まゆみ
はあ…
らん
何ため息ついてんのよ
まゆみ
だって、また聞こえるんだもん
らん
ああ、例のあれ?
まゆみ
そう
みんな私の悪口言ってるの
みんな私の悪口言ってるの
らん
何言ってんのよ
そんな声聞こえないわ
そんな声聞こえないわ
まゆみ
私には聞こえるよ
今だってみんな言ってるもん
今だってみんな言ってるもん
らん
はいはい、分かったよ
てか、そろそろ授業始まるから
てか、そろそろ授業始まるから
まゆみ
あっほんとだ
自分の席戻んないと
自分の席戻んないと
まゆみは急いで自分の席に着いた
授業中
まゆみ
どうしよう、落ち着かない
まゆみ
みんなの声が聞こえる
まゆみ
どんどん、声が大きくなっていく
まゆみ
うるさいうるさいうるさい
まゆみは思わず耳をふさいで俯いてしまった
先生
おい、どうした?
先生がまゆみに近づき肩を触る
まゆみ
あっ、先生…
先生
少し顔色が悪いぞ
保健室に行きなさい
保健室に行きなさい
まゆみ
は、はい。分かりました。
ガラガラガラ まゆみは保健室に向かった
ガラガラガラ
まゆみ
失礼します
保健室の先生
あら、どうしたの?
まゆみ
ちょっと具合が悪くて…
ベット使ってもいいですか?
ベット使ってもいいですか?
保健室の先生
そうだったのね
いいわよ、奥のベット使ってね
いいわよ、奥のベット使ってね
まゆみ
分かりました
保健室の先生
あっ、そうそう
先生少し職員室に用があるの
先生少し職員室に用があるの
保健室の先生
1人で大丈夫?
まゆみ
大丈夫です
保健室の先生
分かったわ
先生は抜けるけど、ゆっくり寝てるのよ?
先生は抜けるけど、ゆっくり寝てるのよ?
まゆみ
はい、分かりました
ガラガラガラ 先生が保健室から出ていく
まゆみ
1人になると余計に聞こえる…
まゆみ
もう嫌、何も言わないでよ
まゆみ
黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ
まゆみ
そっか、そうすれば良かったんだ
まゆみ
声が聞こえるなら耳を切ってしまえばいいんだ
まゆみ
はさみ…はさみ…はさみ…はさみ…
まゆみははさみを一心不乱に探した
まゆみ
ふふ、これで私はこの声から解放される