母
そういえば今度、藤澤さん戻ってくるってよ。
大森
藤澤さんって隣のおばあちゃんとこ?
母
そう、隣のおばあちゃん家。
母
あんた小さい時、藤澤さんとこの涼架ちゃんとよく遊んでたでしょ?
そのご家族が実家に戻ってくるんだって。
そのご家族が実家に戻ってくるんだって。
“涼架ちゃん” その名前に全然ピンと来なかった。
大森
涼架ちゃんて誰だっけ?
母
えー!忘れたの?!
母
あんた、涼架ちゃんの家族が引越す時、りょうちゃんと離れたくないって、あんなに泣いてたのにー。
母
まあ、まだ3歳だったし、忘れてるか。
引越し…3歳…
母さんの言葉に忘れてた記憶が少しずつ蘇る。
大森
あっ、涼ちゃん!
思い出した!
思い出した!
3歳の頃よく遊んでた、 3つ上の泣き虫なりょうちゃん。
同じ近所の子供に虐められてたり、 犬に吠えられてたりする度に泣いてて、 その度にぼくが守りにいってた記憶がある。
あと、笑顔がすごく可愛いかった事を覚えてる。
大森
可愛い子だったよね?
母
そうそう、可愛かったわよねぇ。
今思えば、ぼくの初恋だった。
なんで今まで忘れてたんだろ。
涼ちゃん戻ってくるんだ…
楽しみだな。