キャメロンという人間がここまで自分勝手で身勝手な人間だとは全くと言うほど気づいていなかった
むしろあまり主張の強くない模範的な人間の部類だと思っていた
でも、自分本位な思考が先行してしまった
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松葉杖をつきながら俺は「白井村」を歩き回っていた
村の人から心配されても
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そう言って誤魔化した
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昨日の花火から俺はじゅはちが頭から離れなかった
好意を向けられたなどのいい意味ではなくむしろ悪い意味だ
じゅはちが目の前から消えてしまう
そんな不安に駆られて居てもたってもいられなくなりニキくんの親の目を盗んでじゅはちを探しに来たのだ
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この状態で山に登るのは得策ではないと頭ではわかっていたが
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この言葉が俺の意識を駆り立てた
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頬を叩いて気持ちを入れる
そうして俺は1人で山の中に入っていった
周囲に気を配りながら歩みを進め「霧山神社」まで来たのだが
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覚悟はしていたがいつも以上にここまでの道が長く感じ、
倍以上の疲労が溜まっていた
右足がいちばん酷い怪我でそれを庇いながら歩くので
左足や両腕への負担が尋常じゃなかった
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無理をしているのも、帰りのことを何一つ考えてないのも、
それでも動こうとする愚かな意思も
しかし狭い世界で親の言いなりになっていた今までの自分と比べると
今の自分が好きだと自信を持って言える
そんな思考が何よりも馬鹿だと思った
そして俺は以前じゅはちに教えてもらった場所、1番遠い場所へと向かった
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じゅはちが持参したであろうシートに誘導された
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1人用のシートに2人で座っているので窮屈になってしまったが
じゅはちは気にしていないようだった
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土砂崩れのせいだろうか
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懐かしむような、慈しむような優しげな瞳で語っていた
でもじゅはちの言うことが手に取るようにわかってしまう
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その声は少し不安を含んでいた
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俺は彼女の色々な要素に惚れ込んでいる
けれど俺が見てきたものは全て一生懸命なものだ
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即答できなかった、それよりそんな姿が想像できなかった
何があっても本気で好きだって言えるとは思う
でも足を止めたじゅはちを今よりも好きになれるかは、わからなかった
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もう、何も言い返せなかった
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以前のような突発的なものではなく
しっかりと情報が脳に伝わる行為だった
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じゅはちは泣いていた
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その言葉を聞いた瞬間、意識は途絶えた
まるで言ってはいけない呪文のように
全ての繋ぎ目が解れて消えてゆく
点と点、時間と時間、命と命で結ばれてきたこれまでの歴史が次々と白紙になっていく
全部が無かったことになったように
じゅはちの言葉を境に全てが消えた
じゅはち以外の、「白井村」にあるもの全てが
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続きめちゃ楽しみにしてます!