玲
やぁっと本性を現したな、
道太‼︎
「道太」
そう呼ばれた男は静かに
道太(とうた)と呼んだ男、
玲(れい)を見据える。
その目は怒りで轟々と燃えていた。
道太
…本性?俺がお前らをこうやって殺すのは、お前らのせいだろ。記憶にないなんて言わせないぞ‼︎
玲
っ…だ、だから殺したのか?
俺たちがやったことより残酷なことしてんじゃねぇか
被害者ぶるなよ‼︎
道太
…!
道太
やっぱり分からないんだね
そりゃそうだよね…
道太
いじめたやつはいじめられたこともない、こっちの苦しみなんて知らない。
道太
何年間!俺が!体も心も傷つけられたと思ってんだっ
それなのにたった数秒の苦しみで残酷?
道太
ほんとにバカだよね
玲
………
道太
何、ダンマリを決め込むの
道太
他の奴らは俺が少し傷つけてこれより辛いんだって言ったら謝ってくれたよ…心からじゃないやつもいたし、誰のことも許してないけど
道太
お前は…そう、何もいいやしないんだね。命が惜しくないの
玲
お前は自分が勝つ気でいるけど、俺はお前より強いんだ、それはお前にもわかるだろう?今まで俺に剣道で勝ったことあるか?ん?
道太
…
玲
ほぉら!なかったじゃねぇか。軽口叩いてると、痛い目見るぞ
玲
!?
玲
クハッ
道太
ゲホッ
道太の竹刀はたしかに玲の腹に突き刺さっていた。だが、
道太
………っち…(避けられなかった‼︎)
玲
クソォっクソォっ!(何であいつのが刺さってんだ‼︎)
2人の体は、少しずつ、少しずつ崩れていく。灰のようになりながら、風に流れていく。
道太
(憎い…憎い…俺の人生をぶち壊しやがって…こいつらも、あの、ゲームを持ちかけたあいつも!だけど………変わろうとしなかった自分も憎い!チャンスだとばかりに思って殺しまくった自分が怖い…!俺は…俺は…ただ、)
道太
ボソッ((幸せになりたかっただけなのに…
玲
(分かってる…いじめられたあいつが苦しいのなんて分かってる…俺だって苦しかった。弱かったあの頃は…みんな強くなってほしい、そしたらいじめられることもない…俺だって強くなった。だけど…やり方が間違ってたのか…?)
玲
ボソッ((お前…次はもっと強くなれ
いじめられないくらいには…
2人の相手への想いは、互いに届くことなく崩れていく体と共に消えていく