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大飛

……優太?

優太

ぁ…起きました…?

大飛の手を握りながら優太も うとうとしていたようで、 声が聞こえて目が覚めた

大飛

…寝る?

優太

…はい?

大飛

ふッ…眠たいんでしょ?

大飛

ほら、こっち来なよ

優太

いやでも…

大飛

こっちきて

優太

……命令…ですか?

大飛

ううん…おねがい

優太

ッ…

優(この人…) (人の心掴むの上手すぎる…)

大飛と少し距離をあけて なるべく触れ合わないように ベッドに横になる優太

大飛

優太…

優太

はい

大飛

奴隷になりたい?

大飛は天井を見つめながら呟くように話す

優太

…なりたいです

優太

欲を言えば…一番近くの存在になりたいです…

大飛

なにそれw

大飛

知ってる?

大飛

奴隷って俺の願いを全部叶えないといけないんだよ?

優太

知ってます

優太

叶えさせてください

天井を見つめる大飛の横顔を見ながら 優太はそう言い切った

大飛

…そう

大飛

じゃあ

大飛

優太は今日から奴隷ね

優太

いいん、ですか…?

大飛

なに?なりたいんじゃないの?

優太

なりたいですけど…そんな簡単に…

大飛

俺の言うことは絶対だから

大飛

俺が決めたから

大飛

決定な

そう言って優太に向き直る大飛

優太

ッ…

真っ直ぐ見つめ合うと 触れたい欲求が湧き上がる

大飛

…触りたいんだ?

大飛

俺に

優太

……

奥歯を噛みしめて首を横に振る優太

大飛

ふッw我慢してるw

大飛

いい子だね、優太は

大飛

ご褒美…あげなきゃ

優太

ご褒美…?

大飛

なにがいい?

大飛

何でもいいよ

優太

…俺は

優太

大飛くんのそばにいれるなら

優太

それがご褒美です

優(嘘だ…) (ほんとはもっと近づきたい…) (触れたい…手に入れたい…)

大飛

我慢強いね優太

大飛

じゃあ…

布団を掴んで身を包み 甘えるように優太に擦り寄る大飛

優太

ッ!や、大飛くん!

大飛

黙って

大飛

こうすれば…大丈夫…

大飛

抱きしめて…優太

ゆらゆらと揺れる光の無い瞳が 真っ直ぐに優太を捉える

大飛

命令だよ…

優太

ッ…はい

優太は布団ごと大飛を抱きしめた

布団に包まる大飛の素肌に 触れることは叶わないが、 その身を腕の中に収めているという ことが優太の心を昂ぶらせた

大飛

ッ…

優太

大丈夫…

優太

大丈夫だよ…

布団ごしでも分かる体の震えを 抑えるように背中を撫でると 優太の服がギュッと掴まれた

"佐藤優太が新たな奴隷になった"

優太が巡回についていったことで 学園中に広まった事実

他の生徒から羨望の眼差しを 向けられるようになった優太

だけど本人はそんなことどうでも良かった

ただただ大飛の為だけに生きて 大飛の為だけに過ごす日々

大飛に呼ばれるとすぐに向かい 大飛が欲しがると何でも手に入れる 大飛が他の奴隷に命令すると それを横取りしてまで大飛に尽くした

そのかいあって優太は奴隷の中でも 群を抜いて大飛の支持を得ていった

prrrrrrrrrr…

授業中に鳴り響く電話の音

優太は迷わずその電話に出る

優太

はい

大飛

『あ、優太~』

優太

どうした?

大飛

『あのさ~、俺ひま~』

優太

分かった

優太

すぐ行くから待ってて

大飛

『すぐ来てね~』

大飛の命令で敬語を禁止された優太

他の奴隷には許されていないという事が 優太には許されている

そのことが優太にとって何よりも嬉しかった

授業中にも関わらず教室を出て屋上に向かう

高鳴る鼓動を抑えて あくまでも大飛の前では 冷静に振る舞う

ガチャ…

優太

大飛くん?

大飛

あ、優太~

大飛

ねぇ~暇~

優太

何がしたい?

大飛

ん~…楽しいこと

優太

楽しいことね~、
何がいいかな~

優太がソファーに座る大飛の横に 腰掛けるともたれ掛かるように 体を預けてくる大飛

優太からその体に触れることはない

抱きしめたい欲求を抑えて ただ体重をかけられるままでいる

触れている箇所がいつもより熱く感じた

優太

大飛くん

大飛

なに~?

優太

体調悪いから呼んだ?

大飛

え~すご~w

大飛

俺の心読んだの優太?

優太

読めないよ

優太

体が熱いから

大飛

まぁ、ちょっとね~

優太

……もしかして
また寝てない?

大飛

寝たよ

大飛と一緒にいるようになって気づいた

大飛は家に帰っていない

かと言って学校に寝泊まりするわけにもいかず

夜な夜ないろんな場所を ふらふらと一晩中うろついている

優太

昨日はどこ行ってた?

大飛

昨日はね~、どこだっけ?

大飛

知らない駅で降りて

大飛

そのままベンチで寝てた

大飛

あ、シャワーはここきて入ったから汚くないよ?

優太

汚いなんて思わないよ

どうして家に帰らないのか、

どうして一晩中うろついているのか、

いくら聞いても教えてもらえない

優太

熱あるよ?

優太

今日は家に帰ったほうが

大飛

帰らない

優太

……じゃあ、ここに泊まるのは?

大飛

ここは駄目

大飛

バレてるから

大飛

俺に居場所なんてどこにも無いよ

優(何があったか聞いても) (教えてくれないんだろうな…)

優太

とりあえず寝よう?

優太

寝たら少し楽になるかもよ?

大飛

ん~、優太いる?

優太

いてほしい?

大飛

うん、ここにいて

優太

仰せのままに

大飛

ん、

もたれ掛かっていた体を起こして 優太に向かって両手を広げる大飛

優太

大丈夫?

大飛

うん、今は大丈夫

大飛が頷いたのを確認して ゆっくりその体を抱き上げる優太

素早くベッドまで移動して 優しく寝かせると首に回されていた手で グッと引き寄せられて唇にキスがくる

大飛

ふふ…ご褒美

優太

ありがとう

大飛の願いを叶える度に ご褒美と称してキスされる優太

ご褒美はいらないと優太が言い続け 大飛がそれに痺れをきらしたときから ずっと続いている

大飛

優太って意外と力持ちだね

大飛

筋トレとかしてるの?

優太

少しだけ?

優太

いつ挑まれても

優太

負けないように

大飛

あ~、あれね

この学園の絶対王者"キング"に選ばれた 数名だけがなることができる"奴隷"

その"奴隷"は全校生徒の憧れの的 そして嫉妬の標的だ

"奴隷"の座をかけた決闘を申し込まれれば 必ず答えないといけない決まりだ 決闘に破れた者は学園を追放される

大飛のお気に入りの優太に 決闘を申し込んできた者は未だ居ないが 優太はその日の為に鍛えていた

大飛

優太に申し込んでくる奴は居ないよ

優太

わかんないじゃん

大飛

だって、そんなの勝っても
意味ないじゃん

優太

なんで?奴隷になれるのに

大飛

そんな奴俺が奴隷にすると思う?速攻クビクビ~

優太

ふッw

優太

ほら、もう寝て?

大飛

眠くない

優太

優太

クマ出来てるよ

大飛

……

ムスッとした顔で優太を見上げる大飛

優太

ベンチで寝たって言ってたけどほんとは寝てないんだよね?

大飛

なんでバレるの…

優太

毎日大飛くんだけ見てるから

優太

主人の体調管理もできないような他の奴隷と一緒にされたら困るよ

大飛

なんかかっこいいね今のw

優太

はいはい、もう寝るよ

大飛

はぁい

大飛に布団をかけて小さい子どもにするように トントンと布団の上で手を弾ませると すぐに小さな寝息が聞こえてくる

ほんとは夜な夜な街を彷徨くのを 辞めてほしいけど、いくら 言っても家には帰らないの一点張りで せめてこの部屋の中では 体と心を休めて安心して眠りについてほしいと 優太は毎日願っていた

帰宅して部屋で寛ぐ優太

家にいても考えるのは大飛のことだけ

今頃どこを彷徨いているのか

危険な目にあっていないか

誰かと一緒にいるのか

毎日夜に電話にかけるけど

その電話に大飛が出たことは一度も無い

prrrrrrrrrr…

優太

…今日も、出ないか……

長い着信音のあと、電話を切った優太

窓から見える月を眺めながら 大飛のことだけを考えていた

 

prrrrrrrrrr…

どれくらいそうしていたか分からない

ふいに聞こえた着信音に 目線を携帯に向けると 電話の相手は大飛だった

優太

!!

優太

も、もしもし大飛くん?

大飛

『……』

優太

…もしもし?

大飛

『……ゆ、ぅた……ッ…』

大飛

『……ッ…たすけて…』

泣いているような弱々しい声

優太

ッ!…今どこ?

大飛

『…学校…ッ…まえ……』

優太

すぐに行く

優太

電話切らないで

優太は財布と上着を掴んで家を飛び出した

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コメント

20

ユーザー

遅れたぁぁぁ😭 まじ最高続き楽しみ

ユーザー

ごめん!遅くなりすぎたっ。めっちゃいい作品でハマっちゃう🥹

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