主
さつき(マッマ)
主
茶柱
そう安心した瞬間、何か気持ち悪いものが逆流する感覚。息苦しさと共に心臓がはち切れそうになる。
視界はぼやけていて、宙にひっくり返ってる気分だ。 …なんとか必死に目を凝らして改めて下を見ると、
…自分の目の前には、 赤黒い血溜まりが出来ていた。
張っていた気が緩んだせいで、今まで無理に耐えてきた分が、一気に全てのしかかったのだろう。
茶柱
ツンと鼻を挿す鉄の匂い。気づいたら視点は地面と同じ位置にあって、全身が痺れて指一本すら動かせない。
茶柱
ずっと考えていたのだ。誰よりも不出来で、人間嫌いな欠陥を抱える自分がもし、何かを残す事が出来たなら。
茶柱
茶柱
茶柱
そう、意識を手放そうとした。 ……した、のに。
朱。
そう叫ぶ声が、僕を掴んで離さなかった。
朱。
茶柱
僕の為にここまで必死になる人間が 今までいただろうか。
否。ありえない話だ。
ありえない…話のはずだった。
茶柱
…なら、少しくらい、 いいのではなかろうか。 人の為に命を散らす、 漫画の英雄みたいな今の僕ならば。 …天の神様だって、許してくれるんじゃないか。
そう思い、僕はその場で しゅーちゃの封印を解いた。
茶柱
茶柱
朱。
涙をぼろぼろと僕の顔に落としながら、 彼女は嬉しそうにくしゃっと笑った。
朱。
『光合成』 自分の生気を他者に移すことができる。 時間経過で生気は回復するが、使い過ぎると、その分生気がなくなるので、最悪死に至る可能性があり、使い過ぎには注意。
…身体が少しずつ、軽くなっていく。
茶柱
そんなくだらない事を考えながら、 今度こそ意識を手放そうとした。
…手放す直前に見えたのはー。
茶柱
僕へと向いている数々の鋭利な硝子の破片だった。
茶柱
次こそ無理だ。そう思い反射的に目を瞑る。
だが、僕に当たりに来ていたはずの破片が、 僕に刺さる事は無かった。
恐る恐る目を開くと、僕の前で、荒波を生成し破片を弾いているしゅーちゃがいたのだ。
朱。
朱。
茶柱
結局意識が保てなくなり、 瞼が重くなる。 最後に聞こえた言葉は、 僕らを護るべき存在のはずの "神"だった。
ちら、と後ろを振り返ると、 死んだ様に眠っているちゃばがいた。
朱。
改めて空と向き直る。
朱。
「先程の暴走時、お主の頬に、鱗が浮かんできていたのを知っているか?」
朱。
「妾も詳しくは分からない。 が、妾は、これを1種の覚醒状態と、判断した。」
「基本的に、あの量の力を操るのは難しい。 …いや、不可能に近いことだ。」
「茶柱も同様、あんな無理矢理な封印なんて、本当なら持って3分のはず。だが、あやつは気合いで耐えた。」
「お主らの力は、何処までも底しれない。」
「そう、お主らはやって見せたのだ。妾はそれに感心し、興味をそそられた。」
「二人共疲弊した状態で不意打ちをされた時、お主らの反応速度はどれほどか、と。」
「結果は実に見事だったさ。お前は妾の予想を大きく超えてくれた。掠り傷さえつけさせなかったのさ。」
神様の話を聞けば聞くほど、 腹の底が煮え滾るような怒りで溢れていく。
朱。
朱。
「…何をそんなに怒っている。朱。よ」
朱。
声が震える。言ってる事の意味が分からない。 …まさか、死のうが死なまいが、どうでもいいとでも思っているのだろうか。
朱。
「…だから何をそんなに怒っているのだ。」
呆れ声で神様は後の言葉を告げる。
「…茶柱は実際今、生きているではないか。」
「死んだわけでもないのに、 何をそんなに怒る事がある?」
朱。
あぁ、この神様は、 本当に私達の事などどうでもいいのか。
罪悪感のひとつすら、覚えていない。
ふと、ちゃばの事を放置していたと 後ろを振り返る。
朱。
朱。
そう言い捨て、私はちゃばの回復に集中する。
朱。
時間が経っても、 …この怒りが収まることは無かった。
主
さつき(マッマ)
主
さつき(マッマ)
主
さつき(マッマ)
主
主
主
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コメント
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人生を左右される程の絶望を味わったことがないので計り知れませんが、皆んな優しいなぁと思いながら読ませていただいておりました。 挿絵が本当に上手くて、カラーの一枚絵もモノクロの挿絵も出来るなんて本当に尊敬です。 気まずいのでしょうが、次回も楽しみにしております。
待ってましたお久しぶりです!ようやく気になる続きが見れたっっ‼️😭✨️ 本当に挿絵上手すぎませんか??w 気まずくなってる次回話も楽しみです!!!
挿絵が神すぎて取り敢えずぶっ倒れて置きました。(マジ) 取り敢えずは一件落着...なのか、? 神様は1回捻り潰したいです。()







