音は,一瞬だけ視線を落とす。
蓮音
ゆっくり,言葉を選ぶ。
蓮音
康平
蓮音
遮るように続く。
蓮音
その言葉で, 康平は初めて理解しかける。
──蓮音は, 勢いで言ったんじゃない。 ──壊れるかもしれない場所を, 分かった上で踏み込んできた。
康平
声が低くなる。
康平
答えを,求めてしまう。
蓮音は,少しだけ 困ったように笑った。
蓮音
小さく首を振る。
蓮音
雨音が,やけに近い。
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